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第1章 王国を脅かす敵
第474話 マーカスとウェンデルの密会!
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謁見が終わり、明日には魔物の街へ出立するということで十戒は、王城で寝泊まりしている。そしてウェンデルが、アントンに懇願をして、王国を見て回りたいというとすんなり承認が下り、十戒の男性陣は夜の街へと繰り出すのであった。
「まさか、こうもあっさりと許可が下りるとは思いませんでした」
今マーカスとウェンデルは、二人きりとなり酒場で話しをしている。
「こちらとしては有り難いが、入国してから王国の意図が全く見えないのが不気味ですね。こちらの動きを全て把握しているような」
マーカスは、王国の自分達に対する対応に焦りを見せている。
「隊長、十中八九対策されているでしょう。我々は、罠に嵌ってしまったネズミなのでしょうね。あっ!そうでした。これをお聞き下さい」
ウェンデルは、防音結界を張って、魔道具で録音された音声を流す。
「やはり、シュナイツは危険ですね。それに、あとから入ってきた連中も馬鹿ばかりのようですね」
録音されたのは、マーカスとウェンデルが出たあとの控え室でのやり取りであった。
「隊長は、あのことを後悔されていますか?」
ウェンデルは、過去に起きたことを話始める。
「後悔ですか......難しいですね。ですが、あのままでは、殺されていましたから、あのようにするほかなかったでしょう」
どうやら悲惨な過去があり、それについて話し始めたようだ。思わず、マーカスは苦痛の表情を浮かべる。
「今無事幸せに生きてくれていたらいいのですがね」
過去に何があったかというと、十戒の初期のメンバー半数を殺したことになっている。それは、教皇の行いに異議を反した者たちが、聖王国から出ていくと言い出したことが始まりである。それに気づいた教皇が、自分の犬であるシュナイツ達に殺しを命じたのだ。だが、それに気付いたマーカスは、その前に手を打ち仲間達を殺したことにして国外へ逃がしたのである。
「そうですね。それよりも、そろそろ本題に入りましょうか。先程までは、任務を遂行しようと思っていましたが、決心が付きました」
「決心ですか。具体的な内容を聞かせて下さい」
マーカスの言葉を聞いて、ウェンデルは真剣な表情になり尋ねる。
「デストロイを退けた者がいるとすれば、魔物の街でしょう。そのような者が、本当にいるとするならば、助けを求めましょう」
マーカスが、その後も話しを続ける。マーカスも、現教皇の汚い人間性に嫌気をさしていた。だが、数多くの金で雇われた暗殺者や兵が守っているのに加えて、教皇に手が出せないように魔法制約まで結ばされており、手を出せずにいたのだ。だが、陛下の様子や陛下の周りにいる者たちの余裕な表情を見せて、このことから戦争になったとしても負けない何かあると察したマーカスは、これに賭けることにしたのである。
「助けを求めたからと言って、簡単に聞き入れてもらえるでしょうか?」
「そこが問題ですね。しかも、魔法制約で十戒同士の争いも禁じられていますからね。シュナイツ達を殺して逃げるわけも行きませんし」
魔法制約に反した場合、その場で死を持って償わなくてはならない。
「そうですね!あっ!魔物の街へ行った際、シュナイツ達に先陣を切って貰うのはどうですか?あいつらならば、疑わず戦いにいくでしょう」
「あわよくば倒してもらおうという考えですね。もし、無理だった場合は、聖王国に帰りしっかりと作戦を練り直せばいいだけと......」
ウェンデルは、アレク達に全て押し付けて、うまく転べば泣き付くという汚い手を考える。マーカスも、それが最善策だと考えて話に乗る。アレク達が、助けてくれる確証はないが、もうこの作戦しかないと思うのだ。
「では、うまく行くよう願いながら前祝いでもしましょうか」
「そうですね。普段気兼ねなく飲める機会も、そうそうあるわけではありませんから」
そう言って、二人はエールとつまみを食べながら、久しぶりに楽しい食事をするのであった。
「まさか、こうもあっさりと許可が下りるとは思いませんでした」
今マーカスとウェンデルは、二人きりとなり酒場で話しをしている。
「こちらとしては有り難いが、入国してから王国の意図が全く見えないのが不気味ですね。こちらの動きを全て把握しているような」
マーカスは、王国の自分達に対する対応に焦りを見せている。
「隊長、十中八九対策されているでしょう。我々は、罠に嵌ってしまったネズミなのでしょうね。あっ!そうでした。これをお聞き下さい」
ウェンデルは、防音結界を張って、魔道具で録音された音声を流す。
「やはり、シュナイツは危険ですね。それに、あとから入ってきた連中も馬鹿ばかりのようですね」
録音されたのは、マーカスとウェンデルが出たあとの控え室でのやり取りであった。
「隊長は、あのことを後悔されていますか?」
ウェンデルは、過去に起きたことを話始める。
「後悔ですか......難しいですね。ですが、あのままでは、殺されていましたから、あのようにするほかなかったでしょう」
どうやら悲惨な過去があり、それについて話し始めたようだ。思わず、マーカスは苦痛の表情を浮かべる。
「今無事幸せに生きてくれていたらいいのですがね」
過去に何があったかというと、十戒の初期のメンバー半数を殺したことになっている。それは、教皇の行いに異議を反した者たちが、聖王国から出ていくと言い出したことが始まりである。それに気づいた教皇が、自分の犬であるシュナイツ達に殺しを命じたのだ。だが、それに気付いたマーカスは、その前に手を打ち仲間達を殺したことにして国外へ逃がしたのである。
「そうですね。それよりも、そろそろ本題に入りましょうか。先程までは、任務を遂行しようと思っていましたが、決心が付きました」
「決心ですか。具体的な内容を聞かせて下さい」
マーカスの言葉を聞いて、ウェンデルは真剣な表情になり尋ねる。
「デストロイを退けた者がいるとすれば、魔物の街でしょう。そのような者が、本当にいるとするならば、助けを求めましょう」
マーカスが、その後も話しを続ける。マーカスも、現教皇の汚い人間性に嫌気をさしていた。だが、数多くの金で雇われた暗殺者や兵が守っているのに加えて、教皇に手が出せないように魔法制約まで結ばされており、手を出せずにいたのだ。だが、陛下の様子や陛下の周りにいる者たちの余裕な表情を見せて、このことから戦争になったとしても負けない何かあると察したマーカスは、これに賭けることにしたのである。
「助けを求めたからと言って、簡単に聞き入れてもらえるでしょうか?」
「そこが問題ですね。しかも、魔法制約で十戒同士の争いも禁じられていますからね。シュナイツ達を殺して逃げるわけも行きませんし」
魔法制約に反した場合、その場で死を持って償わなくてはならない。
「そうですね!あっ!魔物の街へ行った際、シュナイツ達に先陣を切って貰うのはどうですか?あいつらならば、疑わず戦いにいくでしょう」
「あわよくば倒してもらおうという考えですね。もし、無理だった場合は、聖王国に帰りしっかりと作戦を練り直せばいいだけと......」
ウェンデルは、アレク達に全て押し付けて、うまく転べば泣き付くという汚い手を考える。マーカスも、それが最善策だと考えて話に乗る。アレク達が、助けてくれる確証はないが、もうこの作戦しかないと思うのだ。
「では、うまく行くよう願いながら前祝いでもしましょうか」
「そうですね。普段気兼ねなく飲める機会も、そうそうあるわけではありませんから」
そう言って、二人はエールとつまみを食べながら、久しぶりに楽しい食事をするのであった。
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