上 下
364 / 756
第1章 王国を脅かす敵

第478話 マーカスとの話し合いと神具破壊!

しおりを挟む
「マーカスさん、そろそろお話しましょうか?」

アレクは、十戒に軽食を出して寛いでもらう。そして、ある程度食べ終わったのを見計らってマーカスに声をかけた。

「はい!私は、いつでも構いません」

「では、こちらにお越し下さい。他の方々は、こちらでお寛ぎください」

マーカスを個室へ案内する。他の十戒達には、ファビロがお茶を出してもてなししている。一応変な行動をしないように、ノックスとパスクとオレールが見張っている。

「この部屋には、防音の魔道具がありますので、外に声が漏れることはありません。気兼ねなく話してください」

部屋に入ると、アレクは一言目に防音の話しをする。

「防音ですか!私としてはありがたいのですが、もしタカハシ辺境伯様を襲った場合、助けは来ませんよ。不用心過ぎませんか?」

アレクとマーカスは、自己紹介を済ませているのでお互いに名前を呼び合う。

「襲う気だったのですか?もし、本気なら相手しますよ」

アレクは、いつでも来てくださいといった様子で笑みを浮かべたまま答える。

「襲いませんよ!この状況下で襲う馬鹿なんていません!それよりも、話を聞いてください」

マーカスは、神具も取られた状況かつ、もしアレクを倒すことができたとしても、ノックス達が見張っているので逃げ場がないと思うのだ。

「そうですか。意外に常識を持たれているのですね。それで、話とはなんですか?」

マーカスは、ここへきた目的と教皇の独裁的な行いについて話し、どうにか助けてもらうことが出来ないかを伝える。そして、十戒の中に4人だけ教皇に賛同する者がいることも話す。

「今すぐどうにかするのは難しいですね。国同士の争いになりかねませんから。マーカスさんは、聖王国を捨てる気はありますか?」

「捨てるですか!?教会にはうんざりしていますが......故郷を捨てるのは......タカハシ辺境伯様は力がある方のようですし、解決して頂けませんか?」

マーカスは、躊躇してしまい、すぐに答えを出すことが出来ずにいる。

「助けを乞いに来たにしては、考えが甘いですね。他人に全てを押し付けるくせに、自分は何も失いたくないとは救う価値すらありませんよ」

アレクは、マーカスの話を聞く限り、自分に被害が一切被らないようにしようと必死で、他人任せにしようというのがありありと感じてしまい人間性を疑うのだ。

「なっ!こちらが下手に出ていればつけあがりやがって!そこまで言われる筋合いはないだろ!もういい!今すぐ神具を返せ!自分で解決する」

マーカスは、図星を突かれて思わず怒ってしまう。

「本性を現しましたね。それに、神具を返すのはいいですが、あれ偽物ですよ!神の力が一切宿ってませんから!」

アレクは、創造神を見たり、ヒルコと同化していた経緯から神の力がどのような物かを理解していた。しかし、十戒が持ってきた神具からは、一切何も感じなかったのである。

「え?ってそんなわけ無いだろ!あれは、聖王国に代々伝わってきた物だ!それと貴様に何故わかる」

マーカスは、全身から怒りをあらわにしてアレクを睨みつける。今にも襲い掛かりそうな勢いだ。

「創造神様に会っていますし、俺自身が半神なのでわかるといった感じですね」

アレクが、当たり前のように答えるとマーカスは、怒りの限界を迎えたのか?「何をわけのわからないことをほざいている」と言いながらアレクを殴ろうとする。

「はぁ~思い通りにならないと駄々をこねる子供と同じじゃないですか!これを飲んで、大人しくしてください!」

アレクは、素早く攻撃を躱して、腹に重たい一撃を食らわせると、相手は嗚咽と涙目になる。間髪入れずに、マーカスの鼻をつまみポーション瓶を口に突っ込み、液体を無理矢理飲ませるのだ。

「大人しくしてくださいね。あと、これは破壊しちゃいましょう!神具でもなんでもないですから」

アレクが、飲ませた液体は、体を痺れさせて自由を奪うものだった。更に、魔法鞄に入れていた偽の神具を取り出して、殴りつけながら一つ一つ破壊していく。その光景を這いつくばりながら見ているマーカスは、目から涙を流している。

「涙を流さなくてもいいじゃないですか!本物ならこんなやすやすと破壊できませんよ。偽物だとわかってよかったじゃないですか」

アレクは、更にマーカスにキツイ一言を浴びせる。マーカスは、涙を流してアレクを親の仇のような恨んだ瞳で見つめるが、身動きが取れない状況ではどうすることも出来ないのであった。
しおりを挟む
感想 2,129

あなたにおすすめの小説

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

魔力∞を魔力0と勘違いされて追放されました

紗南
ファンタジー
異世界に神の加護をもらって転生した。5歳で前世の記憶を取り戻して洗礼をしたら魔力が∞と記載されてた。異世界にはない記号のためか魔力0と判断され公爵家を追放される。 国2つ跨いだところで冒険者登録して成り上がっていくお話です 更新は1週間に1度くらいのペースになります。 何度か確認はしてますが誤字脱字があるかと思います。 自己満足作品ですので技量は全くありません。その辺り覚悟してお読みくださいm(*_ _)m

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。 『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。 魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。 しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も… そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。 しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。 …はたして主人公の運命やいかに…

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)

いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。 全く親父の奴!勝手に消えやがって! 親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。 俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。 母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。 なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな? なら、出ていくよ! 俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ! これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。 カクヨム様にて先行掲載中です。 不定期更新です。

今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので

sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。 早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。 なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。 ※魔法と剣の世界です。 ※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。

幼女に転生したらイケメン冒険者パーティーに保護&溺愛されています

ひなた
ファンタジー
死んだと思ったら 目の前に神様がいて、 剣と魔法のファンタジー異世界に転生することに! 魔法のチート能力をもらったものの、 いざ転生したら10歳の幼女だし、草原にぼっちだし、いきなり魔物でるし、 魔力はあって魔法適正もあるのに肝心の使い方はわからないし で転生早々大ピンチ! そんなピンチを救ってくれたのは イケメン冒険者3人組。 その3人に保護されつつパーティーメンバーとして冒険者登録することに! 日々の疲労の癒しとしてイケメン3人に可愛いがられる毎日が、始まりました。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。