上 下
386 / 730
第2章 強敵ルシファーと新たな力を得る

500回記念! 前編)最強の鬼人の王と怠惰なデュアル!

しおりを挟む
「パスク、長かったね。3日前から楽しみで一睡もできなかったよ」

アレクは、目の下に隈ができている。その目の前にいるパスクも、目の下に隈を作ってどんよりした顔をしている。

「私も、同じく寝ていませんよ!あの豪牙に憑依した鬼人の王と初代魔王様が戦う姿を拝めるのですからね」

前回の水晶は、鬼人の娘が訪ねてきて、戦士長ザリューを倒したデュアルを連れてこいと言ったところで終わっていたのだ。

「だよねだよね!どんな戦いをするのか楽しみで仕方ないよね!もう我慢できないし、早速見ちゃおうよ」

アレクは、いつになくワクワクした顔をしている。パスクは、準備万端と言わんばかりに水晶を取り出してテーブルに置く。すると、ほわんほわんと淡い光を放っている。

「きたよ!きたよ!おっ!なんか映ってる」

「そうですね!なんだか、凄い豪華な椅子に誰か座ってますよ」

覗くと、そこには金ピカな椅子に座る鬼人の姿が映し出されていた。





「お父様!言われた通り、ザリューを倒した者を連れて参りました!」

隼人と鬼人の娘は、片膝を突いて鬼人の王に対して礼をする。しかし、デュアルは、立ったまま一切敬う様子がない。

「早く片膝を突いて俯いてください」

見兼ねた鬼人の王の娘が、デュアルに小声で伝える。だが、デュアルは全然動く気配がない。

「王の御前だぞ!その態度はなんだ」

王の横に待機していた二人の鬼人が、槍を構えてデュアルに向ける。

「王だかなんだか知らないけどさ。急に呼ばれて、わざわざ来てやったんだよ。それに、俺が仕える人でもなんだからさ。なんで、片膝を突かないといけないの?」

デュアルは、いつもの様子で返答する。隼人は、そんなデュアルを見て、馬鹿だと手で顔を覆う。

「王に向かって、その言い草は許せん!覚悟しろ」

二人の鬼人が、デュアルに向かって槍で攻撃を仕掛ける。デュアルは、全く身構える様子もない。

死の宣告デス・センテンス

デュアルが、そう言うと二人の鬼人は、力が抜けたように地面へと倒れる。それを見た鬼人の王は、「ほぉ~」と呟く。他の鬼人は、急に倒れた二人の鬼人を見て何が起きたんだとざわつき始める。

「おもしろいスキルを使うではないか!ザリューよりも強い二人を一瞬で殺すとはな!おい!我にも、そのスキルを試してみろ」

なんと鬼人の王は、自ら死の宣告デス・センテンスを食らおうとしている。

死の宣告デス・センテンス

デュアルは、なんの躊躇もなくスキルを放つ。

「うむ!我にはどうやら効かんようであるな。ザリューそして、その二人を殺す力を持っているから期待したのだが、期待外れであったようだな」

「隼人に続いて、こいつも俺より強いのかよ!そろそろ俺も鍛えなきゃ......」

そんなことを話していると、いつの間にか鬼人の王の腕がデュアルの胸を貫通していたのだ。デュアルは、一瞬何が起こったかわからない様子で、胸辺りに熱い何かを感じると思い、見やると腕が貫通して血が大量に溢れていた。

「ぶはぁ......」

デュアルは、口から大量の血を吐く。

「弱気者に興味はない!さっさと死ね」

鬼人の王が腕を胸から引き抜く。その直後、デュアルは崩れ落ちて床に倒れる。

稲妻ライトニングボルト

隼人が、鬼人の王目掛けて最大魔力量で稲妻ライトニングボルトを放つ。そして、稲妻ライトニングボルトが鬼人の王へとまともに当たるが、一切ダメージを負った感じがない。

「うむ!少しビリビリするな!それに、少し傷がついたようである。我に傷をつけるとはおもしろいやつよ」

手に微かな火傷の跡があるくらいで傷と言っていい代物ではない!しかし、何百年振りの微かなダメージに大笑いをする鬼人の王。

「チッ!最大魔力量でもダメージなしかよ!はぁ......諦めるしかないか」

隼人は、あわよくば多少時間稼ぎくらいできればと淡い期待を抱いていた。しかし、全くのノーダメージで、デュアルを抱えて逃げるなどできるはずもなく、この絶望の状況に諦めてしまう。

「隼人、その娘を頼む!消し飛ばすから最大でガードしろ!」

「えっ?おい!どういうって?クソ~」

新生領域フィールドノヴァ

デュアルは、死んだはずにも関わらず、何もなかったかのように立ち上がって、全てを破壊する新生領域フィールドノヴァを放つ。隼人は、急に言われたものだから慌ててしまうが、デュアルからの無茶振りはいつものことなので、すぐに体が動いて鬼人の王の娘の下へと向かう。

「これは!ぐぁぁぁぁぁぁ」

流石の鬼人の王も、新生領域フィールドノヴァに飲み込まれて悲痛な叫びをあげるのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話

ラララキヲ
恋愛
 長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。  初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。  しかし寝室に居た妻は……  希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──  一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……── <【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました> ◇テンプレ浮気クソ男女。 ◇軽い触れ合い表現があるのでR15に ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇ご都合展開。矛盾は察して下さい… ◇なろうにも上げてます。 ※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)

妹だけを可愛がるなら私はいらないでしょう。だから消えます……。何でもねだる妹と溺愛する両親に私は見切りをつける。

しげむろ ゆうき
ファンタジー
誕生日に買ってもらったドレスを欲しがる妹 そんな妹を溺愛する両親は、笑顔であげなさいと言ってくる もう限界がきた私はあることを決心するのだった

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断

Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。 23歳の公爵家当主ジークヴァルト。 年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。 ただの女友達だと彼は言う。 だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。 彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。 また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。 エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。 覆す事は出来ない。 溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。 そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。 二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。 これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。 エルネスティーネは限界だった。 一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。 初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。 だから愛する男の前で死を選ぶ。 永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。 矛盾した想いを抱え彼女は今――――。 長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。 センシティブな所へ触れるかもしれません。 これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

婚約破棄されたら魔法が解けました

かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」 それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。 「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」 あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。 「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」 死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー! ※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。