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第3章 豪牙の新たな力

第416話 ついに豪牙が覚醒するのか!?

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豪牙は、笑っているノックスを見てゾクッとするものを感じて、普段あまりかかない冷や汗を垂らしている。

「豪牙、これからが本番だ!がっかりさせるなよ」

おやっさんの作った魔力を流すと強化される大剣を受けて、腕から大量の血を流しているノックスだが、負傷しているようには見えない強いオーラを発している。豪牙は、自分の顔を殴って、その痛みでオーラに飲み込まれそうになるのをどうにか振り解こうとする。

「ほぉ~自分で抜け出すか!成長したな」

ノックスは、豪牙の行動を見て嬉しくなったのか、更にオーラを強くして今にも襲い掛かろうという勢いになる。

「ここで、決めさせてもらう!」

先に仕掛けたのは豪牙であった。力強い踏み込みで一気にノックスへ近付いて大剣を振りかざす。

「同じ手が通じると思ったか?がっかりだ」

ノックスは、ギリギリのところで躱して、顔面へとカウンターパンチをぶち込む。そして、怯んだ豪牙を見て回し蹴りを腹にぶち込むのだ。今までとは桁違いのパワーに豪牙が吹き飛ぶ。

灼熱息吹フレアブレス

吹き飛んだ豪牙に対して間髪入れずに灼熱息吹フレアブレスを打ち込む。そして、見事に命中してドガーンと凄い音が鳴り響く。更に、灼熱息吹フレアブレスの威力は落ちず、防御結界へと当たるのだ。しかし、強化された防御結界は、軽く振動するくらいで全てを吸収する。

「クソ!血が止まんねぇ」

ノックスは、膝から足首にかけてのズボンを破いて腕の傷に巻き付けて止血する。思っている以上に傷が深くそれでも血が滲んでくる。

「もうこっちは使い物にならないな。速度は落ちるが片手でどうにかするしかないか」

傷を負っているにも関わらずノックスは、カウンターパンチを負傷している手で打ち込み、更に傷が広がってしまった。試すように大剣を片手で振っているが、速度は一切落ちているようには見えず、大剣を片手でいとも簡単に扱っているのだ。

「まぁ、これくらい振ることが出来ればどうにかなるだろう!豪牙、そろそろ起き上がってこい」

すでに煙が晴れて、這いつくばる豪牙に、早く立ち上がるように言う。

「もう少し回復してから立ち上がる予定だったのだが......仕方ない」

豪牙は、ゆっくりと立ち上がる。すると、あれほど頑丈に作られていたはずの防具がボロボロになっているのだ。

「これは、おやっさんに怒られるかもしれない。ノックス、少し待っててくれ」

豪牙が、ボロボロになった防具を見ながら一言言う。それから、ボロボロなった防具を全て脱いで、闘技場の端へと行き、ゆっくりと置く。

「ノックス、中断して悪かった。おやっさんの防具をこれ以上ボロボロにするわけにもいかなかったからな」

豪牙は、ゆっくりと防具を置くと、素早く闘技場の真ん中に戻って来る。

「構わないぞ。俺も剣が折れた時は同じ気持ちになったからな。理由はわかる。だが、これでお前を守る物がなくなった。これからどうする?豪牙」

今までは、なんとか外皮硬化とおやっさんの防具でノックスの攻撃を凌いできたが、今は生身となり、外皮硬化のスキルのみなのだ。

「ノックス、言い忘れていたが、俺はもう一つスキルを持っているんだ。時間制限があるのが難点だがな。妖鬼化」

体全体が赤くなり、動くとユラっと残像のような、よく見ると神秘的にも感じる何かが見えるのだ。そして、気付くとノックスが吹き飛んでいる。観客席の全員が何が起こったのかわからず騒ぎ出す。更に、気付くとまたノックスは吹き飛んでおり、防御結界へと叩きつけられている。

「クソ!豪牙の野郎~こんな奥の手を......くっ!」

ノックスは、なんとか防御するが、パワーで負けているのか吹き飛ばされる。更に攻撃を返す隙がない。しかも、防御をした時に大剣を手放してしまっているのだ。

「これで、終わりだ。」

豪牙が、最後だと言い、渾身の一撃をノックスの顔面へと浴びせる。防御をしていない顔面へとまともに入り、凄い音が鳴り響く。

「豪牙、正直驚いたが、これで俺をやれると思ったか?だが、お前の本気に応えて俺の本気も見せてやる」

そう言うとノックスは、豪牙の胸を殴る。それは、なんの変哲もないパンチに見えたのだが、豪牙は白目になってその場に崩れ落ちるのだ。

「拳に魔力を最大限込めた一撃だ。どうだ?効いただろう?って聞こえていないか。パスク、試合終了の合図......」

ノックスは、振り返ってパスクに終了の合図を頼むが、後ろからただならぬ気配を感じて飛び退いて距離をとる。なんと、豪牙が立ち上がっており、今までの雰囲気とは逸脱したようなオーラを発しているのだ。

「これは、厄介だな......」

珍しくノックスが、一筋の汗を垂らしながら焦りの表情を見せるのだった。
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