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第3章 アレクを狙って

第523話 アレクvsライオネル!第1ラウンド開幕!

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「手始めに様子を見させてもらおうかな」

ライオネルは、突きつけたレイピアを引いたと見せかけて、予備動作もなく連続で刺してきたのだ。

「ライオネルさん、その程度ですか?遅いですね」

だがアレクは、レイピアがくる方向を瞬時に見極めて全てを避ける。事前に、動体視力を上げる薬と各種強化薬を飲んで能力を倍に上げていたのだ。久々に、色々な薬を飲んだせいでアレクのお腹は、チャポチャポなのである。

「アッハハハ、様子見はここまでかな。次は、避けても意味がないよ」

レイピアから、薄っすらだが黒いモヤが溢れ出ている。だが、高速で突きを放っていることで、観客席にいる人間は誰も気付いていない。そして、当たっていないにも関わらず、アレクの皮膚が軽く切れて血が流れる。

「隠すつもりはないようですね。もう本性を現しましたか」

アレクは、黒いモヤを見て、ゼロの仲間だと理解して、素直に相手へ見破っていることを伝える。

「アッハハハ、やはり君が、ゼロ様の探していた人物なんだね!ゼロ様は、相当君を恨んでいる。王国を手に入れられなかった元凶なのだから」

ゼロは、アレクを探して復讐の機会を狙っていた。ホムンクルスの肉体を手に入れて、完全体に近付いたからこそ、本格的に動き始めたのだ。

石の騎兵槍ストーンランス×10」

アレクは、土魔法で作った10体の騎兵を出してライオネルを攻撃する。優れた魔法操作があるからこそ、騎兵達を思うがままに操れるのだ。

「ゴルドンさん、今すぐに冒険者と一緒に避難してください!」

アレクは、ハイポーションを飲んで切り傷を治しながら、ゴルドンへ逃げるように大声で叫ぶ。ゴルドンは、アレクの言葉を聞いて、すぐに動き始める。更には、そこにニーナと大きい状態のマンテ爺と二人の騎士団も合流する。

「フフッ、アッハハハ、もう本性を隠す必要もないな!こんな木偶の坊で俺を倒せると思っているのかぁぁぁ」

ライオネルの言葉遣いが安定していなかったのは、本来の口調ではなかったからだ。そして、アレクやゴルドンに知られていると知った今、もう何も隠す必要がないので、本来の姿に戻ったのである。更に、体全体から黒いモヤを出して、レイピアからも先程以上の黒いモヤを纏わせて、一撃で騎兵を破壊していく。

「みんなが逃げる時間は、稼がせてもらうからね!劫火射ファイアミサイル×30」

アレクは、騎兵の最後がやられる間際に、火を纏ったミサイルを30個も放つ。

「次から次へと鬱陶しい!」

ライオネルは、襲いかかるミサイルを、高速の突きで全て破壊していく。レイピアに当たった瞬間、爆発を起こしているにも関わらずダメージは一切ないようだ。しかし、アレクは全て予定通りだったのか、ニヤリと笑う。その直後、ミサイルがライオネルの前でピタッと止まったのだ。

「ん!?グヘェッ」

変な声ととも、ライオネルは訓練場の壁へと吹き飛ばされていた。次の瞬間、止まっていたミサイルが、動き出してライオネルに向かって飛んで行き、直撃して大爆発が起こる。

「一度の動きでこれか......」

アレクは、片膝を突いてエクストラポーションを飲んで回復する。何があったかというと、ライオネルがミサイルを破壊している時に、数秒間だけ音速になれる薬を服用して、ライオネルの後方に回り込み蹴りを食らわせた。しかし、音速で動いた代償として体が耐えきれず片膝を突いてしまったのであった。
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