チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!

芽狐@書籍発売中

文字の大きさ
上 下
335 / 818
第6章 新たな仲間

第449話 この三人を敵に回したが最後!そして、スベアの近況!

しおりを挟む
ノックスとパスクは、いつでも抜刀できるように集中する。そして、オレールは魔法鞄から杖を取り出す。

「この先で隠れているな!オーラ的に、弱そうだが気を抜くなよ」

ノックスの言葉に、頷く二人。それから、何も知らないフリをしながらも集中を切らさずに街道を歩く。

「いい剣と防具じゃねぇか!殺されたくなけりゃ置いていけ」

身なりから盗賊だろうと思われる男が姿を現し脅してくる。その声に反応するかのように隠れていた仲間がぞろぞろと出てくる。

「ブッハハハハハ、嫌に決まってるだろ!警戒して損したぞ!てっきり罠かいきなり襲ってくると思っていたからな」

あまりに堂々と姿をさらけ出す盗賊に笑いが出てしまう。

「な、笑うんじゃねぇ~おめぇら、こいつらを殺せ~」

馬鹿にされた盗賊の親玉らしき人物が、顔を真っ赤にして手下に命令をする。命令された手下達は、剣を抜いて何も考えがないような様子で襲いかかってくるのだ。

「力量も把握できないとはな!」

ノックスは、ため息を吐きながら大剣を抜く。パスクも、剣を抜いてオレールも杖を構える。

土槍アーススピア

オレールが、先制攻撃をする。土槍アーススピアは、見事に10人を貫くのだ。その威力を見た盗賊達は思わず足を止めて、その場に立ち尽くしてしまう。

「足を止めたら殺してくれと言っているようなものだぞ」

ノックスが、一瞬にして盗賊に近付き、大剣でバッサバッサと斬っていく。パスクも同様に、盗賊をあっさりと倒していくのである。

「こんなんじゃ運動にすらならんな!もうお前しか残っていないぞ」

50人くらいいた盗賊は、あっという間にノックス達によって倒される。盗賊の親玉は、目の前のあり得ない光景を目の当たりにして尻餅をついてしまう。

「な、な、な......」

親玉は、言葉すらうまく発せないほど驚いている。ノックスは、親玉に近付いて首元に大剣を突きつける。

「来世ではいい行いをしろよ!」

ノックスは、大剣を振り抜いて盗賊の親玉の首を跳ね飛ばす。

「じゃあ、盗賊を集めるぞ!」

三人で盗賊を山のように積み上げていく。そして、最後の一人を積み終わるとノックスが「オレール頼んだ」と言う。オレールは、無言で頷いて、炎柱フレイムピラーを放つ。すると、山になった盗賊達は燃えて一瞬のうちに灰と化すのだ。

「パスク、ギルドへの報告は任せた」

「わかりました!皆さんを迎えに行く前に報告してきます」

ノックスは、わざわざギルドに行くのが面倒なので、パスクにお願いをする。

「では、先を急ぎましょうか!いらぬ足止めを食らってしまいましたし、更に速度を上げていきますよ」

オレールが、そう言って走り出すと、ノックスもパスクも頷いて後を追うのだった。





「思っていたより早く到着しましたね」

魔物の街を朝に出て、普通徒歩なら5日くらいかかる距離をその日の夕方までに着いてしまったのだ。

「全力できましたからね。では、パスクくんが報告に行っている間に、私とノックスは宿を探しておきます。日が暮れた辺りに、またここで落ち合いましょう」

「はい!畏まりました。では後ほど」

パスクは、お辞儀をして冒険者ギルドへ報告に向う。

「ノックス、宿屋を探しに行きましょうか」

オレールがそう言って歩き出すのだが、ノックスは立ち止まったままなのだ。

「スベアを魔物の街に連れてくるのはいいとして、前線で戦わせるつもりなのか?」

ノックスは、先程話した話を思い出したかのようにオレールに尋ねる。そして、スベアの実力からいって、そこまでの伸びしろはないと感じており、成長してもついてくることはできないだろうと考えている。

「あの山を覚えていますか?昔よく修行していた......」

オレールの言葉を聞いて、数秒経った瞬間、ノックスがあっ!という顔をする。

「まさか、あの山で修行させているのか?スベアの実力じゃ精々中腹が限界だろ?それに、魔法使いの体力じゃ中腹も厳しいだろう」

ノックスは、その山の記憶を探りながらスベアには、酷すぎると言う。

「初めは、何度か死にかけていましたが、今や中腹を難なく制覇できます。近々、頂上のあの家に辿り着くと思いますよ」

オレールは、首を振りながら否定をする。

「おいおい、あり得......アレク坊の薬か?」

「そうです。密かにお願いしていまして、薬で成長を早めました。効果覿面でしたが、一番はスベアの努力と根性が実を結ぼうとしています。だからこそ、私もそろそろ本腰を入れて師匠として導こうかなと」

