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第1章 森の長による開拓

第392話 労働環境について忘れてたぁぁぁ!

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護衛の暴走など色々あったりはしたが、ドワーフ達のお陰であっさり森の道作りが完成した。

「おやっさんと皆さん、本当にお疲れ様でした。これで、安心して街に訪れることが出来ると思います。帰ったらお酒を振る舞いますね」

それを聞いたドワーフ達は、今日一番の声をあげて喜ぶ。

「パスク、戻ったら陛下達への招待状をしたためるよ。あとは、オドヘートさん達の受け入れ状況も確かめないとね」

ラヴァーナと陛下を迎える為に、招待状を用意するというアレク。

「畏まりました。オドヘート様や他の方の受け入れに関してはお任せください。私が責任を持って確認しておきます」

「パスクには、色々お願いしているけど大丈夫?特にお酒の件もあるし」

パスクには、仕事を色々頼んでいるので、手が回るのか心配になる。

「はい!ご心配なさらなくてもアントン様のところにいた時の方が仕事量は多かったですから......」

パスクは、思い出すとなんとも言えない顔になっている。それほどまでに大変な環境だったのだろう。

「そうなの?でも無理だけはしないようにね。疲れたら休むのは基本だからさ......って、あ!忘れてたぁぁぁ」

アレクは、どうしようといった表情を浮かべる。

「アレク様、どう致しましたか?」

パスクは、アレクの取り返しのつかないような顔を見て焦ったように尋ねる。

「休暇と労働時間を決めるのを忘れてたよ。このままならブラック企業だよ」

「ブラックなんですか?」

パスクは、聞き慣れない言葉を聞いて、思わず聞き返す。

「アハハ!ブラック企業は、気にしないで!それよりも、労働環境をどうにかしないと。このままだと無限労働になっちゃうよ」

「ドワーフや魔物達も、夜はしっかり休んでいるようですが。何か問題があるのでしょうか?」

この世界では、休みがあることの方が珍しいので、パスクは何故そんなに憂いているのかと疑問に思う。

「駄目だよ!ちゃんと休日と労働時間を決めないと!こうしちゃいられない。帰ったら招待状を書く前に労働環境について話し合うよ。そうだ!オドヘートさんも、いてもらった方がいいよね」





それから魔物の街に戻って、ドワーフには酒が振る舞われて、ノックス達は湯浴みをして汗を流している。アレクは、オドヘートの下へと転移をして魔物の街に連れてきた。

「タカハシ辺境伯様、相談とはなんでしょうか?それよりここはどこですか?」

アレクは、直接執務室に連れてきた為に、オドヘートはキョロキョロしてここがどこなのかと尋ねてくる。

「魔物の街にある俺の屋敷の執務室だよ。そんなことよりも、労働環境についてなんだけどね」

アレクは、オドヘートに以前敬語をやめるように言われたので普通に話すようにした。
そして、ちょうどパスクも執務室に来たので、労働は8時間の週休二日制について話す。

「タカハシ辺境伯様、もう屋敷まで完成していたのですね。それならば、すぐに私を呼んで頂ければ参りましたのに......それで、労働環境ですが、それでは街が機能しなくなるのではないですか?」

相談役として任されたオドヘートからすると、すぐにでも魔物の街の役に立ちたいと考えたようである。そして案の定、パスクと同じで休みが基本ないこの世界で、アレクの常識である労働環境について話したところ、機能しないと言われてしまう。

「すぐに呼ばなかったのはごめんなさい。ちゃんと出来上がってから招きたかったんだよ。あと機能はすると思うよ。こういう感じで......」

アレクは、二交代制と三交代制について話した。夕方までの仕事については二交代制を採用して、警備や門番などの24時間の仕事については三交代制を採用する。そして休日は、人事部を設けることで管理をする。残業や休日出勤などの異例が起こった際も、人事部が管理をして、問題が起こらないようにするのだ。

「アレク様の考えは把握しましたが、それでは人事部の仕事が溢れかえると思われます」

パスクは、街全体の仕事を把握して、全てを人事部に押し付けてしまうと、とんでもない仕事量で追いつかないと話す。

「それは、あり得ますね。どうしたら良いものでしょう?」

オドヘートも、弊害を感じているようだ。

「仕事場一つ一つに人事を作るのはどうかな?そして、労働環境をまとめた書類を定期的に提出してもらう。後はちゃんと、労働環境が守られているのかを、定期的に屋敷の人事監査役が調査に出向く感じでどうかな?」

一つの職場で管理することによって、仕事量が分散されるのと、漏れをなくすことが出来るメリットがある。しかし、デメリットとして不正や虚偽などが行われやすい面があるので、それを防ぐ為に人事監査役を設けるのだ。

「それならばうまくいくと思います。しかし、人事を担当出来る者を育て上げる必要があります。そこを考えないといけませんね」

「オドヘート様のおっしゃる通りですね。アレク様から案は頂いたので、人事担当については、この後二人で話し合いませんか?これ以上アレク様を頼るわけにはいきません」

パスクは、これでは何も役に立っていない。全てアレクが案を出して、更には解決案まで出しているではないかと思うのだ。

「その通りですね。あとは我々の仕事ですね」

オドヘートも、相談役としてこれ以上は頼れないと考える。

「そういうことなら二人に任せるよ。俺は、陛下とラヴァーナ様に招待状を書くね」

それを聞いた二人は、「お任せください」と笑顔で言うのだった。
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