チート薬学で成り上がり！ 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました！

第5章 日常を脅かす敵と求める豪牙

第441話 陛下への報告と褒賞の話！

アレクは、マンテ爺を抱えて、王城へと転移する。王城の門前に着くといつも以上に慌ただしく兵士達が動き回っているのだ。

「タカハシ辺境伯様ではないですか！陛下への謁見でしょうか？」

アレクが、城内に向かおうとした時に、副団長のヘリオスが話しかけてきた。

「ヘリオスさん、お久しぶりです！はい！呪術師の件が片付いたので陛下へ知らせにきました」

「やはりタカハシ辺境伯様が倒したのですね！それに、薬まで本当にありがとうございます。あの薬がなければどうなっていたことか......」

ヘリオスは、代表してアレクにお礼を言う。それほどまでの大惨事が起こっていたのだろう。

「役に立ってよかったです。それに、ヘリオスさん達が頑張ってくれたからこそ呪術師を倒すことが出来ました！こちらこそありがとうございます」

「何をおっしゃいますか！私達は、やるべきことをしただけでございます。タカハシ辺境伯様がいなければ、本当に今頃どうなっていたか」

アレクは、本心で述べているのだが、ヘリオスからするとご謙遜をといった感じで受け取られてしまう。

「おっと！こうしてはいられませんね！すぐにご案内致します。陛下からもタカハシ辺境伯様が到着しましたら、すぐにご案内するようにと頼まれておりますので」

ヘリオスは、アレクが来た本来の目的を思い出したようで、陛下の下へと案内する。アレクは、「よろしくお願いします」と言ってヘリオスの後をついていく。


◆


その後、ヘリオスがアントンの下へアレクを案内して、アントンが陛下のいる執務室へと向うのだ。

トントントンとアントンが執務室をノックする。

「陛下、タカハシ辺境伯をお連れ致しました」

「入ってよいぞ」

陛下が、入室の許可を出す。アントンが執務室のドアを開けてアレクが中へと入る。

「アレクよ、待っておったぞ！此度の活躍......いや幾度となく王国を救ってくれたこと感謝する！」

陛下は、椅子から立ち上がってアレクに頭を下げる。国のトップが、わざわざ立ち上がってまで礼を述べるくらい今回の出来事は王国の危機的状態だったのだ。

「陛下！？頭をお上げください！私はやるべきことをやったまでです！」

アレクは、慌てて頭を下げる陛下を止める。

「いや！本当に感謝しておるのだ！頭を下げさせてくれぬか！勿論、話が終わり次第、褒賞を出すので安心してくれ」

陛下は、そのまま頭を下げて、心の底から感謝する。アレクも、これ以上言ってしまうと失礼に当たると感じて見守るほかなくなる。

「アレクよ、早速で悪いのだが、呪術師の報告を頼めるか？」

「はい！わかりました！陛下......」

アレクは、ラヴァーナから提供された魔道具で呪術師の場所を特定して戦いになったことを話す。そして、話の内容から今回の首謀者が依頼した呪術師だと判明したことを伝える。最後は、王国の民達の呪い返しによって呪術師が灰となり死亡したことを伝えるのだ。

「うむ！あとで、アナベルに礼を言わなければならぬな！それとアレクとマンテ爺よ、よく無事で帰ってきてくれた！本来であれば、礼を述べる前に言うことであったな」

呪術師との戦いを聞いて、より一層アレクとマンテ爺が奮闘してくれたのだと感じて、無事に帰還してくれたことを喜ぶ。

「最後は危なかったです！陛下が、迅速な対応をしてくれたお陰で呪い返しが間に合い倒すことが出来ました！本当にありがとうございます」

アレクは、もし呪い返しが間に合っていなかったら今頃世界はどうなっていただろうと感じている。新技で倒そうと試みはしたが、果たして倒せたのかも疑問だったからだ。

「アレクの薬があったからこそである！それに、マンテ爺もよく頑張ってくれた。マンテ爺にも褒賞を出そう！何がよい？」

マンテ爺にも、どうやら褒美が与えられるようだ。マンテ爺は、いったい何を頼むのか。

「呪術師を食えんかったのじゃ！じゃから、人間を幾人か用意してほしいわい」

やはりマンテ爺は、人間を食らいたかったようだ。呪術師を食えなかったことが、よほど心残りらしい。

「うむ！国王として口にすることは憚はばかられるが、今回の貢献に報わねばならぬな！アントンよ、死刑囚を幾人か用意してくれぬか？」

本来であれば、絶対に認めてはいけないことだが、特別に許しが出る。

「ハッ！畏まりました。密かに集めましょう。マンテ爺、地下牢になってしまいますが、問題はございませんか？」

「逆にありがたいわい！人間の恐怖を食えるのは美味じゃからのぅ！感謝するわい！」

マンテ爺は、ニヤリと笑って楽しみで仕方のない表情をする。

「うむ！次にアレクであるな！何がほしい？」

「褒賞金をください！魔物の街の住人の労いとローブを作ってくれたドワーフへの感謝をしたいと考えています」

アレクは、魔物の街で大々的な宴会を開こうと考えていた。魔物にもドワーフにも気が済むまでお酒や料理を飲んで食べてほしいと思い、素直にお金を要求する。

「うむ！褒賞金と薬の代金を出すとしよう！アントンよ、見合った褒賞金と薬の代金を割り出してくれぬか？」

「ハッ！畏まりました！」

陛下は、出し渋ることなく気前よく出してくれるのであった。