薬の効果で成長しているとはいえ、スベアが頑張っているからこその結果であり、その様子を見ていたオレールは、自分の全てを伝授してもよいと考えたのだ。

「そこまでか!だが、俺達みたいに伸び代があるわけじゃないが、そこはいいのか?」

「私は、伸び代より努力できる人間かどうかが重要です。最悪魔力量とかは、アレクくんの薬に頼ることができますが、努力は一朝一夕で身に付くものではないですからね」

オレールは、笑みを浮かべながら答える。昔、色々挫折した人間を目の当たりにしてきたからこそわかることなのだろう。

「確かにな!わかった!これ以上は何も言わないが、いい弟子が見つかってよかったな」

ノックスは、オレールの目の前へ行き、肩にポンッと手を置く。二人は、暫く見つめ合った後、オレールが「そうですね」と言って笑顔になるのだった。
しおりを挟む
感想 2,190

あなたにおすすめの小説

伯爵令嬢の秘密の知識

シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。

ひっそり静かに生きていきたい 神様に同情されて異世界へ。頼みの綱はアイテムボックス

於田縫紀
ファンタジー
 雨宿りで立ち寄った神社の神様に境遇を同情され、私は異世界へと転移。  場所は山の中で周囲に村等の気配はない。あるのは木と草と崖、土と空気だけ。でもこれでいい。私は他人が怖いから。

勇者パーティを追放された聖女ですが、やっと解放されてむしろ感謝します。なのにパーティの人たちが続々と私に助けを求めてくる件。

八木愛里
ファンタジー
聖女のロザリーは戦闘中でも回復魔法が使用できるが、勇者が見目麗しいソニアを新しい聖女として迎え入れた。ソニアからの入れ知恵で、勇者パーティから『役立たず』と侮辱されて、ついに追放されてしまう。 パーティの人間関係に疲れたロザリーは、ソロ冒険者になることを決意。 攻撃魔法の魔道具を求めて魔道具屋に行ったら、店主から才能を認められる。 ロザリーの実力を知らず愚かにも追放した勇者一行は、これまで攻略できたはずの中級のダンジョンでさえ失敗を繰り返し、仲間割れし破滅へ向かっていく。 一方ロザリーは上級の魔物討伐に成功したり、大魔法使いさまと協力して王女を襲ってきた魔獣を倒したり、国の英雄と呼ばれる存在になっていく。 これは真の実力者であるロザリーが、ソロ冒険者としての地位を確立していきながら、残念ながら追いかけてきた魔法使いや女剣士を「虫が良すぎるわ!」と追っ払い、入り浸っている魔道具屋の店主が実は憧れの大魔法使いさまだが、どうしても本人が気づかない話。 ※11話以降から勇者パーティの没落シーンがあります。 ※40話に鬱展開あり。苦手な方は読み飛ばし推奨します。 ※表紙はAIイラストを使用。

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~

イノナかノかワズ
ファンタジー
 助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。  *話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。  *他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。  *頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。  *無断転載、無断翻訳を禁止します。   小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。 カクヨムにても公開しています。 更新は不定期です。

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

愛していました。待っていました。でもさようなら。

彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。 やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

転生前のチュートリアルで異世界最強になりました。 準備し過ぎて第二の人生はイージーモードです!

小川悟
ファンタジー
いじめやパワハラなどの理不尽な人生から、現実逃避するように寝る間を惜しんでゲーム三昧に明け暮れた33歳の男がある日死んでしまう。 しかし異世界転生の候補に選ばれたが、チートはくれないと転生の案内女性に言われる。 チートの代わりに異世界転生の為の研修施設で3ヶ月の研修が受けられるという。 研修施設はスキルの取得が比較的簡単に取得できると言われるが、3ヶ月という短期間で何が出来るのか……。 ボーナススキルで鑑定とアイテムボックスを貰い、適性の設定を始めると時間がないと、研修施設に放り込まれてしまう。 新たな人生を生き残るため、3ヶ月必死に研修施設で訓練に明け暮れる。 しかし3ヶ月を過ぎても、1年が過ぎても、10年過ぎても転生されない。 もしかしてゲームやりすぎで死んだ為の無間地獄かもと不安になりながらも、必死に訓練に励んでいた。 実は案内女性の手違いで、転生手続きがされていないとは思いもしなかった。 結局、研修が15年過ぎた頃、不意に転生の案内が来る。 すでにエンシェントドラゴンを倒すほどのチート野郎になっていた男は、異世界を普通に楽しむことに全力を尽くす。 主人公は優柔不断で出て来るキャラは問題児が多いです。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。