チート薬学で成り上がり！ 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました！

第1章 森の長による開拓

第404話 王国へ迎えに行くも陛下の威厳はいずこへ？

「アレク坊、本当に本気でいいんだな？」

ノックスは、再度アレクに確認をする。

「いいですよ！思う存分やってください。師匠からオレールさんに防御結界の件、話しておいてくれませんか？」

「あぁ！今日一緒に飲む予定だから、その時に話しておく」

オレールなら協力してくれるだろうから後は、ラヴァーナだけだなと思う。

「よろしくお願いします」

アレクは、ノックスに頭を下げる。

「アレクくん、さっきの殺すって本当なの？それに、理由が全くわからないんだけど」

ウァラクが、焦ったような顔でアレクに問いかける。

「本当だよ！理由は内緒！もし、豪牙が気付いたら説明するよ。それより、ラヴァーナ様やジキタリスさんには殺すことは内緒だからね。もし話したら、一生魔物の街への来ることを禁止するから」

どれだけ友好関係があろうと、死者蘇生薬のことを知られるわけにはいかないのだ。

「わ、わかった！来られなくなるのは困るから黙っているよ」

「僕も、内緒にしておきます」

「私も、アレク様の許可がない限り話しません」

三人は、黙ってくれるようなのだが、リリスが一番話してしまいそうだなと考えてしまう。だが、信じるしかないなと思うのだった。

「三人共、お願いね」


◆


あれからあっという間に5日が経って、陛下とラヴァーナの視察の日を迎えた。街中をあげて、歓迎の準備が進められたのだ。

「これから、陛下とラヴァーナ様を迎えに行ってくるよ」

「お気を付けて！私は、歓迎の準備をしてお待ちしております」

パスクが一礼をして、アレクの出発を見届ける。

「行ってくるよ！転移」

アレクが、転移と言うとその場から姿を消す。

「私達は、陛下と魔王様の出迎えにいきますよ」

パスクが、そう言うとノックスとオドヘートとオレールと豪牙とレッドドラゴンが頷く。ちなみにマンテ爺は、パスクに抱えられている。


◆


「よし！今回は、ちゃんと転移出来たみたいだね」

いつも転移した先で驚かせてしまうのだが、今回は誰もいない場所に転移したアレク。そして、門番が待つ場所に向かう。すると、既に陛下とアントンとルーヘン隊長とレイリシアとエリーゼが待っていたのだ。

「アントンよ！余は、楽しみで居ても立っても居られなかったぞ！」

城門前で大笑いしながらアレクが来るのを待っている。

「陛下、先程から同じことを申し上げていますが、アレクくんがいつ来るかわかりませんよ。一度、城内に戻りましょう」

アントンは、ずっと止めているようだが、陛下が我慢出来ずに、ここまで来てしまったようだ。周りにいるレイリシアやエリーゼやルーヘンは、苦笑いを浮かべて、門番に至っては何かあってからでは遅いと辺りを警戒しながら慌てている。

「もうすぐ来るであろう！おっ！ほら見よ。噂をすればきたではないか」

陛下は、アレクを見つけると満面の笑みになる。

「陛下、ご無沙汰しております！まさか、ずっと待たれていたのですか？」

「今来たところである！待ってなぞおらぬぞ」

それを聞いた全員がいやいやいやずっと待っていただろうという表情を浮かべながら陛下を見る。アレクは、なんとなく察して空笑いを浮かべながら、かなり楽しみにしていたのかと思うのだった。

「てっきり楽しみで夜も眠れず、ずっと待っていたのかと思いましたよ」

「何を言って......おるのだ！余が、そのような......」

アレクは、笑顔で陛下に言うと、陛下は慌てるように取り繕うと必死に弁解をしようとする。

「アナタ、昨夜待てぬ！待てぬぞ～とベッドで言っていたのはなんだったのかしらぁ～？」

「ヌオー！レイリシア何を言っているのだ！」

陛下は、慌てふためく。その様子を見た全員がニヤニヤと陛下を見やるのだ。陛下は、全てバラされてしまい恥ずかしさで顔を真っ赤にさせる。

「皆様、その辺りにしてあげては頂けませんか？一応、ウズベル王国の王であります」

アントンが、横からこれ以上は見ていられないと助け舟を出す。

「アントンよ！一応とはどう言うことなのだ！れっきとした王であるぞ」

復活した陛下が、アントンにすぐツッコミを入れる。しかし、威厳もへったくれもないのである。

「アナタ、わかりましたから行きましょう！アレクくん、転移を頼めるかしら～」

「はい！魔ノ国経由で移動します。では、行きましょう」

「余は、いつからこんなぞんざいな扱いを受けるようになったのだ？」

陛下は、がっくりと項垂れてしまうのだった。