チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!

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第1章 森の長による開拓

第386話 猫人族の商人がやってくるにゃ!

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交易の交渉についてなのだが、魔ノ国はミスリルやオリハルコンなどの鉱石や金銀などの硬貨に使える物が不足しているということで、買い付けたいとのことだ。アレクは、相場がよくわかっていないので、相談役のオドヘートとパスクに相談してから再度交渉をすることとなった。それから、商人を紹介してくれるということで、その商人が到着するまで応接室で待っていることとなった。

「ラヴァーナ様、どのような方を紹介して頂けるのですか?」

「お抱え商人の孫娘である。経験は浅いが算術も交渉術も素晴らしい物を持った者だ。それに、愛想もよく商人の素質は十分に兼ね備えておる」

アレクは、お抱え商人の孫娘と聞いて安心すると同時に凄い人物を紹介してくれるなと思うのだ。

「それは、ありがたいです!でも、これからの人材を紹介して頂いてよかったのですか?」

「大丈夫であるぞ。魔族は、寿命が長いのでな。お抱え商人のじぃもまだまだ現役でな。それに、商人ならこの機会を逃す手はないと思うであろう」

アレクが「それならいいのですが」と返事をしようとした時に、トントントンと応接室のドアがノックされる。

「ジキタリスです!シャニャ様をお連れ致しました」

「入るがよい!」

ラヴァーナが、入室の許可を出す。すると、可愛らしい猫人族と年老いた猫人族が入ってくる。しかし、女の子の方は手足が同時に前へ出てガチガチに緊張している様子だ。

「よくきてくれたのだ。じぃとシャニャよ!ソファーに掛けてくれ」

ラヴァーナは、笑顔で出迎えて歓迎する。

「今回呼んだのは、シャニャの独り立ちについてである。詳しく話すのでな。断るもよし了承するもよしである」

それからラヴァーナは、魔物の街について話し始める。場所が、人間の国であることで一瞬難色を示したようであったが、アレクが街の全容とどのような種族が住んでいるのかを話すと難色は消えて、逆に興味を持ったようだ。

「どうであるか?興味が尽きぬであろう」

「魔王様、確かに魅力的なお話ではありますなぁ。魔王様の友であるなら尚更孫娘を任せられると感じております。しかし、孫娘がやりたいのであればですがな」

じぃと呼ばれている猫人族は、どうやら了承してくれているようだ。あとは、本人次第ということらしい。

「シャニャよ!どうであるか?」

「ひゃい!わ、わたしは......」

魔王を前にして緊張から下を向いてしまうシャニャ。

「シャニャよ!ゆっくりでよい。自分の意思を伝えてくれぬか?」

ラヴァーナは、優しい口調でシャニャに話しかける。じぃもシャニャの頭を撫でて、「大丈夫だ」と言って緊張を和らげようとする。

「ふぅ~......行きたいですにゃ!辺境伯様、よろしくお願いしますにゃ」

シャニャは、息をふぅ~と吐いてから真剣な顔で自分の意思を伝える。

「よし!決まりであるな。アレクは、シャニャでよいか?」

「はい!俺もまだまだ未熟者ですから、一緒に成長出来ればと考えています。それに、こんな可愛らしい商人さんが来てくれるならみんな喜ぶと思います」

それを聞いたシャニャは、「可愛らしい?にゃにゃにゃにゃにを言って」と慌てながら顔を赤くしている。

「アレクよ!女性の扱いもうまくなったものよな。妾にも、褒め言葉の一つくらいほしいくらいであるぞ」

ラヴァーナは、笑いながらアレクをからかう。アレクは、そんなつもりで言ったわけではなかったので、少しドギマギしてしまう。

「意外と初心であるな!そういうところも妾は好きであるぞ」

大笑いしながら、からかうラヴァーナ。その姿を見て、ジキタリスとじぃも笑っている。しかし、シャニャだけは、顔を赤くしたままなのだ。

「話を戻すとしようか。じぃよ!初めは手伝ってやるのだ。良いな?」

「はい!可愛い孫娘の為ですからな。抜かりなくするつもりです。辺境伯様、2日間時間を頂けませんか?それまでには、出発できる準備を整えておきますので」

「はい!でしたら2日後迎えにきます。ラヴァーナ様、王城の庭をお貸し頂いても構いませんか?」

一度、王城に集まってもらって転移をしようと考える。

「構わぬぞ。では、じぃとシャニャよ!2日後、また王城に来てくれ!アレクをよろしく頼むぞ」

ラヴァーナのお陰で、なんとか話がまとまることができた。やっと、人を迎え入れる準備が出来たなと思うのであった。
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