349 / 730
第1章 王国を脅かす敵
第463話 動き出す聖王国と十戒とは?
しおりを挟む
魔物の街で新しい命が生まれ、アレクも成人を迎えて、大いに盛り上がりを見せていた頃、聖王国では不穏な空気が流れていた。
「教皇様、王国から新たな情報が入りました。どうやら魔物の街があるようです!」
枢機卿らしき人物が、神殿の奥の豪華な椅子に腰掛ける太った教皇へと伝える。
「なんだと!それはまことか!?」
でっぷりとしたお腹を揺らしながら立ち上がろうとするが、うまく立ち上がることができず、周りにいた教会の人間に支えられながら立ち上がる。
「はい!国王もどうやら認めているとのことです!」
「魔物は悪である!今すぐ王国を浄化せねばなるまい!王国の異端者たちに鉄槌を与えるのだ」
教皇は、有無を言わさぬ様子で枢機卿や周りにいる教会の人間に命令をする。
「はい!では、十戒を召集させようかと思うのですが、よろしいでしょうか?」
枢機卿は、ニヤリッと笑いながら教皇へと尋ねる。
「うむ!全員を召集せよ!そして、異端者には死を与えるのだ。グフフフ!これで王国も公国も我が物にできよう」
骨付きの肉をむしゃぶり食いながら、ニヤニヤした様子で、王国と公国を手中に治めた将来を思い浮かべる。
◆
「よくぞ集まってくれた十戒よ!楽にするといい」
教皇の間に、白の衣装を身に纏った十戒が集結する。
「勿体なきお言葉!十戒は教皇様の物であります!いかようにもお使いください!」
総勢10名が、胸に手を当てて敬礼をする。
「良き返事だ!十戒に、今回の計画を説明せよ」
教皇の横にいた人物に説明を求める。その人物は、教皇の言葉を聞き、十戒の前へと歩みを進める。
「王国で、魔物の街があるとの報告を受けた。更には、国王もそれを認めているとのことだ!十戒には、腐敗した王国の異端者どもの始末と魔物の街の浄化を頼みたい!」
それを聞いた十戒は、「ハッ」と敬礼しながら返事をする。
「十戒よ、神具の使用を許可する!必ずや王国を魔の手から救い出すのだ!いいな?」
教皇は、内心これで王国を我が物にできようと考えながらも、表面上では真剣な顔をして十戒へと命令する。
「ハッ!必ずや!王国を魔の手から解放してみせましょう!」
真ん中にいた十戒の隊長らしき人物が、気合いの入った返事をする。
「期待しておるぞ!下がるがよい」
十戒は、もう一度敬礼をして、教皇の間から出ていく。
◆
「隊長、神具の使用許可が下りましたが、使うほどの強敵が王国内にいるのでしょうか?」
帰る途中で、十戒の一人が隊長に問いかける。
「どうでしょうか?魔物の街というくらいですから、使役いや隷属スキルを所有している可能性が高いですね。どれほどの魔物を隷属にしているかはわかりませんが、油断は禁物ですよ」
20代半ばくらいの若い隊長が優しい笑顔で、部下に返事をする。
「以前聞いたのですが、忌まわしき魔ノ国とも同盟を結んだようです!もしかすると、魔ノ国が関係しているやもしれません」
別の部下が、新たな情報を隊長に伝える。そして、やはりというほかないが、魔ノ国も聖王国からすると忌まわしき国らしい。
「そうですか。魔ノ国との戦争も視野に入れなければなりませんね。そうなるとやはり神具の使用は必須のように感じますね。皆さん、相手を甘く見ず、常に全力を出してください」
隊長は、魔ノ国が関わっているのならば、魔王と四天王が必然と出てくると感じて、神具を使用しなければ、こちらも痛手を受けてしまうと思うのだ。
「いいじゃねぇか!強者を屈服させるのが一番の快感だからな!四天王も魔王も全て皆殺しだ!」
赤髪の短髪で鋭い目をした人物が、下品な笑い方をしながら話し出す。
「おい!シュナイツ!その下品な笑いをやめろ!何度言えばわかる!僕達は、神に選ばれし十戒だ!そのような物言いは慎んでもらいたい!」
先程までの優しい口調とは裏腹に、怒声を浴びせる隊長。その瞬間、部下たちは凍り付いたように固まり、顔を強張らせる。
「悪かった!気をつける」
シュナイツは、威勢よく話していたのが嘘のように下を向きながら怯える。
「わかってくれたのならいいんです。懺悔の心があれば、神もあなたの言動をお許しになられることでしょう」
言葉は優しくなったように感じるが、目は一切笑っておらず、これ以上汚い口を開けば、殺すと言っているような視線でシュナイツを見る。シュナイツは、怯えて思わず尻もちをついてしまうのだった。
「教皇様、王国から新たな情報が入りました。どうやら魔物の街があるようです!」
枢機卿らしき人物が、神殿の奥の豪華な椅子に腰掛ける太った教皇へと伝える。
「なんだと!それはまことか!?」
でっぷりとしたお腹を揺らしながら立ち上がろうとするが、うまく立ち上がることができず、周りにいた教会の人間に支えられながら立ち上がる。
「はい!国王もどうやら認めているとのことです!」
「魔物は悪である!今すぐ王国を浄化せねばなるまい!王国の異端者たちに鉄槌を与えるのだ」
教皇は、有無を言わさぬ様子で枢機卿や周りにいる教会の人間に命令をする。
「はい!では、十戒を召集させようかと思うのですが、よろしいでしょうか?」
枢機卿は、ニヤリッと笑いながら教皇へと尋ねる。
「うむ!全員を召集せよ!そして、異端者には死を与えるのだ。グフフフ!これで王国も公国も我が物にできよう」
骨付きの肉をむしゃぶり食いながら、ニヤニヤした様子で、王国と公国を手中に治めた将来を思い浮かべる。
◆
「よくぞ集まってくれた十戒よ!楽にするといい」
教皇の間に、白の衣装を身に纏った十戒が集結する。
「勿体なきお言葉!十戒は教皇様の物であります!いかようにもお使いください!」
総勢10名が、胸に手を当てて敬礼をする。
