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第1章 王国を脅かす敵
第466話 十戒ついに王国国境へと近づく!
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十戒は、公国を通り過ぎて、山道を馬で走っている。
「隊長、すんなりと公国を抜けることができましたね」
聖王国と魔ノ国の情勢から公国を抜けて行く方法を選んだ十戒だったが、魔ノ国との国交もある公国なら聖王国の人間を警戒すると考えていた。
「そうですね。新しい国であるため手が回らないのか?あるいは、一切警戒されていないかですね。しかし、怪しい動きもなく、サリウスの感知スキルにすら引っかからない辺りを見ると警戒されていないのでしょう」
隊長は、常に警戒しながら公国を移動していたが、全くと言っていいほど、監視されている雰囲気はなかった。これは、事前に陛下から公国側に報告が来ており、監視が露呈し暴れられた場合、制圧できる者がいないということで、素通りさせるように言われていたからである。
「それなら、公国も滅ぼしてよかったのではないですか?」
水色のロングヘアの女性が怖い発言をする。
「はぁぁ、そのような発言はシュナイツだけで十分です。私達は、神に選ばれし存在なのですよ!無闇に人を殺めてはいけません!何故、こうも血の気の多い部下が多いのでしょうか......」
隊長は、ヤレヤレといった表情をする。その様子を見ていた副隊長が並走して話しかけてくる。
「隊長、あとで罰を与えましょうか?何人か気の緩みもあるように感じますので!」
「しなくていいですよ!気の緩んだ部下が、もし死んだとしても自分の責任ですからね。ですが、神具はしっかり回収してくださいね」
神に選ばれた存在が、油断ごときでやられるようなら、それは偽物であり神具を持つ資格がない者だと考える隊長。
「はい!畏まりました。隊長がおっしゃるのであれば、そのように致します」
副隊長は、そのまま隊列に戻って馬を走らせる。
◆
あれから10日が過ぎて、十戒達は王国の国境付近へとやってきた。
「やはり警戒は薄いようですね!このまま簡単に侵入して王国の悪を断絶できそうですね」
「隊長、サリウスからの報告です!数名がこちらの様子を覗っているとのことです」
隊長は、気付いていなかったが、感知スキルを持つサリウスは、どれだけ気配を消した敵でも見つけ出す。
「全く気が付きませんでしたね。暗部でしょうか?まぁ、なんにしろ相当な手練れですね」
隊長は、わざと気付いていないような素振りを見せながら副隊長と話す。
「隊長、殺しますか?」
「これで出てくるのなら殺しましょう」
隊長は、そう言いながら偵察している王国の暗部に向かって殺気を放つ。
「出てきませんね。感知スキルに、まだ引っかかりますか?」
隊長は、サリウスに尋ねる。そしてサリウスは、感知スキルを使って辺りを探る。
「いなくなっています。隊長、そう遠くへは行っていないと思いますので追いますか?」
「放っておきなさい。殺気を放って襲ってこないところを見ると偵察でしょう。それより、あの者たちと私達どちらが強かったですか?」
隊長は、前線へ送ってくるのならばある程度の猛者であると考えていた。ならば、その強さを知ることで王国の戦力を割り出せると判断したのだ。
「私達の方が強いです。相手は三人いましたが、三人とターナーが戦って互角ぐらいでしょうか!一番弱いターナーと互角なら取るに足りない相手です」
「そうですか。そうなると王国の騎士団も大したことなさそうですね。少し期待していましたが、残念です」
ターナーとは、十戒の10番目に位置する人物であり、十戒の中では最弱である。そのターナーと変わらない強さなら王国の軍事力など底が知れたと考える隊長。
「皆さんに、これからの行動を説明します。注目してください」
隊長は、十戒全員を集めて話し出す。内容としては、王国内に入っても、逆らった者や危害を加えてきた者以外、無闇に人を殺さないこと。更には、変な動きをしない限り、当分の間は、ウズベル王や王城の者も殺してはならないとした。隊長としては、赦す心を持つことも神に選ばれた者の定めとして、その為には、平等に相手の考えも聞く必要があると思っている。
「隊長、それだと相手になめられねぇか?」
シュナイツが、隊長に対して意見する。
「なめられたら殺せばよいのです!ですが、人はまた平等ですからね。まずは、話を聞いてみましょう。しかし、抵抗するなら皆殺しで構いません」
「チッ!さっさと皆殺しにすりゃいいのによ......ってわかったよ!隊長の言う通りにすりゃいいんだろ」
