352 / 761
第1章 王国を脅かす敵
第466話 十戒ついに王国国境へと近づく!
しおりを挟む
十戒は、公国を通り過ぎて、山道を馬で走っている。
「隊長、すんなりと公国を抜けることができましたね」
聖王国と魔ノ国の情勢から公国を抜けて行く方法を選んだ十戒だったが、魔ノ国との国交もある公国なら聖王国の人間を警戒すると考えていた。
「そうですね。新しい国であるため手が回らないのか?あるいは、一切警戒されていないかですね。しかし、怪しい動きもなく、サリウスの感知スキルにすら引っかからない辺りを見ると警戒されていないのでしょう」
隊長は、常に警戒しながら公国を移動していたが、全くと言っていいほど、監視されている雰囲気はなかった。これは、事前に陛下から公国側に報告が来ており、監視が露呈し暴れられた場合、制圧できる者がいないということで、素通りさせるように言われていたからである。
「それなら、公国も滅ぼしてよかったのではないですか?」
水色のロングヘアの女性が怖い発言をする。
「はぁぁ、そのような発言はシュナイツだけで十分です。私達は、神に選ばれし存在なのですよ!無闇に人を殺めてはいけません!何故、こうも血の気の多い部下が多いのでしょうか......」
隊長は、ヤレヤレといった表情をする。その様子を見ていた副隊長が並走して話しかけてくる。
「隊長、あとで罰を与えましょうか?何人か気の緩みもあるように感じますので!」
「しなくていいですよ!気の緩んだ部下が、もし死んだとしても自分の責任ですからね。ですが、神具はしっかり回収してくださいね」
神に選ばれた存在が、油断ごときでやられるようなら、それは偽物であり神具を持つ資格がない者だと考える隊長。
「はい!畏まりました。隊長がおっしゃるのであれば、そのように致します」
副隊長は、そのまま隊列に戻って馬を走らせる。
◆
あれから10日が過ぎて、十戒達は王国の国境付近へとやってきた。
「やはり警戒は薄いようですね!このまま簡単に侵入して王国の悪を断絶できそうですね」
「隊長、サリウスからの報告です!数名がこちらの様子を覗っているとのことです」
隊長は、気付いていなかったが、感知スキルを持つサリウスは、どれだけ気配を消した敵でも見つけ出す。
「全く気が付きませんでしたね。暗部でしょうか?まぁ、なんにしろ相当な手練れですね」
隊長は、わざと気付いていないような素振りを見せながら副隊長と話す。
「隊長、殺しますか?」
「これで出てくるのなら殺しましょう」
隊長は、そう言いながら偵察している王国の暗部に向かって殺気を放つ。
「出てきませんね。感知スキルに、まだ引っかかりますか?」
隊長は、サリウスに尋ねる。そしてサリウスは、感知スキルを使って辺りを探る。
「いなくなっています。隊長、そう遠くへは行っていないと思いますので追いますか?」
「放っておきなさい。殺気を放って襲ってこないところを見ると偵察でしょう。それより、あの者たちと私達どちらが強かったですか?」
隊長は、前線へ送ってくるのならばある程度の猛者であると考えていた。ならば、その強さを知ることで王国の戦力を割り出せると判断したのだ。
「私達の方が強いです。相手は三人いましたが、三人とターナーが戦って互角ぐらいでしょうか!一番弱いターナーと互角なら取るに足りない相手です」
「そうですか。そうなると王国の騎士団も大したことなさそうですね。少し期待していましたが、残念です」
ターナーとは、十戒の10番目に位置する人物であり、十戒の中では最弱である。そのターナーと変わらない強さなら王国の軍事力など底が知れたと考える隊長。
「皆さんに、これからの行動を説明します。注目してください」
隊長は、十戒全員を集めて話し出す。内容としては、王国内に入っても、逆らった者や危害を加えてきた者以外、無闇に人を殺さないこと。更には、変な動きをしない限り、当分の間は、ウズベル王や王城の者も殺してはならないとした。隊長としては、赦す心を持つことも神に選ばれた者の定めとして、その為には、平等に相手の考えも聞く必要があると思っている。
「隊長、それだと相手になめられねぇか?」
シュナイツが、隊長に対して意見する。
「なめられたら殺せばよいのです!ですが、人はまた平等ですからね。まずは、話を聞いてみましょう。しかし、抵抗するなら皆殺しで構いません」
「チッ!さっさと皆殺しにすりゃいいのによ......ってわかったよ!隊長の言う通りにすりゃいいんだろ」
何かにつけて文句を口にするシュナイツに対して、暗部に向けた殺気より更に濃い殺気をぶつける。シュナイツは、これ以上口答えすると殺されると判断して、仕方なく言うことを聞くのだった。
「隊長、すんなりと公国を抜けることができましたね」
聖王国と魔ノ国の情勢から公国を抜けて行く方法を選んだ十戒だったが、魔ノ国との国交もある公国なら聖王国の人間を警戒すると考えていた。
「そうですね。新しい国であるため手が回らないのか?あるいは、一切警戒されていないかですね。しかし、怪しい動きもなく、サリウスの感知スキルにすら引っかからない辺りを見ると警戒されていないのでしょう」
