270 / 730
第1章 森の長による開拓
第385話 ラヴァーナ様にお願いと初交渉!
しおりを挟む
ドワーフの女性陣がやってきて、より一層街らしくなった。それは、やはり衣服である。あっという間に、衣服を作りあげて魔物達が言われるままに着て、街中を闊歩している。初めは違和感があり、受け入れがたさもあったのだが、男性の魔物はドワーフの作る衣服の着心地の良さに惹かれ、女性の魔物はオシャレに目覚めたのだ。
そして、更に鍛冶場が出来たことで、武器や防具も作ることができるようになった。
「こんな早く街らしくなるなんて思わなかったよ」
アレクは、ドワーフの素早い仕事に驚いてしまう。
「確かに、驚きはありますが、物流の面においてはまだまだです。いまだに肉しか食べるものがないというのはいかがなものかと。それに、塩なども残りが少なくなってきています」
パスクの言う通り、畑も作る必要があるのと、交易や商人に来てもらう必要があるのは確かなのだ。
「そうだね。ラヴァーナ様に頼んで来てくれる商人がいないかと交易が出来ないか尋ねてみるよ」
人間の商人よりかは、魔族の商人の方が魔物に慣れ親しんでいるだろうというアレクの考えである。
「それは、いい案ですね。もし、うまくいけば一気に生活水準が上がりますよ」
パスクも、どうやら乗り気のようでアレクは一安心する。
「早速行ってくるよ。パスクは、ドワーフに商業ギルドを作るように手配しといてくれない?」
「畏まりました。冒険者ギルドと宿屋も作るように手配しておきます。アレク様のことですから、その辺りも考えていらっしゃるんでしょ?」
「冒険者ギルドについては、まだ先だよ。多分問題が絶えないだろうからね。だから、冒険者ギルドは保留で宿屋だけ作っておいて」
魔物を見るなり斬りかかる冒険者を入領してしまったら、毎日が大変なことになると考えたアレク。
「確かに、言われてみるとその通りかもしれません。冒険者ギルドは、保留に致します」
「そういうことで、あとは任せたよ」
そう言ってアレクは、魔ノ国に転移する。
◆
「ラヴァーナ様、お久しぶりです!」
「誰なのだ?ってアレクではないか!急に目の前へ現れるから驚いたぞ」
またしてもアレクは、転移で直接、魔王城に転移したのだ。いきなり現れたアレクに驚くラヴァーナではあったが、魔王だからだろうか?顔色一つ変えない。
「ごめんなさい!最近入国手続きが面倒で直接来てしまう癖が......」
アレクは、舌を出しながらテヘッとした表情を浮かべる。
「普通であれば、即牢屋行きであるぞ。まぁ、アレクだから良いのだがな。して、今回は何用で参ったのだ?」
アレクだから許されるのは、魔ノ国でも変わらないようだ。それだけ信用されているのである。
「魔物の街を......新しく領主になったので、来てくれる商人がいれば紹介して貰えないかなと思い来ました」
いきなり魔物の街と言っても、話が通じないだろうと思い、領主になったことを話す。
「領主になったとな!めでたいことだ!商人の紹介はしてやれるが、人間の商人ではなく魔族を選ぶ理由を詳しく話せ!それと、魔物の街とはなんなのだ?」
すぐに祝ってくれるラヴァーナだが、はいそうですかと簡単には商人を紹介されるはずもなく、理由を聞いてくる。
「少し長くなりますが、全てお話します」
アレクはその後、魔物の街を治めるようになった経緯と何故魔族の商人が必要なのかを話した。
「フッハハハハ、やはりアレクはおもしろいな。普通ではないと思っておったが、まさか魔物と共存するとはな。だが、妾は嫌いではない。寧ろより好意的に捉えておる」
元々魔物が好きで飼い慣らしているラヴァーナにとって、魔物と共存するアレクは、かなり良い印象を与えたようだ。
「だがここからは、交渉である。妾......いや、魔ノ国にとって商人を紹介した際、有益になる理由があるなら述べよ」
一国の主として、タダで紹介するわけにはいかないと言うラヴァーナ。
「金銀とミスリルとオリハルコンが、採掘されました。かなりの量を確保しています。これで、有益性があると認知してもらえましたか?」
ラヴァーナは、真剣な顔から急に笑い出す。アレクは何が面白いのかさっぱりという様子だ。
「アレクよ!素直過ぎるのである。妾だから良いが、次からは交渉術をしっかり学んでから来るのであるぞ。しかし、有益性は理解した。ちょっと待つのだ。ジキタリスおるか?」
初めから、全ての手札を晒して交渉に挑んだアレクに一声告げる。アレクは、素直過ぎたかなと反省して、次からはパスクも同行させようと考える。
