上 下
334 / 756
第6章 新たな仲間

第448話 ノックス、パスク、オレールの道中の会話!

しおりを挟む
アレクと豪牙が、手合わせしている頃、パスクとノックスとオレールは凄まじいスピードで森を駆け抜けていた。

「ノックスさん、何故安全な道があるにも関わらずこちらを走っていくのですか?」

ドワーフが作ってくれた安全な道を使わずに、いつ魔物が襲ってくるかわからない森を駆け抜けている。現に、先程から魔物がひっきりなしに襲ってきている。

「あんな安全な道を使っても退屈なだけだろ?それに、いざって時の勘が鈍るからな!常に勘を研ぎ澄ませる必要があるんだ」

パスクもオレールも、ノックスのストイックさと戦闘狂ぶりに苦笑いを浮かべてしまう。

「パスクくん、ノックスは昔からこうなのです。凡人にはわからない考えですよ」

オレールは、ヤレヤレといった様子で、いつものノックスだな程度に捉える。

「おい!俺がおかしいやつみたいに言うな!ん?これは豪牙か?いや?オーラの質は似てるが......またアレク坊が何かしたな」

魔物の街からかなり離れたにも関わらず、ノックスは何かを察したようだ。

「ノックスさん、アレク様がまた何か始めたのですか?全く何も感じないのですが......」

パスクは、後ろを振り返るが、ノックスの感じた違和感の正体は分からずにいる。

「鬼人の王との戦いから感覚が研ぎ澄まされて魔力やオーラの変化に敏感になってな。それに、この距離で感じるなら相当な強さだろうな。まぁ悪いオーラではないから戻る必要はなさそうだ」

ノックスは、鬼人の王との一戦でまた能力全体のレベルが飛躍したのだ。その影響からか?感知能力も増して、今のようにオーラと魔力を敏感に感じ取ることができるようになってしまった。

「それならいいのですが。帰ったらアレク様に何があったかお尋ねしないといけませんね」

「必ずな!もしこのオーラが豪牙だとすると、模擬戦を申し込まなきゃいけないしな」

こんなに離れているにも関わらず、感じ取れる程のオーラの正体が豪牙であるとならば、また面白い戦いができるぞと思うノックス。そして、こんな会話をしながらも魔物が襲ってくるので、三人はひたすら討伐しながら進んでいる。

「またノックスの病気が始まりましたね。それと二人共、そろそろ森を抜けますので、スピードを緩めてください」

オレールは、笑いながらノックスの話を聞いている。そして、永遠に続くだろう話を遮るかのように出口が近付いていることを知らせる。

「もうこんなところまできたのか!」

ノックスは、豪牙のオーラと会話に気を取られて出口に近付いていることに、やっと気付いたようだ。

「私が、先行して王国の兵士に通る許可を頂いてきます」

「パスクくん、よろしく頼みます」

まだ一般開通されていないので、勝手に森に入らないよう王国の兵士が森の入口で警備をしている。パスク達は、通行を許可されているが、通るたびに検問で通行証明書を提示する義務があるのだ。





「通行許可がおりました。行きましょう」

検問は、問題なく通過できるようで、笑顔のパスクが二人を出迎える。兵士達は、貴族三人が通過するので、緊張した面持ちで全員が通るのを見届ける。

「帰りは学生もいますから、今はなるべく早く向かった方がいいでしょう!」

オレールが、行きに時間をかけていたら戻るのがいつになるかわからないと判断して、先を急ぐ。

「そうだな!さっさと王都に行くぞ!」

そして三人は、また凄まじいスピードで街道を走り始める。

「あ!そうそう!オレールさんは、正式な弟子を取らないのですか?」

ノックスは、アレクを弟子にしているが、オレールは全くそんな気配がないので、気になり尋ねるパスク。

「そうですね。あまり取りたくはありません。責任が問われてしまいますからね。ですが、スベアに関しては弟子にせざるを得ないと思っています」

王都での昇格試験の際に、戦った元鉄血の牙のスベアという女性は、アレクが学園に通っている最中、オレール達のパーティーに所属していた。最近は、一切見かけておらず、パスクはスベアの名前が出てきて懐かしいと感じる。

