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第1章 森の長による開拓

第395話 魔王様は、我慢が出来ない様子!

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アレクが、転移して逃げた先は、魔ノ国だった。何故魔ノ国かというと、ラヴァーナに招待状を届けにきたのだ。

「ジキタリスさんか?ラヴァーナ様は、いてますか?」

城門前で、門番に尋ねる。門番も、アレクと気付くと走ってやってくる。

「タカハシ辺境伯様!御無沙汰しております。おい!ジキタリス様を呼んでこい!タカハシ辺境伯様、ジキタリス様を呼んで参りますので暫くお待ちください」

後輩に当たる門番に対して、ジキタリスを呼んでくるように言う。すぐに、門番は魔王城内へと走っていくのだ。

「ありがとうございます!門番さんもお元気そうで何よりです」

「タカハシ辺境伯様こそお元気そうで何よりです。魔物の街の噂は聞いております。是非一度行ってみたいものです」

門番は、笑顔でアレクに魔物の街に行けないかどうか尋ねる。

「一般解放されましたら是非遊びに来てください!歓迎致しますよ」

「行ってみたいですね。しかし、距離の問題で行けないのが残念です。長期休暇もありませんので......嫁と息子を一度でいいから旅行に連れて行ってあげたいです」

門番は、残念そうな顔をしながら答える。そこにジキタリスがやってくるのだ。

「ほぅ~長期休暇ですか」

「いや!ジキタリス様、これはその......申し訳ございません」

門番風情が長期休暇を欲するなどあってはならないことだと考えて戸惑いながら謝る。しかし、ジキタリスは笑顔のまま聞いている。

「魔王様も長期休暇を了承してくれるでしょう。これまで、長い間尽くして頂いているのですから。それよりも、家族団欒を考えもせず申し訳ございませんでした」

ジキタリスは、門番相手にも頭を下げて謝罪する。

「え?え?あの!ジキタリス様!頭をお上げください!私に頭など下げてはなりません」

門番は、ジキタリスが頭を下げたことに驚くと同時にどうしたらいいか分からず戸惑ってしまう。

「私は、悪い事をした場合、身分問わず頭を下げます。今回の一件で改革をしないといけないとわかりました。ありがとうございます」

ジキタリスは、お礼まで述べる。すると、門番は余計に戸惑ってアタフタしてしまうのだ。

「ジキタリス様!お願いでございます。頭を上げてください」

「よかったですね。これで、家族旅行が出来ますね」

アレクが、門番を笑顔で見ながら言う。

「近い内に改革案を提出致しますので、家族旅行は暫くお待ちくださいね」

ジキタリスも、アレクに乗るような形で門番に言う。門番は、嬉しさは当然あるのだが、複雑な心境になってしまい、変な顔になる。

「タカハシ辺境伯、魔王様がお待ちですので参りましょう」

「はい!案内よろしくお願いします」

複雑な心境の門番を置いて去っていく二人。





「待っておったぞ!遂に行けるのであるな」

ドアを開けた開口一番が、その言葉であった。ラヴァーナは、嬉しそうな顔で話しかけてくる。

「はい!大変お待たせしました。こちらが招待状です」

アレクが、招待状を出すとすぐに受け取って中を見るラヴァーナ。

「ここには、五日後と書かれておるが、今すぐに参ろうではないか!」

「今すぐですか?おもてなしの準備もまだですし、魔王様が急に城を空けて大丈夫なのですか?」

アレクは、急に何を言い出すんだと思ってしまうのだ。

「おもてなしなどいらぬ!普段の生活を体験してみたいのだ。それに、魔王が数日いないだけで揺らぐほどヤワではない!ジキタリス準備はできているであろうな?」

「はい!ですが、先程このようなことがありまして......」

ジキタリスは、さっき起こった門番の話をする。するとラヴァーナは、真剣な顔で聞く。

「うむ!部下に休暇をしっかりと与えてはおらぬかったな。して、アレクの街ではどうなのだ?アレクのことだ。突拍子もないことをしておるのだろう?」

ラヴァーナは、ニヤリと笑いながらアレクに問いかける。

「まだ改革の途中ではありますが、このような感じで......」

アレクは、週休二日制と1日の労働を8時間交代制と人事部を設けることを話す。

「なんと!素晴らしいではないか!ジキタリス、魔ノ国でも採用可能か?」

「人事の育成をどうにか出来れば可能かと思います。しかし、タカハシ辺境伯には驚かされてばかりです。まさに目から鱗とはこのことです」

ラヴァーナもジキタリスも、アレクの考えに感銘を受けると同時に、すぐ採用しようとする。

「ジキタリス、人事の育成は任せてよいか?後は、アレクに褒美を出さんといかぬな。欲しいものがあれば言ってみよ」

ラヴァーナは、タダで考えを盗むことなどはしない。しっかりと対価を払うと言う。ジキタリスは、「お任せください」と言うのだ。

「そうですね~!急に言われたので思いつきません......あ!魔道具をいくつか売ってもらえませんか?」

「魔道具をか!どんな魔道具が欲しいのだ?」

「街を覆うほどの防御結界の魔道具と夜になると光る魔道具を売って頂けないかと」

防御結界の魔道具はどうしても欲しかった物である。そして、街頭を建てようと考えていたので光る魔道具を欲しかったのだ。

「すべて無償で提供しよう。だが、街の大きさを知らねばならぬ。それも兼ねて今すぐに参ろうではないか」

「え?無償ですか!」

それ程の魔道具ならいくらかかるのか見当もつかない代物をタダで譲ると言う。

「アレクと妾の仲であろう。それに、素晴らしい案をもたらしてくれたのだ。当たり前であろう」

「ありがとうございます!では、準備でき次第すぐに行きましょうか?」

「ジキタリス、すぐに行くぞ!よいな」

「畏まりました。あの三人もすぐに呼んで参ります」

そう言ってジキタリスは、部屋を出ていく。アレクは誰がくるのだろうと思うのだった。
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