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第4章 アレクの子供と日常
第432話 豪牙の覚醒と受け継がれる思い!
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時は遡り、豪牙が目覚めるまでの話になる。
豪牙は、またしても意識を失った時と同じ空間を漂っていた。しかし、今回違うのは自由に動けることだ。
「鬼人の王、いるのはわかっている!早く出てこい」
豪牙は、臆することなく鬼人の王を呼ぼうと大声を張り上げる。
「我は、もう疲れたのだ。そう大声を出すな!」
そう言いながら目の前に現れた鬼人の王。しかし、最初に会った時よりも存在感が薄くなっている。
「あまり時間がないようであるな!単刀直入に聞くが、我の戦いを見て何か掴んだか?」
存在感と影響があるのか?鬼人の王には、残された時間が僅かなようである。
「正直に話すと、俺は弱いことを理解した。何もかも劣っている自分が情けなくもなった......」
豪牙は、鬼人の王とノックスの戦いを一挙手一投足見逃さずに見続けていた。その中で、あまりにも自分の弱さと不甲斐なさに嘆き悲しんでいたのだ。
「ブッハハハハ、ようやく己の弱さと向き合えたというわけであるな!しかし、向き合うだけで終わったのか?貴様に、欲はないのか?」
鬼人の王は、当たり散らすように言うのではなく、豪牙を鼓舞するように話しかける。
「悔しいさ!俺の体だというのに俺よりも使いこなしているんだからな!悔しさしかないだろう!俺は、これからどうすればいいんだと、ずっと頭の中を駆け巡っているんだ」
豪牙は、頭を抱えてその場にうずくまる。すると、鬼人の王が豪牙を殴り飛ばす。
「聞け!我が同胞よ!あれは、貴様の潜在能力を引き出したまでだ!貴様に鬼人の血が流れているなら目を覚まし覚醒しろ」
豪牙は、殴られた頬の痛みが、戦いの時とは別の痛みに感じ、涙が自然と溢れてきたのだ。そして、「覚醒しろ」という言葉が頭の中を駆け巡った。暫くうずくまる豪牙だったが、パリンッと自分の中で割れる音がした瞬間、「うぉぉぉ」と声を上げて立ち上がる。
「ハァハァハァハァ.......」
豪牙の体は、以前より引き締まってひと目見た感じは弱くなったように感じるが、内から放たれるオーラは前の倍以上になっている。
「フッ、やっと覚醒したようだな!だが、まだ第一段階にすぎん!更に高みがある。それに、妖鬼化にも更に上がある。目指してみるのだな」
鬼人の王は、やっと覚醒したかと笑顔で豪牙を見る。
「これが俺なのか?今までに感じたことのない力を感じる」
「それが、鬼人として成人を迎えた者が、手にする力である!鬼人としての一歩を踏み出したにすぎんがな。それと、あとは頼んだぞ」
鬼人が繁栄していた頃は、成人の儀が行われて、その儀式で覚醒する者としない者に振り分けていた。覚醒した者は、戦士となり、覚醒しなかった者は別の仕事をするのである。どうやら豪牙には、才能があり、無事鬼人の戦士へとなることができたのだ。
「鬼人の王、感謝する!この思いを継いでいこうと思う!」
豪牙は、「あとは、頼んだぞ」という鬼人の王の言葉から思いをなんとなくだが、感じていた。
「ブッハハハハ、我の最後の仕事としては楽しかった!満足したぞ!我は、そろそろ消えてなくなる。またいつか会おう!豪牙よ」
そう言って、鬼人の王は姿を消す。しかも、最後の最後で豪牙を認めたのか?名前を呼んでくれたのだ。豪牙は、最後の言葉を聞いて立ち止まってなどいられない。俺が受け継いでいくと心に誓うのであった。
◆
「うぅ~......ここは?」
豪牙が、目覚めたのはベッドの上であったのだが、自分の部屋ではなくどこにいるのか、わからないのである。
「目を覚まされたのですね。ここは、特別室です。それより、水を飲みますか?」
パスクが、驚くこともなく目覚めた豪牙に声をかける。特別室とは、豪牙とノックスのために用意された部屋なのだ。
「あぁ、水をくれ」
「畏まりました」
パスクは、すぐに水の入ったコップを豪牙に渡す。豪牙は、一気に飲み干して、おかわりを要求する。3杯ほどおかわりをしたところで、フゥーと息を吐く。
「パスク、ありがとう」
「どう致しまして!アレク様が、ノックス様と豪牙様を付きっきりで看病していました。あの通り、今は疲れて寝てしまっております」
アレクは、二人が心配で寝ずに看病していたのだ。そして、三日目を迎えた日に限界となって座ったまま眠りに就いたのである。
「森の長様が、俺のために......パスク、そのままにしといてやってほしい」
パスクが、目覚めたことをアレクに言おうとしたのだが、寝させてやってほしいと豪牙が言うのだ。
「わかりました。目覚めるのを待つとしましょうか?そんなことより、寝ていたのにも関わらず、更に強くなっていませんか?」
パスクは、豪牙から溢れ出す力を肌で感じる。まだ慣れていない所為もあり、コントロールがうまく出来ていないようだ。
「鬼人としてこのままではいけないと感じたからな!それに、目標も出来たしな。森の長様とノックスと鬼人の王には感謝している」
前よりも明確なゴールが見えたからなのか?一言一言に熱のこもった言葉で発せられる。
「豪牙、今度手合わせしないですか?たまには、僕も体を動かしたいので」
豪牙から漏れ出す力と熱のこもった言葉に触発されてか?パスクも久しぶりに戦いたいと思ってしまう。そして、好敵手であるため、様付けはせず、呼び捨てする。
