チート薬学で成り上がり！ 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました！

第3章 アレクを狙って

第519話 お笑いムードから一転、アレクに危機が迫る？

「タカハシ辺境伯様！この生え揃った髪の毛を見てください！どうです？このサラサラの髪素晴らしいと思いませんか？」

紅茶を飲んでいたアレクとニーナの前に、突然ドアを開けて、両手で髪をかき上げてアピールするゴルドン。

「そ、そうですね。凄くいいと思います。お似合いですよ」

ゴリマッチョでイカツイ顔をしたゴルドンが、サラサラロングヘアーになっているのを見て、正直似合わないなと思いながらも、満足している様子に苦笑いを浮かべるしかなくなっている。

「そうでしょう！そうでしょう！これで、私も昔のように女性からモテモテですよ！フッハハハハ」

ゴルドンは、モテモテになって困っちゃうなといった表情をして大満足の笑みを浮かべる。しかし、ニーナが現実へ引き戻すのだ。

「毛があろうがなかろうが、自意識過剰でゴリラみたいな顔したやつがモテるわけねぇだろ！サラサラロングとか気持ち悪いんだよ！」

ニーナは、我慢の限界を迎えたのだろう。口調と言葉遣いが、かなり悪くなるのだ。それを聞いたゴルドンは、そこまで言われると思っておらず、絶望した顔をする。

「ニーナさん、このままだとゴルドンさんの魂が抜けちゃいます」

ゴルドンは、天に召されたような顔をして、見えるはずのない魂がフワフワと宙に浮いているのだ。

「ハゲマス、そのまま安らかに眠ってください！」

ニーナは、ゴルドンの前で手を合わせて祈り、天へと送り出す仕草をする。

「勝手に殺すな！死なんわ！」

ゴルドンは、正気に戻ってニーナにツッコミを入れる。

「チッ、これで私も楽になると思ったのですけど......ハゲマス、ミヤが次のサブギルドマスターになるのですから、もう少し大人になってください」

ニーナは、聞こえるか聞こえないかくらいで、舌打ちをする。しかも、堂々とハゲマス呼ばわりなのだ。

「ハゲマス......今はハゲとらんわ！ハァハァハァ」

ゴルドンは、何度も大声でツッコミを入れたので、疲れて息切れをしながら椅子に座る。

「ゴルドンさん、ニーナさん、一回落ち着きましょうか！冷たいお茶を飲んでください」

アレクは、グラスと大和ノ国で購入した麦茶を用意する。グラスに冷えた麦茶を注いで二人に渡す。

「ありがとうございます！ゴクゴクッぷはぁ！飲んだことのない味ですが、おいしいですね。落ち着きました」

「本当ですね！さっぱりしていておいしい」

ゴルドンもニーナも麦茶を気に入ったようで、グラスに入った麦茶を全て飲み干してしまう。

「少しは、落ち着いたようでよかったです！お二人とも、あまりこんなことは言いたくありませんが、色々な意味でみっともないですよ」

アレクは、単にありのままを話したつもりだったのだが、二人は貴族様の前で大失態を冒してしまったと勘違いして土下座をする。

「申し訳ございませんでした。辺境伯様の前で、このようなお見苦しいところをお見せしてしまい......」

「私も、サブギルドマスターとしてあるまじき行為でした。どうかお許しください」

二人が、謝罪をしているが、アレクからすると、こういうことではなかったんだけどなと思い、立ち上がらせようと近付く。そのタイミングで、ドアがバンッと急に開く。

「うわっ！ギルドマスターとサブギルドマスターが土下座してるよ！」

ドアを開けたのは、優男風のレイピアを持った男性であった。

「えっと、どちら様ですか？」

アレクが、急に入ってきたので誰なんだろうと思って尋ねる。

「僕は、Aランク冒険者のライオネル。英雄様が来ていると聞いてお手合わせしてほしくてきたんだ。この様子を見るに、君が英雄様かな？」

アレクに対して畏まる様子もなく、ニコッとしながら自己紹介をする。

「アレクと言います。勝手に英雄様と呼ばれているだけで、そんな凄い存在じゃないですよ」

「ライオネル！辺境伯様に向かってなんて口を聞いているんだ！」

ゴルドンは、アレクに対して敬う気持ちが一切ないライオネルに対して一喝する。

「アッハハハ、ごめんごめん！昔から畏まった話し方が苦手でね。辺境伯様、お手合わせ願えませんでしょうか？」

ライオネルは、ヘラヘラした表情から一転して真顔になったと思いきやアレクに向かって威圧を放つ。その瞬間、マンテ爺がアレクを守るようにライオネルへ一撃を食らわせる。しかし、ライオネルはマンテ爺の爪での一撃をレイピアで弾き返してマンテ爺の顔面へとレイピアを突き刺す。だが、アレクがレイピアを掴んで阻止するのだ。

「フフッ、アッハハハ、やるねぇ！僕の攻撃を受け止めるなんて！どうだい？やる気になったかな？」

「ライオネル！いい加減にしろ！これ以上、やるようなら不敬罪で処罰してもらうぞ」

ゴルドンが、顔を真っ赤にしてライオネルの肩を強く突き飛ばして怒鳴る。

「ライオネルさん、やりましょうか！但し、どうなっても知りませんよ？」

アレクは、ライオネルに殺気を放つ。

「フフッ、凄い殺気だね。ゾクゾクしてくるよ！殺ろうか」

ライオネルは、アレクの殺気を浴びても一切怯むことなく、部屋から出て訓練場へと向かう。

「気を付けるんじゃ！ヤツから嫌な匂いがするわい」

マンテ爺は、何かに気づいたようで、アレクに忠告をする。

「うん！俺も感じたよ！多分だけど、神力を使うことになりそうだね」

アレクも神力を身に着けたことで、ライオネルに何かあると感じたのだった。