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第1章 森の長による開拓

第377話 暫しの休憩ととんでもない街が出来上がりそうだ!

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魔物達やノックス達やレッドドラゴンは、酔い潰れて、そこら辺で寝てしまっている。ドワーフは、流石といった様子で誰一人として酔い潰れることなく平気な顔でまだまだ酒盛りを続けている。

「パスク、そろそろ片付けようか。オーバーテイカーも、悪いけど手伝ってくれないかな?」

「お任せ下さい」

「畏まりました」

二人は、二つ返事で了承してくれる。オーバーテイカーもパスクも要領がよくすんなり片付けも終わって、アレクは果実水を片手に地面に座りながらオーバーテイカーとパスクと談笑する。

「森の長様と初日を過ごした感想ですが、何かが変わりそうな予感がしてワクワクしております」

オーバーテイカーは、酔い潰れた魔物達を見渡しながら呟く。元々人間のオーバーテイカーからすると、秩序が生まれようとしている現状が、どこかしら嬉しいのかもしれない。

「まだまだ、これからだよ。魔物と人間が共存できる街を作ることが理想だからね。今は、それぞれの長が統率を取っているけど、それがなくても秩序を安定させることを目標にしているよ」

アレクが、将来の理想を話し始める。

「なかなか難しいとは思いますが、アレク様が望まれていることでしたら、最後までお付き合い致します」

パスクが、理想論を現実にしようと力を貸すと話してくれる。

「私も力を貸しましょう。魔物の言葉を理解出来る強みとして、魔物の不平不満や要望や森の長様が望まれていることを伝達する役割を担おうと考えていますが、いかがでしょうか?」

オーバーテイカーなりに、しっかりと考えて自分の役割を模索していた。

「え?それは、凄い嬉しいよ。でも、かなりの負担にならないかな?」

オーバーテイカーが、不眠不休で活動出来るとはいえ、自我を持った魔物である為、ストレスを感じないかと不安になる。

「大丈夫です!それぞれの魔物の長に頼んで事前に要望を尋ねて貰います。それを、私がまとめて森の長様に提出致します。あまりにも、非現実的な物は私から魔物達に伝えて処理をしておきます」

アレクは、秘書並みに優れているオーバーテイカーに驚いてしまう。こんな有能な人材がいるとは思っていなかったからだ。

「オーバーテイカー様、非現実的なものも一度私に確認をさせてもらえませんか?アレク様であれば叶えられることがあるかもしれません」

「畏まりました。一度、パスク様に要望書をまとめた物を見て頂きましょう。一人より二人の方が、よりいい結果を導き出せる可能性がありますからね」

オーバーテイカーとパスクは、握手を交わして頑張ってアレクを支えていこうと誓い合うのだ。

「アレク様、オーバーテイカー様にも役職をお与えになってはいかがでしょうか?役職があった方が、今後人間が訪れた際、紹介しやすいかと」

「そうだね。魔物の相談役とかどうかな?橋渡し役にはいいかなと思うのだけど」

本当は、格好良くコンサルタントなどとつけたいと思ったが、意味が通じないだろうと、分かりやすく相談役にしたのだ。

「いいと思いますよ。今後も街が出来上がった際には、役職を振り分けていきましょう」

パスクは、昔と違いアントンの下で学んだお陰でかなり成長している。そんな話をしていると、おやっさんと三人のドワーフがやってくる。

「良いかのぅ?」

「はい!大丈夫ですよ。どうしましたか?」

ドワーフ達は、酒の入った木のグラスを持ちながらアレク達の側に座る。

「以前話しておったコンクリートについてじゃが、明日から試してみようと思うんじゃ。そこで、材料と作り方をもう一度教えてくれんかのぅ」

以前、おやっさんにコンクリートの話をして、新たな物に感銘を受けたようで、是非作ってみたいという話になったのだ。

「いいですよ!材料が揃えられるかはわかりませんが、作り方は......」

それから、アレクは材料と作り方をおやっさん達に教える。しかし、コンクリートに必要なセメントの材料でもあるけい石などが存在するかわからないという話だ。

「うむ!難しいのぅ。じゃが、それだけに燃えてくるわい。のぅ、ジャルよ」

おやっさんが、横にいたジャルというドワーフに話しかける。

「そうだ。ワシらは、新たな物に目がないからな!別の素材で代用できないか試してみるか。ここなら、ミスリル・アダマンタイト・オリハルコンすらも眠っているやもしれん」

アレクは、アダマンタイトやオリハルコンと聞いて、あの伝説の鉱石と内心ドキドキが止まらなくなる。

「よし!世界一強固な砦を築き上げてやろうではないか!」

ジャルが、そう言うとおやっさんと他のドワーフが「お~」と言って一致団結する。アレクは、いったいどんな街が出来上がるのかと不安と期待が入り混じった心境になるのだった。
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