「そういえば、スベアさんは最近何をされているのですか?鉄血の牙に戻られたとかでしょうか?」

パスクが、それとなくオレールに尋ねる。

「スベアさんですか?ある場所で、訓練を積ませています。あの状態で成長してもたかが知れていますしね。それに、私達と行動を共にするなら急成長をさせる必要がありますからね」

「そうでしたか。全く姿を見ないので、どうしているのかと思いました」

パスクは、いつの間にか師匠らしいことをしてるじゃないかとオレールを見ながら思う。スベアが、オレールの試験をクリアして魔物の街にきた時、どれだけ成長しているか楽しみになる。

「二人共止まれ!まだ距離はあるが何か嫌な予感がする」

ノックスは、急に止まって二人に声をかける。オレールもパスクも気配を探るが全く何も感じないので、相当距離があるのだろう。

「敵ですか?魔物ですか?」

「人間だが、複数で待ち構えているようだな」

パスクが尋ねるとノックスは、目を瞑ってオーラを探る。そして、複数の敵だとわかり、オレールもパスクも身構えて慎重に行動を開始するのであった。
しおりを挟む
感想 2,129

あなたにおすすめの小説

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

魔力∞を魔力0と勘違いされて追放されました

紗南
ファンタジー
異世界に神の加護をもらって転生した。5歳で前世の記憶を取り戻して洗礼をしたら魔力が∞と記載されてた。異世界にはない記号のためか魔力0と判断され公爵家を追放される。 国2つ跨いだところで冒険者登録して成り上がっていくお話です 更新は1週間に1度くらいのペースになります。 何度か確認はしてますが誤字脱字があるかと思います。 自己満足作品ですので技量は全くありません。その辺り覚悟してお読みくださいm(*_ _)m

子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。 『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。 魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。 しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も… そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。 しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。 …はたして主人公の運命やいかに…

スキルが農業と豊穣だったので追放されました~辺境伯令嬢はおひとり様を満喫しています~

白雪の雫
ファンタジー
「アールマティ、当主の名において穀潰しのお前を追放する!」 マッスル王国のストロング辺境伯家は【軍神】【武神】【戦神】【剣聖】【剣豪】といった戦闘に関するスキルを神より授かるからなのか、代々優れた軍人・武人を輩出してきた家柄だ。 そんな家に産まれたからなのか、ストロング家の者は【力こそ正義】と言わんばかりに見事なまでに脳筋思考の持ち主だった。 だが、この世には例外というものがある。 ストロング家の次女であるアールマティだ。 実はアールマティ、日本人として生きていた前世の記憶を持っているのだが、その事を話せば病院に送られてしまうという恐怖があるからなのか誰にも打ち明けていない。 そんなアールマティが授かったスキルは【農業】と【豊穣】 戦いに役に立たないスキルという事で、アールマティは父からストロング家追放を宣告されたのだ。 「仰せのままに」 父の言葉に頭を下げた後、屋敷を出て行こうとしているアールマティを母と兄弟姉妹、そして家令と使用人達までもが嘲笑いながら罵っている。 「食糧と食料って人間の生命活動に置いて一番大事なことなのに・・・」 脳筋に何を言っても無駄だと子供の頃から悟っていたアールマティは他国へと亡命する。 アールマティが森の奥でおひとり様を満喫している頃 ストロング領は大飢饉となっていた。 農業系のゲームをやっていた時に思い付いた話です。 主人公のスキルはゲームがベースになっているので、作物が実るのに時間を要しないし、追放された後は現代的な暮らしをしているという実にご都合主義です。 短い話という理由で色々深く考えた話ではないからツッコミどころ満載です。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

異世界に行ったら才能に満ち溢れていました

みずうし
ファンタジー
銀行に勤めるそこそこ頭はイイところ以外に取り柄のない23歳青山 零 は突如、自称神からの死亡宣言を受けた。そして気がついたら異世界。 異世界ではまるで別人のような体になった零だが、その体には類い稀なる才能が隠されていて....

転生貴族のスローライフ

マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である *基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします

母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)

いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。 全く親父の奴!勝手に消えやがって! 親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。 俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。 母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。 なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな? なら、出ていくよ! 俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ! これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。 カクヨム様にて先行掲載中です。 不定期更新です。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。