何かにつけて文句を口にするシュナイツに対して、暗部に向けた殺気より更に濃い殺気をぶつける。シュナイツは、これ以上口答えすると殺されると判断して、仕方なく言うことを聞くのだった。
「隊長、すんなりと公国を抜けることができましたね」
聖王国と魔ノ国の情勢から公国を抜けて行く方法を選んだ十戒だったが、魔ノ国との国交もある公国なら聖王国の人間を警戒すると考えていた。
「そうですね。新しい国であるため手が回らないのか?あるいは、一切警戒されていないかですね。しかし、怪しい動きもなく、サリウスの感知スキルにすら引っかからない辺りを見ると警戒されていないのでしょう」
隊長は、常に警戒しながら公国を移動していたが、全くと言っていいほど、監視されている雰囲気はなかった。これは、事前に陛下から公国側に報告が来ており、監視が露呈し暴れられた場合、制圧できる者がいないということで、素通りさせるように言われていたからである。
「それなら、公国も滅ぼしてよかったのではないですか?」
水色のロングヘアの女性が怖い発言をする。
「はぁぁ、そのような発言はシュナイツだけで十分です。私達は、神に選ばれし存在なのですよ!無闇に人を殺めてはいけません!何故、こうも血の気の多い部下が多いのでしょうか......」
隊長は、ヤレヤレといった表情をする。その様子を見ていた副隊長が並走して話しかけてくる。
「隊長、あとで罰を与えましょうか?何人か気の緩みもあるように感じますので!」
「しなくていいですよ!気の緩んだ部下が、もし死んだとしても自分の責任ですからね。ですが、神具はしっかり回収してくださいね」
神に選ばれた存在が、油断ごときでやられるようなら、それは偽物であり神具を持つ資格がない者だと考える隊長。
「はい!畏まりました。隊長がおっしゃるのであれば、そのように致します」
副隊長は、そのまま隊列に戻って馬を走らせる。
◆
あれから10日が過ぎて、十戒達は王国の国境付近へとやってきた。
「やはり警戒は薄いようですね!このまま簡単に侵入して王国の悪を断絶できそうですね」
「隊長、サリウスからの報告です!数名がこちらの様子を覗っているとのことです」
隊長は、気付いていなかったが、感知スキルを持つサリウスは、どれだけ気配を消した敵でも見つけ出す。
「全く気が付きませんでしたね。暗部でしょうか?まぁ、なんにしろ相当な手練れですね」
隊長は、わざと気付いていないような素振りを見せながら副隊長と話す。
「隊長、殺しますか?」
「これで出てくるのなら殺しましょう」
隊長は、そう言いながら偵察している王国の暗部に向かって殺気を放つ。
「出てきませんね。感知スキルに、まだ引っかかりますか?」
隊長は、サリウスに尋ねる。そしてサリウスは、感知スキルを使って辺りを探る。
「いなくなっています。隊長、そう遠くへは行っていないと思いますので追いますか?」
「放っておきなさい。殺気を放って襲ってこないところを見ると偵察でしょう。それより、あの者たちと私達どちらが強かったですか?」
隊長は、前線へ送ってくるのならばある程度の猛者であると考えていた。ならば、その強さを知ることで王国の戦力を割り出せると判断したのだ。
「私達の方が強いです。相手は三人いましたが、三人とターナーが戦って互角ぐらいでしょうか!一番弱いターナーと互角なら取るに足りない相手です」
「そうですか。そうなると王国の騎士団も大したことなさそうですね。少し期待していましたが、残念です」
ターナーとは、十戒の10番目に位置する人物であり、十戒の中では最弱である。そのターナーと変わらない強さなら王国の軍事力など底が知れたと考える隊長。
「皆さんに、これからの行動を説明します。注目してください」
隊長は、十戒全員を集めて話し出す。内容としては、王国内に入っても、逆らった者や危害を加えてきた者以外、無闇に人を殺さないこと。更には、変な動きをしない限り、当分の間は、ウズベル王や王城の者も殺してはならないとした。隊長としては、赦す心を持つことも神に選ばれた者の定めとして、その為には、平等に相手の考えも聞く必要があると思っている。
「隊長、それだと相手になめられねぇか?」
シュナイツが、隊長に対して意見する。
「なめられたら殺せばよいのです!ですが、人はまた平等ですからね。まずは、話を聞いてみましょう。しかし、抵抗するなら皆殺しで構いません」
「チッ!さっさと皆殺しにすりゃいいのによ......ってわかったよ!隊長の言う通りにすりゃいいんだろ」
何かにつけて文句を口にするシュナイツに対して、暗部に向けた殺気より更に濃い殺気をぶつける。シュナイツは、これ以上口答えすると殺されると判断して、仕方なく言うことを聞くのだった。
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