隊長は、常に警戒しながら公国を移動していたが、全くと言っていいほど、監視されている雰囲気はなかった。これは、事前に陛下から公国側に報告が来ており、監視が露呈し暴れられた場合、制圧できる者がいないということで、素通りさせるように言われていたからである。
「それなら、公国も滅ぼしてよかったのではないですか?」
水色のロングヘアの女性が怖い発言をする。
「はぁぁ、そのような発言はシュナイツだけで十分です。私達は、神に選ばれし存在なのですよ!無闇に人を殺めてはいけません!何故、こうも血の気の多い部下が多いのでしょうか......」
隊長は、ヤレヤレといった表情をする。その様子を見ていた副隊長が並走して話しかけてくる。
「隊長、あとで罰を与えましょうか?何人か気の緩みもあるように感じますので!」
「しなくていいですよ!気の緩んだ部下が、もし死んだとしても自分の責任ですからね。ですが、神具はしっかり回収してくださいね」
神に選ばれた存在が、油断ごときでやられるようなら、それは偽物であり神具を持つ資格がない者だと考える隊長。
「はい!畏まりました。隊長がおっしゃるのであれば、そのように致します」
副隊長は、そのまま隊列に戻って馬を走らせる。
◆
あれから10日が過ぎて、十戒達は王国の国境付近へとやってきた。
「やはり警戒は薄いようですね!このまま簡単に侵入して王国の悪を断絶できそうですね」
「隊長、サリウスからの報告です!数名がこちらの様子を覗っているとのことです」
隊長は、気付いていなかったが、感知スキルを持つサリウスは、どれだけ気配を消した敵でも見つけ出す。
「全く気が付きませんでしたね。暗部でしょうか?まぁ、なんにしろ相当な手練れですね」
隊長は、わざと気付いていないような素振りを見せながら副隊長と話す。
「隊長、殺しますか?」
「これで出てくるのなら殺しましょう」
隊長は、そう言いながら偵察している王国の暗部に向かって殺気を放つ。
「出てきませんね。感知スキルに、まだ引っかかりますか?」
隊長は、サリウスに尋ねる。そしてサリウスは、感知スキルを使って辺りを探る。
「いなくなっています。隊長、そう遠くへは行っていないと思いますので追いますか?」
「放っておきなさい。殺気を放って襲ってこないところを見ると偵察でしょう。それより、あの者たちと私達どちらが強かったですか?」
隊長は、前線へ送ってくるのならばある程度の猛者であると考えていた。ならば、その強さを知ることで王国の戦力を割り出せると判断したのだ。
「私達の方が強いです。相手は三人いましたが、三人とターナーが戦って互角ぐらいでしょうか!一番弱いターナーと互角なら取るに足りない相手です」
「そうですか。そうなると王国の騎士団も大したことなさそうですね。少し期待していましたが、残念です」
ターナーとは、十戒の10番目に位置する人物であり、十戒の中では最弱である。そのターナーと変わらない強さなら王国の軍事力など底が知れたと考える隊長。
「皆さんに、これからの行動を説明します。注目してください」
隊長は、十戒全員を集めて話し出す。内容としては、王国内に入っても、逆らった者や危害を加えてきた者以外、無闇に人を殺さないこと。更には、変な動きをしない限り、当分の間は、ウズベル王や王城の者も殺してはならないとした。隊長としては、赦す心を持つことも神に選ばれた者の定めとして、その為には、平等に相手の考えも聞く必要があると思っている。
「隊長、それだと相手になめられねぇか?」
シュナイツが、隊長に対して意見する。
「なめられたら殺せばよいのです!ですが、人はまた平等ですからね。まずは、話を聞いてみましょう。しかし、抵抗するなら皆殺しで構いません」
「チッ!さっさと皆殺しにすりゃいいのによ......ってわかったよ!隊長の言う通りにすりゃいいんだろ」
何かにつけて文句を口にするシュナイツに対して、暗部に向けた殺気より更に濃い殺気をぶつける。シュナイツは、これ以上口答えすると殺されると判断して、仕方なく言うことを聞くのだった。
90
お気に入りに追加
6,126
あなたにおすすめの小説
スキルが農業と豊穣だったので追放されました~辺境伯令嬢はおひとり様を満喫しています~
白雪の雫
ファンタジー
「アールマティ、当主の名において穀潰しのお前を追放する!」
マッスル王国のストロング辺境伯家は【軍神】【武神】【戦神】【剣聖】【剣豪】といった戦闘に関するスキルを神より授かるからなのか、代々優れた軍人・武人を輩出してきた家柄だ。
そんな家に産まれたからなのか、ストロング家の者は【力こそ正義】と言わんばかりに見事なまでに脳筋思考の持ち主だった。
だが、この世には例外というものがある。
ストロング家の次女であるアールマティだ。
実はアールマティ、日本人として生きていた前世の記憶を持っているのだが、その事を話せば病院に送られてしまうという恐怖があるからなのか誰にも打ち明けていない。
そんなアールマティが授かったスキルは【農業】と【豊穣】
戦いに役に立たないスキルという事で、アールマティは父からストロング家追放を宣告されたのだ。
「仰せのままに」
父の言葉に頭を下げた後、屋敷を出て行こうとしているアールマティを母と兄弟姉妹、そして家令と使用人達までもが嘲笑いながら罵っている。
