チート薬学で成り上がり！ 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました！

第4章 アレクの子供と日常

第427話 赤ん坊vsノックス！産まれる前に駆け引きをする！

城に荷物が運び込まれて、使用人達が荷解きをしてくれている。その間に、アレクとヘルミーナは街を回ることにしたのだ。護衛には、ノックスとアサシンと豪牙がつくことになった。ナハスは、城に着くなり座ってお茶を飲み出したので、そのまま放置している。

「私、歩けるわよ。わざわざ馬車を用意しなくてもよかったのに」

「何かあってからじゃ大変だからね。街についたら馬車を預けて歩いて見て回ろう」

アレクは、ヘルミーナと赤ん坊のことを心配するあまり、城から街に行くまでの距離を考えて馬車を用意した。

「もうアレクったら......この様子だと赤ちゃんが産まれたら大変なことになりそうね」

ヘルミーナは、やれやれといった感じで、パスクに手を取ってもらい馬車に乗る。

「すっかり父親だな！親馬鹿になりそうな気しかしないがな！」

ノックスが、アレクの行動を見て笑いながら話しかけてくる。

「師匠も結婚して子供が出来たらわかりますよ！心配で仕方ないんです」

アレクは、両手をブンブンと振りながらノックスに力説する。

「俺は、あいつ以外とは結婚する気はないからな！まぁ、もういないから天国で結婚するしかないけどな」

「あ！ごめんなさい！発言を考えるべきでした」

アレクは、何か聞いてはいけないような気がして、ノックスの過去に触れないようにしているが、ノックスの表情を見て悪いことを言ってしまったと気にする。

「あぁ、悪い！気にするな！それより、聞いたぞ！赤ん坊がナハスとアサシンを吹き飛ばして動けなくさせたってな！産まれたら俺と戦わせろ」

ノックスが、気を使って話題を変えるが、その話題が有り得ない内容で、思わずアレクは「え？」と声を上げてしまう。

「だから、俺と模擬戦をだな......」

どうやらノックスは、本気で赤ん坊と戦おうとしているようなのだ。

「ノックスさん、今不穏な言葉が耳に入ったのだけれども聞き間違いかしらね？」

馬車の中にいたはずのヘルミーナが、ゆっくり降りてきて、微笑みながらノックスを見据える。アレクは、瞬時に暗黒ヘルミーナだと思ってサッとヘルミーナの後ろに行く。

「いや、産まれたら赤ん坊と是非遊びたいなと......弟子のかわいい赤ん坊だしな」

ノックスは、わっはっはと笑いながらどうにか誤魔化そうとする。

「どんな遊びかしらねぇ？もし、危ないことをさせるようなら許しませんからね」

ヘルミーナは、ノックスに釘を刺すように一喝する。すると、ノックスの表情が変わっていきなり大笑いをしだすのだ。

「確かに、これならナハスとアサシンが吹き飛ばされて動けなくなったのも納得だ！ブッハハハハ、更に力を増してきやがったな。そんなに悔しいか？なら早く生まれてこい！存分に相手してやる」

どうやら赤ん坊から攻撃を受けているようなのだ。しかしノックスは、大笑いしながら何ともないぞという表情をして赤ん坊を挑発する。それに共鳴してか？赤ん坊も対抗しているようなのだ。

「アレク坊、こいつはお前以上かもしれないぞ！本当に楽しみだな！早く産まれてこいよ！楽しみにしているからな」

赤ん坊の攻撃を受けながら平然とした表情でヘルミーナに近付いて、ノックスはお腹を擦る。

「おっ！分も弁えてるようだな！俺に敵わないと瞬時に悟ったか」

赤ん坊は、ノックスに対する攻撃をやめる。そしてノックスは、笑いながら持ち場に戻るのだった。

「ノックスには、絶対に近づけさせないわ！この子が、あんな戦闘狂になるのを見たくないもの」

ヘルミーナは、お腹をさすりながら、戦闘狂などではなく優しい子に育つように願うのだ。

「師匠も、流石に赤ん坊と本気で戦ったりしないよ」

「いや、あの目は本気だったわ！それに、この子も嬉しそうにしてる気がして心配なのよ」

ヘルミーナは、お腹から伝わる赤ん坊の嬉しそうな気持ちを受け止めて、本当に心配してしまうのだった。