「ハッ!魔王様、どう致しましたか?」
ジキタリスは、部屋の隅からスッと現れる。いつからいたのか?ずっといたのか?と思うアレク。
「話は聞いておったな?今すぐ商人の手配をしてやってくれ。それと、交易に必要な物を算出してアレクと話し合うのだ。くれぐれも対等に頼むぞ!アレクは、妾にとって大事な友であるからな」
どうやら商人を紹介してくれるらしい。それと、交渉が苦手なアレクに対して、不利益な条件を突きつけないようにしてくれる。
「ハッ!畏まりました。タカハシ辺境伯様、早速ではありますが、交渉に入りましょう」
どうやら、すでに必要な物の算出を終えているジキタリス。流石、魔王の右腕である。
「はい!よろしくお願いします」
こうして、アレクのいや、魔物の街にとっての初交渉が始まったのであった。
そして、更に鍛冶場が出来たことで、武器や防具も作ることができるようになった。
「こんな早く街らしくなるなんて思わなかったよ」
アレクは、ドワーフの素早い仕事に驚いてしまう。
「確かに、驚きはありますが、物流の面においてはまだまだです。いまだに肉しか食べるものがないというのはいかがなものかと。それに、塩なども残りが少なくなってきています」
パスクの言う通り、畑も作る必要があるのと、交易や商人に来てもらう必要があるのは確かなのだ。
「そうだね。ラヴァーナ様に頼んで来てくれる商人がいないかと交易が出来ないか尋ねてみるよ」
人間の商人よりかは、魔族の商人の方が魔物に慣れ親しんでいるだろうというアレクの考えである。
「それは、いい案ですね。もし、うまくいけば一気に生活水準が上がりますよ」
パスクも、どうやら乗り気のようでアレクは一安心する。
「早速行ってくるよ。パスクは、ドワーフに商業ギルドを作るように手配しといてくれない?」
「畏まりました。冒険者ギルドと宿屋も作るように手配しておきます。アレク様のことですから、その辺りも考えていらっしゃるんでしょ?」
「冒険者ギルドについては、まだ先だよ。多分問題が絶えないだろうからね。だから、冒険者ギルドは保留で宿屋だけ作っておいて」
魔物を見るなり斬りかかる冒険者を入領してしまったら、毎日が大変なことになると考えたアレク。
「確かに、言われてみるとその通りかもしれません。冒険者ギルドは、保留に致します」
「そういうことで、あとは任せたよ」
そう言ってアレクは、魔ノ国に転移する。
◆
「ラヴァーナ様、お久しぶりです!」
「誰なのだ?ってアレクではないか!急に目の前へ現れるから驚いたぞ」
またしてもアレクは、転移で直接、魔王城に転移したのだ。いきなり現れたアレクに驚くラヴァーナではあったが、魔王だからだろうか?顔色一つ変えない。
「ごめんなさい!最近入国手続きが面倒で直接来てしまう癖が......」
アレクは、舌を出しながらテヘッとした表情を浮かべる。
「普通であれば、即牢屋行きであるぞ。まぁ、アレクだから良いのだがな。して、今回は何用で参ったのだ?」
アレクだから許されるのは、魔ノ国でも変わらないようだ。それだけ信用されているのである。
「魔物の街を......新しく領主になったので、来てくれる商人がいれば紹介して貰えないかなと思い来ました」
いきなり魔物の街と言っても、話が通じないだろうと思い、領主になったことを話す。
「領主になったとな!めでたいことだ!商人の紹介はしてやれるが、人間の商人ではなく魔族を選ぶ理由を詳しく話せ!それと、魔物の街とはなんなのだ?」
すぐに祝ってくれるラヴァーナだが、はいそうですかと簡単には商人を紹介されるはずもなく、理由を聞いてくる。
「少し長くなりますが、全てお話します」
アレクはその後、魔物の街を治めるようになった経緯と何故魔族の商人が必要なのかを話した。
「フッハハハハ、やはりアレクはおもしろいな。普通ではないと思っておったが、まさか魔物と共存するとはな。だが、妾は嫌いではない。寧ろより好意的に捉えておる」
元々魔物が好きで飼い慣らしているラヴァーナにとって、魔物と共存するアレクは、かなり良い印象を与えたようだ。
「だがここからは、交渉である。妾......いや、魔ノ国にとって商人を紹介した際、有益になる理由があるなら述べよ」
一国の主として、タダで紹介するわけにはいかないと言うラヴァーナ。
「金銀とミスリルとオリハルコンが、採掘されました。かなりの量を確保しています。これで、有益性があると認知してもらえましたか?」
