チート薬学で成り上がり！ 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました！

第3章 アレクを狙って

第524話 ライオネルの最後のあがき！

「追い付けないとはな。目を増やそうか！」

瓦礫の中から出てきたライオネルの額から黒い目が一つ現れる。更に、背中から黒い翼が生えるのだ。

「ん！？魔族？？それとも、その妙な力の影響かな？」

アレクは、ライオネルの容姿を見て不思議な顔をする。

「フッハハハハ、元は魔族だ！吸血鬼と言えばわかるか？それに、ゼロ様から頂いた力で、始祖の力を超えた存在になったのだ」

突風が吹き荒れるような、黒いオーラを発する。その直後、観客席に張られた防御結界は割れて天井に亀裂が走る。幸いゴルドンやニーナやマンテ爺が、避難誘導を素早く済ませてくれていたため、冒険者達に被害はなかった。

「光る火柱《シャイニングピラーオブファイア》」

アレクは、ライオネルが意気揚々と話しているにも関わらず、灼熱の火の柱を出現させて、ライオネルを閉じ込める。

「これだから人間は嫌いだ！人の話を最後まで聞けぇぇぇ」

ライオネルは、大声と黒いモヤを出して火柱を打ち消す。

「この程度の魔法で俺に傷をつけられると思ったのか？笑わせてくれる！死ねぇぇぇ」

黒いモヤが、アレク目掛けて放たれる。そして、アレクに纏わりつき、アレクがもがき抵抗するも黒いモヤは余計に纏わりついてくるのだ。

「抵抗など無意味だ！後でじっくり血を味わい、俺の眷属にしてやろう」

アレクの動きが止まると、大声で笑いながら、勝ったことを確信する。しかし、次の瞬間、あり得ない光の放出とともに黒いモヤは霧散する。

「何だ！？これは！」

ライオネルは、手で目を覆って光を遮る。

「この力を使わずに抜け出す方法がないか、模索していたけど無理そうだね」

アレクは、普通の状態での攻略方法を探すために、わざと神力を使わずに、その身で受けたのだ。

「お前は誰なんだ！？あいつは、どこに行った？」

ライオネルは、神力を使って成長したアレクの姿を知らないので、戸惑いを隠せずにいる。

「わざわざ敵に教えるわけないでしょ？それより、頭上に気を付けた方がいいんじゃない？」

アレクは、ライオネルの頭上を指差す。ライオネルが、頭上に目をやった瞬間、神力の塊が降り注ぐのだ。ライオネルは、悲鳴を上げることすら出来ずにまともに神力を浴びてしまう。

「ライオネル、師匠の教えなんで、早急に片付けさせてもらったよ」

ノックスは、無駄な時間はかけずに、敵ならば速攻で終わらせろとアレクに教えていたのだ。

「ぐ、ぐ、ぐはぁっ......な、なんなんだこれは......」

神力の光が収まり、ライオネルが姿を現すが、両腕でガードしたのか？両腕は無くなり、体は溶けたようにただれている。

「まだ生きているの？しぶと過ぎない？もう一発......」

「チ、チクショー！くたばりやがれぇぇぇ」

ライオネルは、最後の力を振り絞って叫ぶと、黒いモヤが大量にあふれ出して、一箇所にモヤが集まり塊となる。そして、次の瞬間大爆発が起こるのであった。