チート薬学で成り上がり！ 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました！

第3章 アレクを狙って

第526話 瓦礫と化したギルドと完全復活したライオネル！

「団長、このまま冒険者ギルドに向かってください！」

門は、すでに開いており、ターリア副団長が声をかけて、陛下と第一騎士団が突っ切りストレンの街に入る。

「ターリア副団長、門で指揮を取れ！暴れるやつがいれば、気絶させてもいい！人命を優先しろ」

団長が、去り際に命令を出す。ターリアは、「了解です」と返事を返して見送る。

「陛下、どうやらヴェルトロ伯爵家の騎士団が、うまく避難誘導をしているようですね」

「ヨゼフは、事前に避難経路を確保し、民達と訓練をしていると聞いていた。それが、功を奏したのであろうな」

スタンピードやゼロの仲間の襲来を受けた王都を見て、何か起こった時のために避難の計画と訓練をしていたのだ。

「そうなのですね！うぉっ！全員止まれ！」

ライオネルが、一度目の黒いオーラを放出した際に、ストレンの街の地面が揺らいだのだ。騎士団や陛下の乗っていた馬が、驚いて前足を上げるが、騎士団も陛下もうまく宥めて振り落とされることはなかったのである。

「陛下、ご無事ですか！？」

団長は、すぐに陛下を見て無事かどうか確認する。

「余は、平気である！急ぐのだ！あまり猶予は残されておらん」

陛下は揺れから察するに、かなり激しい戦いが行われていると予想した。そして、次にくる揺れは確実にストレンの街の一部を飲み込むような悲劇が訪れると思ったのだ。

「ハッ！全員全速力で行くぞ！」

陛下の言葉から危機を察した団長は、いち早く冒険者ギルドに向かわなければと思い、馬を走らせるのである。


◆


ライオネルが、最後の手段として自爆をしたのだが、冒険者ギルドは瓦礫の山と化して、周辺一帯も瓦礫と化していた。

「みんな逃げられたかな？」

アレクは、瓦礫の中から出てきて、辺りを見渡したあと悲惨な現状に、全員逃げることができたのかと心配になる。

「あれは、陛下！？」

アレクは、浮遊を使って上空から辺りを見渡した。すると、陛下と騎士団が倒れているのを発見したのだ。

「陛下、大丈夫ですか？」

アレクは、すぐに陛下の下に行き、声をかけるが返事がない。それから、すぐに息をしているのかを確認して、生きていることがわかると、魔法鞄からポーションを取り出して体に振りかけるのだ。アレクは、口から飲むことができない人を治すポーションを事前に作っていた。

「これで、大丈夫そうだね。外傷が少ないのが幸いだよ」

振りかけるポーションの弱みとしては、治癒力が弱いことだ。そのため、傷が酷い状態の場合は、口から飲む必要がある。アレクは、次に横たわっている騎士団達にもポーションを振りかける。

「くっ......貴方は、誰ですか？あ！そんなことより、陛下を......」

アレクは、団長へポーションを振りかけようとした時に、自ら目を覚ましたのだ。

「俺は、アレクです！陛下は、無事です！まずは、回復ポーションを飲んでください」

団長は、事前にアレクのことを聞いていたので、素直にポーションを受け取って飲むのだ。

「タカハシ辺境伯様、ありがとうございます。爆発の際、防御結界を張ったのですが、耐えることが出来ませんでした。申し訳ございません」

団長は、申し訳なさそうな顔をするが、防御結界を張ったお陰で、被害が少なくすんだので、全く無意味だったわけではない。

「防御結界のお陰で、被害が最少で済んだのでよかったです。ありがとうございます。はぁ、まだ生きてるのか！しぶと過ぎる。今すぐに陛下を連れて逃げてください」

アレクが、そう言った瞬間、瓦礫が吹き飛んで、完全に再生したライオネルが現れるのだった。