ラヴァーナは、真剣な顔から急に笑い出す。アレクは何が面白いのかさっぱりという様子だ。
「アレクよ!素直過ぎるのである。妾だから良いが、次からは交渉術をしっかり学んでから来るのであるぞ。しかし、有益性は理解した。ちょっと待つのだ。ジキタリスおるか?」
初めから、全ての手札を晒して交渉に挑んだアレクに一声告げる。アレクは、素直過ぎたかなと反省して、次からはパスクも同行させようと考える。
「ハッ!魔王様、どう致しましたか?」
ジキタリスは、部屋の隅からスッと現れる。いつからいたのか?ずっといたのか?と思うアレク。
「話は聞いておったな?今すぐ商人の手配をしてやってくれ。それと、交易に必要な物を算出してアレクと話し合うのだ。くれぐれも対等に頼むぞ!アレクは、妾にとって大事な友であるからな」
どうやら商人を紹介してくれるらしい。それと、交渉が苦手なアレクに対して、不利益な条件を突きつけないようにしてくれる。
「ハッ!畏まりました。タカハシ辺境伯様、早速ではありますが、交渉に入りましょう」
どうやら、すでに必要な物の算出を終えているジキタリス。流石、魔王の右腕である。
「はい!よろしくお願いします」
こうして、アレクのいや、魔物の街にとっての初交渉が始まったのであった。
38
お気に入りに追加
5,415
あなたにおすすめの小説
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話
ラララキヲ
恋愛
長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。
しかし寝室に居た妻は……
希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──
一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……──
<【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました>
◇テンプレ浮気クソ男女。
◇軽い触れ合い表現があるのでR15に
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾は察して下さい…
◇なろうにも上げてます。
※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)
妹だけを可愛がるなら私はいらないでしょう。だから消えます……。何でもねだる妹と溺愛する両親に私は見切りをつける。
しげむろ ゆうき
ファンタジー
誕生日に買ってもらったドレスを欲しがる妹
そんな妹を溺愛する両親は、笑顔であげなさいと言ってくる
もう限界がきた私はあることを決心するのだった
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
【完結】悪役令嬢は3歳?〜断罪されていたのは、幼女でした〜
白崎りか
恋愛
魔法学園の卒業式に招かれた保護者達は、突然、王太子の始めた蛮行に驚愕した。
舞台上で、大柄な男子生徒が幼い子供を押さえつけているのだ。
王太子は、それを見下ろし、子供に向って婚約破棄を告げた。
「ヒナコのノートを汚したな!」
「ちがうもん。ミア、お絵かきしてただけだもん!」
小説家になろう様でも投稿しています。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
晴れて国外追放にされたので魅了を解除してあげてから出て行きました [完]
ラララキヲ
ファンタジー
卒業式にて婚約者の王子に婚約破棄され義妹を殺そうとしたとして国外追放にされた公爵令嬢のリネットは一人残された国境にて微笑む。
「さようなら、私が産まれた国。
私を自由にしてくれたお礼に『魅了』が今後この国には効かないようにしてあげるね」
リネットが居なくなった国でリネットを追い出した者たちは国王の前に頭を垂れる──
◇婚約破棄の“後”の話です。
◇転生チート。
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げてます。
◇人によっては最後「胸糞」らしいです。ごめんね;^^
◇なので感想欄閉じます(笑)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。