チート薬学で成り上がり！ 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました！

第3章 アレクを狙って

第527話 真祖の吸血鬼はド変態！？

「最高の気分ですよ！このような力を手に入れて復活できたのですから」

ライオネルは、先程とは別人のような口調と雰囲気を纏っている。

「これは......今までで一番ヤバいかも......」

アレクは、ライオネルの醸し出す雰囲気からライオネルではなく、全くの別人であり、かなりの強者だと悟る。

「君、かなり強いですね。ん～そう言うことですか！君には、感謝しています。ライオネルを殺して頂きまして」

この人物は、ライオネルの記憶から色々理解したのだ。そして、アレクに向かって一礼をしてお礼を言う。

「ライオネルさんではないですよね？貴方は誰ですか？」

アレクは、騎士団と陛下が逃げる時間を稼いでいる。団長は、離れたところにいるライオネルを見た瞬間から対峙してはいけない人物だと悟っていち早く、その場を離れることにしたのだ。

「時間稼ぎですか？その方達がいて、本気を出せないというのであれば、お手伝いさせて頂きましょう。ブラッドカーテン」

ライオネルの姿をした人物が、ブラッドカーテンと言うと、被害がある場所とない場所の境界線上を、真っ赤に染まった防壁のような物で覆ったのだ。

「これは、私のスキルでして、簡単には壊せないものとなっております。これで、障害になるものがなくなったのではないですか？」

ブラッドカーテンとは、血で作られた防御壁なようなものである。

「敵にも関わらず何故このようなことをするんですか？それに、ライオネルさんではないですよね？」

アレクは、この人物の意図が全く見えずにいるので、何がしたいのか探るように尋ねる。

「気まぐれです。早くこの力を試したくて仕方ないのですよ！ちなみに、私は吸血鬼の真祖ラキュースです。以後お見知り置きを」

殺すよりも、手っ取り早くアレクと力比べができる方法を選んだまでであり、必要であれば人を殺すことなどなんとも思わない人物なのだ。

「吸血鬼の真祖？始祖とは違うんですか？」

「フフッ、よく聞いてくれました。始祖は、3人いましたが、私が一番強く、美しく、頭脳明晰だったのです！その私が、真祖以外に考えられないでしょう？」

アレクは、ラキュースの話を聞いてもさっぱり意味がわからないのだ。ラキュースは、真祖と始祖の意味を説明するわけではなく、自分語りを始めてしまう。

「う～ん？要するに、特別な存在だと言いたいんですか？」

「フフッ、その通りです。やはり、私と張り合うほどの美しさを兼ね備えた君だからこそわかって頂けるのですね」

ラキュースは、急に体をクネクネさせて、自分の周りに血で作った薔薇を大量に出現させる。アレクは、頭のおかしい人物が現れてしまったと思うのだ。

「アァァァァ、血の薔薇は美しい！君の血も、さぞ美しく美味なのでしょうね！もう我慢できません」

ラキュースは、瞬間移動したのではないかという速さでアレクの背後に近付いて、肩を優しく噛む。アレクは、数秒遅れて気付き、ラキュースに蹴りを入れて距離を取るのだ。

「ハァァァァァ、なんて美味な血なのでしょう。君、いや貴方の血を全て吸い尽くしたい！我が下僕としたい！私のものとなりなさい」

ラキュースは、アレクの血を飲んで、興奮してとろけた顔をする。アレクは、ブルブルと震えて危機感を感じてしまうのだった。