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第1章 森の長による開拓

第387話 猫人族の商人が魔物の街に驚く!

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2日という時間は、あっという間に流れて、シャニャとじぃを迎えに行く日となった。

「迎えにきましたよ!」

アレクは、いつも通り転移で魔王城の庭へと現れる。。いきなり姿を現したアレクにシャニャやじぃは驚いて腰を抜かす。

「タカハシ辺境伯様、緊急時以外はちゃんと門からやってきてください。最悪、王城の門で構いませんから」

本来は、入国手続きをしてから来てほしいのだが、アレクのことだから守らないだろうと思い、それなら最悪城門から来てほしいと願うジキタリス。

「えへへ、ごめんなさい!次は門を通ってきます」

アレクは、またやっちゃったというような笑みを浮かべて謝る。ジキタリスは、ヤレヤレといった表情を浮かべる。

「じぃちゃん、辺境伯様が急に現れたにゃ」

「本当に驚いたわい!シャニャ、転移だ。まさか転移をいとも簡単に使う人間がいようとは......」

シャニャもじぃも驚きの色を隠せずにいる。

「おはようございます!早速移動したいのですが、準備はよろしいですか?」

アレクが、シャニャとじぃの前にやってきて尋ねる。

「はい!準備はできております。辺境伯様、私共に畏まった言葉遣いは不要でございます。いつも通りお話ください」

「う~ん。わかったよ。ならシャニャとじぃ!転移するから、みんなを一箇所に集めて」

じぃの言葉に甘えてアレクは、いつも通りの言葉遣いで話す。

「畏まりました。シャニャ、みんなに声をかけてくれ」

「わかったにゃ。みんな~集まってほしいにゃ~」

シャニャは、従業員に対して、声をかけて集まるように言う。アレクは、やっぱり語尾は相変わらずにゃ~なんだと思うのだ。
そうして、シャニャが従業員を集めてアレクの前にやってくる。

「辺境伯様、準備完了ですにゃ」

「ありがとう!シャニャ。ジキタリスさん、ラヴァーナ様によろしくと伝えてください」

ラヴァーナの姿が見えないので、仕事だろうと考えたアレクは、ジキタリスによろしくと伝えてもらうようお願いする。

「はい!畏まりました。魔王様からも早く街を見たいと伝えるよう承っております」

「ラヴァーナ様に、完成したらすぐに知らせに来ますと言っておいてください」

ジキタリスは、「畏まりました」と言って深々と礼をする。アレクは、手を振りながら別れを告げて転移するのだった。





「にゃにゃにゃ!?景色が一瞬で変わったにゃ。もう着いたのですかにゃ?」

瞬きをした瞬間に、目の前の景色が変わったので驚いてしまう。じぃや他の従業員も目を丸くして驚いているのだ。

「着いたよ。初めは驚くよね。じゃあ、商業ギルドに案内するから着いてきて」

全員が、驚きながらも「はい!」と言ってアレクの後をついて行く。
そして、門の前までやってくると、門番をしているミノタウロスとオークが出迎えてくれる。

「森の長様!お帰りなさい!」

「おで、今すぐ開ける。待つ」

ミノタウロスは、流暢に話しているが、オークはまだ言葉に慣れていない様子だ。

「ただいま!後ろにいるのが、商人として来てもらった人達だから仲良くしてね」

「よろしく!来るのを待っていたぞ」

「おでも、商人楽しみ!仲良く。大事」

ミノタウロスとオークが、挨拶をする。またしても、シャニャやじぃは、驚いてしまう。何故なら話せるはずのない魔物が平然と言葉を話しているからだ。

「よ、よろしく頼みます!言葉を話せるとは驚きましたぞ」

「凄いですにゃ!襲ってこないにゃ。あ!こちらこそよろしく頼みますにゃ」

魔ノ国でも、魔物が理性を保って言葉を介していることが有り得ないことのようである。

「おで、敵しか襲わない!今の暮らし。好き」

「俺も、森の長様の命令に従う!絶対に襲ったりしないから安心しろ」

ちょっと怖いがニヤリと笑うミノタウロスとオーク。まだ慣れないシャニャは、その笑顔を見て後退りしてしまう。

「二人共、門番頼んだよ!じゃあ、行こうか」

ミノタウロスとオークは、胸をドンと叩いて「任せてください」「任せる」と言う。アレクは、「よろしくね」と言って門を通る。

「うわぁ!凄いですにゃ!立派な街ですにゃ」

「これは驚きですなぁ。辺境伯様は、いったいどれだけの財力をお持ちなのやら......」

整備された歩道に、何軒も並ぶ立派な家。それに、離れていてもわかる大きな城を見てシャニャは、思わず声をあげる。じぃは、驚きながらも、財力を気にしてしまう。所謂、商人の性というやつである。

「街作りにお金はあまり使ってないよ。まぁ、お酒にお金がどんどん消えていくのは事実ではあるけど......」

街を作り上げるのに対しては、そこまでお金を使っていないと思うのだが、ドワーフの力の源である酒にはかなりの投資をしたなと思うアレク。

「お酒ですか......?」

「そうお酒にね。何故かは、じきにわかるよ」

今は、商業ギルドに案内する方が優先なので、じぃの言葉を受け流しながら先に進む。
そして、アレク達が街を歩いていると、魔物達がアレクに対して歓声をあげたり、挨拶をしてくる。

「辺境伯様、いまだに信じられません。本当に魔物と共存されているのですなぁ」

「そうだよ。みんないい魔物達ばっかりだから仲良くしてあげてね」

アレクは、魔物達一人一人に手を振りながら歓声に応えていく。

「シャニャとじぃ着いたよ!」

歓声を浴びながら街を歩いていると、あっという間に商業ギルドに着いた。

「これが、商業ギルドですか!?」

「凄いですにゃ!大きいですにゃ~!」

そこに、あったのは五階建ての建物であった。普通は、一階か二階建てなのだが、アレクの要望で五階建ての建物になったのだ。それを見た二人は、あまりの大きさに見上げて驚きの声を出すのであった。
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