「良き返事だ!十戒に、今回の計画を説明せよ」
教皇の横にいた人物に説明を求める。その人物は、教皇の言葉を聞き、十戒の前へと歩みを進める。
「王国で、魔物の街があるとの報告を受けた。更には、国王もそれを認めているとのことだ!十戒には、腐敗した王国の異端者どもの始末と魔物の街の浄化を頼みたい!」
それを聞いた十戒は、「ハッ」と敬礼しながら返事をする。
「十戒よ、神具の使用を許可する!必ずや王国を魔の手から救い出すのだ!いいな?」
教皇は、内心これで王国を我が物にできようと考えながらも、表面上では真剣な顔をして十戒へと命令する。
「ハッ!必ずや!王国を魔の手から解放してみせましょう!」
真ん中にいた十戒の隊長らしき人物が、気合いの入った返事をする。
「期待しておるぞ!下がるがよい」
十戒は、もう一度敬礼をして、教皇の間から出ていく。
◆
「隊長、神具の使用許可が下りましたが、使うほどの強敵が王国内にいるのでしょうか?」
帰る途中で、十戒の一人が隊長に問いかける。
「どうでしょうか?魔物の街というくらいですから、使役いや隷属スキルを所有している可能性が高いですね。どれほどの魔物を隷属にしているかはわかりませんが、油断は禁物ですよ」
20代半ばくらいの若い隊長が優しい笑顔で、部下に返事をする。
「以前聞いたのですが、忌まわしき魔ノ国とも同盟を結んだようです!もしかすると、魔ノ国が関係しているやもしれません」
別の部下が、新たな情報を隊長に伝える。そして、やはりというほかないが、魔ノ国も聖王国からすると忌まわしき国らしい。
「そうですか。魔ノ国との戦争も視野に入れなければなりませんね。そうなるとやはり神具の使用は必須のように感じますね。皆さん、相手を甘く見ず、常に全力を出してください」
隊長は、魔ノ国が関わっているのならば、魔王と四天王が必然と出てくると感じて、神具を使用しなければ、こちらも痛手を受けてしまうと思うのだ。
「いいじゃねぇか!強者を屈服させるのが一番の快感だからな!四天王も魔王も全て皆殺しだ!」
赤髪の短髪で鋭い目をした人物が、下品な笑い方をしながら話し出す。
「おい!シュナイツ!その下品な笑いをやめろ!何度言えばわかる!僕達は、神に選ばれし十戒だ!そのような物言いは慎んでもらいたい!」
先程までの優しい口調とは裏腹に、怒声を浴びせる隊長。その瞬間、部下たちは凍り付いたように固まり、顔を強張らせる。
「悪かった!気をつける」
シュナイツは、威勢よく話していたのが嘘のように下を向きながら怯える。
「わかってくれたのならいいんです。懺悔の心があれば、神もあなたの言動をお許しになられることでしょう」
言葉は優しくなったように感じるが、目は一切笑っておらず、これ以上汚い口を開けば、殺すと言っているような視線でシュナイツを見る。シュナイツは、怯えて思わず尻もちをついてしまうのだった。
28
お気に入りに追加
5,415
あなたにおすすめの小説
妹だけを可愛がるなら私はいらないでしょう。だから消えます……。何でもねだる妹と溺愛する両親に私は見切りをつける。
しげむろ ゆうき
ファンタジー
誕生日に買ってもらったドレスを欲しがる妹
そんな妹を溺愛する両親は、笑顔であげなさいと言ってくる
もう限界がきた私はあることを決心するのだった
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話
ラララキヲ
恋愛
長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。
しかし寝室に居た妻は……
希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──
一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……──
<【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました>
◇テンプレ浮気クソ男女。
◇軽い触れ合い表現があるのでR15に
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾は察して下さい…
◇なろうにも上げてます。
※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
攫われた転生王子は下町でスローライフを満喫中!?
伽羅
ファンタジー
転生したのに、どうやら捨てられたらしい。しかも気がついたら籠に入れられ川に流されている。
このままじゃ死んじゃう!っと思ったら運良く拾われて下町でスローライフを満喫中。
自分が王子と知らないまま、色々ともの作りをしながら新しい人生を楽しく生きている…。
そんな主人公や王宮を取り巻く不穏な空気とは…。
このまま下町でスローライフを送れるのか?
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜
犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。
馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。
大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。
精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。
人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。