「いつでも声をかけてくれ!俺も、この力を試したい」
豪牙は、潔くパスクからの申し出を受けるのだった。
豪牙は、またしても意識を失った時と同じ空間を漂っていた。しかし、今回違うのは自由に動けることだ。
「鬼人の王、いるのはわかっている!早く出てこい」
豪牙は、臆することなく鬼人の王を呼ぼうと大声を張り上げる。
「我は、もう疲れたのだ。そう大声を出すな!」
そう言いながら目の前に現れた鬼人の王。しかし、最初に会った時よりも存在感が薄くなっている。
「あまり時間がないようであるな!単刀直入に聞くが、我の戦いを見て何か掴んだか?」
存在感と影響があるのか?鬼人の王には、残された時間が僅かなようである。
「正直に話すと、俺は弱いことを理解した。何もかも劣っている自分が情けなくもなった......」
豪牙は、鬼人の王とノックスの戦いを一挙手一投足見逃さずに見続けていた。その中で、あまりにも自分の弱さと不甲斐なさに嘆き悲しんでいたのだ。
「ブッハハハハ、ようやく己の弱さと向き合えたというわけであるな!しかし、向き合うだけで終わったのか?貴様に、欲はないのか?」
鬼人の王は、当たり散らすように言うのではなく、豪牙を鼓舞するように話しかける。
「悔しいさ!俺の体だというのに俺よりも使いこなしているんだからな!悔しさしかないだろう!俺は、これからどうすればいいんだと、ずっと頭の中を駆け巡っているんだ」
豪牙は、頭を抱えてその場にうずくまる。すると、鬼人の王が豪牙を殴り飛ばす。
「聞け!我が同胞よ!あれは、貴様の潜在能力を引き出したまでだ!貴様に鬼人の血が流れているなら目を覚まし覚醒しろ」
豪牙は、殴られた頬の痛みが、戦いの時とは別の痛みに感じ、涙が自然と溢れてきたのだ。そして、「覚醒しろ」という言葉が頭の中を駆け巡った。暫くうずくまる豪牙だったが、パリンッと自分の中で割れる音がした瞬間、「うぉぉぉ」と声を上げて立ち上がる。
「ハァハァハァハァ.......」
豪牙の体は、以前より引き締まってひと目見た感じは弱くなったように感じるが、内から放たれるオーラは前の倍以上になっている。
「フッ、やっと覚醒したようだな!だが、まだ第一段階にすぎん!更に高みがある。それに、妖鬼化にも更に上がある。目指してみるのだな」
鬼人の王は、やっと覚醒したかと笑顔で豪牙を見る。
「これが俺なのか?今までに感じたことのない力を感じる」
「それが、鬼人として成人を迎えた者が、手にする力である!鬼人としての一歩を踏み出したにすぎんがな。それと、あとは頼んだぞ」
鬼人が繁栄していた頃は、成人の儀が行われて、その儀式で覚醒する者としない者に振り分けていた。覚醒した者は、戦士となり、覚醒しなかった者は別の仕事をするのである。どうやら豪牙には、才能があり、無事鬼人の戦士へとなることができたのだ。
「鬼人の王、感謝する!この思いを継いでいこうと思う!」
豪牙は、「あとは、頼んだぞ」という鬼人の王の言葉から思いをなんとなくだが、感じていた。
「ブッハハハハ、我の最後の仕事としては楽しかった!満足したぞ!我は、そろそろ消えてなくなる。またいつか会おう!豪牙よ」
そう言って、鬼人の王は姿を消す。しかも、最後の最後で豪牙を認めたのか?名前を呼んでくれたのだ。豪牙は、最後の言葉を聞いて立ち止まってなどいられない。俺が受け継いでいくと心に誓うのであった。
◆
「うぅ~......ここは?」
豪牙が、目覚めたのはベッドの上であったのだが、自分の部屋ではなくどこにいるのか、わからないのである。
「目を覚まされたのですね。ここは、特別室です。それより、水を飲みますか?」
パスクが、驚くこともなく目覚めた豪牙に声をかける。特別室とは、豪牙とノックスのために用意された部屋なのだ。
「あぁ、水をくれ」
「畏まりました」
パスクは、すぐに水の入ったコップを豪牙に渡す。豪牙は、一気に飲み干して、おかわりを要求する。3杯ほどおかわりをしたところで、フゥーと息を吐く。
「パスク、ありがとう」
「どう致しまして!アレク様が、ノックス様と豪牙様を付きっきりで看病していました。あの通り、今は疲れて寝てしまっております」
アレクは、二人が心配で寝ずに看病していたのだ。そして、三日目を迎えた日に限界となって座ったまま眠りに就いたのである。
「森の長様が、俺のために......パスク、そのままにしといてやってほしい」
パスクが、目覚めたことをアレクに言おうとしたのだが、寝させてやってほしいと豪牙が言うのだ。
「わかりました。目覚めるのを待つとしましょうか?そんなことより、寝ていたのにも関わらず、更に強くなっていませんか?」
パスクは、豪牙から溢れ出す力を肌で感じる。まだ慣れていない所為もあり、コントロールがうまく出来ていないようだ。
「鬼人としてこのままではいけないと感じたからな!それに、目標も出来たしな。森の長様とノックスと鬼人の王には感謝している」
前よりも明確なゴールが見えたからなのか?一言一言に熱のこもった言葉で発せられる。
「豪牙、今度手合わせしないですか?たまには、僕も体を動かしたいので」
豪牙から漏れ出す力と熱のこもった言葉に触発されてか?パスクも久しぶりに戦いたいと思ってしまう。そして、好敵手であるため、様付けはせず、呼び捨てする。
「いつでも声をかけてくれ!俺も、この力を試したい」
豪牙は、潔くパスクからの申し出を受けるのだった。
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