「食糧と食料って人間の生命活動に置いて一番大事なことなのに・・・」
脳筋に何を言っても無駄だと子供の頃から悟っていたアールマティは他国へと亡命する。
アールマティが森の奥でおひとり様を満喫している頃
ストロング領は大飢饉となっていた。
農業系のゲームをやっていた時に思い付いた話です。
主人公のスキルはゲームがベースになっているので、作物が実るのに時間を要しないし、追放された後は現代的な暮らしをしているという実にご都合主義です。
短い話という理由で色々深く考えた話ではないからツッコミどころ満載です。
令嬢に転生してよかった!〜婚約者を取られても強く生きます。〜
三月べに
ファンタジー
令嬢に転生してよかった〜!!!
素朴な令嬢に婚約者である王子を取られたショックで学園を飛び出したが、前世の記憶を思い出す。
少女漫画や小説大好き人間だった前世。
転生先は、魔法溢れるファンタジーな世界だった。リディーは十分すぎるほど愛されて育ったことに喜ぶも、婚約破棄の事実を知った家族の反応と、貴族内の自分の立場の危うさを恐れる。
そして家出を決意。そのまま旅をしながら、冒険者になるリディーだったのだが?
【連載再開しました! 二章 冒険編。】
子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!
八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。
『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。
魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。
しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も…
そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。
しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。
…はたして主人公の運命やいかに…
兄がやらかしてくれました 何をやってくれてんの!?
志位斗 茂家波
ファンタジー
モッチ王国の第2王子であった僕は、将来の国王は兄になると思って、王弟となるための勉学に励んでいた。
そんなある日、兄の卒業式があり、祝うために家族の枠で出席したのだが‥‥‥婚約破棄?
え、なにをやってんの兄よ!?
…‥‥月に1度ぐらいでやりたくなる婚約破棄物。
今回は悪役令嬢でも、ヒロインでもない視点です。
※ご指摘により、少々追加ですが、名前の呼び方などの決まりはゆるめです。そのあたりは稚拙な部分もあるので、どうかご理解いただけるようにお願いしマス。
魔力∞を魔力0と勘違いされて追放されました
紗南
ファンタジー
異世界に神の加護をもらって転生した。5歳で前世の記憶を取り戻して洗礼をしたら魔力が∞と記載されてた。異世界にはない記号のためか魔力0と判断され公爵家を追放される。
国2つ跨いだところで冒険者登録して成り上がっていくお話です
更新は1週間に1度くらいのペースになります。
何度か確認はしてますが誤字脱字があるかと思います。
自己満足作品ですので技量は全くありません。その辺り覚悟してお読みくださいm(*_ _)m
授かったスキルが【草】だったので家を勘当されたから悲しくてスキルに不満をぶつけたら国に恐怖が訪れて草
ラララキヲ
ファンタジー
(※[両性向け]と言いたい...)
10歳のグランは家族の見守る中でスキル鑑定を行った。グランのスキルは【草】。草一本だけを生やすスキルに親は失望しグランの為だと言ってグランを捨てた。
親を恨んだグランはどこにもぶつける事の出来ない気持ちを全て自分のスキルにぶつけた。
同時刻、グランを捨てた家族の居る王都では『謎の笑い声』が響き渡った。その笑い声に人々は恐怖し、グランを捨てた家族は……──
※確認していないので二番煎じだったらごめんなさい。急に思いついたので書きました!
※「妻」に対する暴言があります。嫌な方は御注意下さい※
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げています。
転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜
犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。
馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。
大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。
精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。
人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。
【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。