チート薬学で成り上がり！ 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました！

第1章 森の長による開拓

第370話 師匠とオレールが恐れるドワーフがいる？

あっという間に、6日間が経って、ドワーフを迎えに行く日を迎えた。ちなみに、ノックスとオレールは、護衛として向かう。パスクは、アレクの護衛兼世話係としてついてくる。夜明けの雫やオドヘートや学友などは、ある程度、移住区が完成してから呼ぶ手筈となっている。

「師匠、お久しぶりです！お元気そうでよかったです」

アレクは、ノックスが前日まで治めていた領地に転移をして迎えにきている。

「久しぶりだな。おっ！少し背が伸びたんじゃないか？」

「だって、もうすぐ14になりますからね。成長しなかったら悲しくなります」

月日は流れるのが早くアレクも、なんともうすぐ14歳になる。更に、あと1年で成人を迎えるのだ。

「ブッハハハハハ、それもそうだな！で、陛下からの手紙を読んだが、またやらかしたらしいな。アレク坊らしいちゃ～らしいけどな」

ノックスは、笑いながらいつものアレクだなと思う。

「成り行きでなっちゃいました。師匠は、来てくれる気はありますか？」

準備をして待っている時点で、来る気満々なのはわかっているが、敢えて尋ねる。

「わかっている癖によく言う。正直な話、領地経営に飽きていたところだ。やはり俺は、前線が性に合っていると知った」

剣を振り回せない書類仕事ばかりの領地経営は、ノックスからしたら地獄でしかなかった。

「それならよかったです。着いたらレッドドラゴンと手合わせお願いしますね」

「ドラゴンとの模擬戦とはな。アレク坊、感謝するぞ」

ドラゴンとの手合わせと聞いて、血が滾るノックスは、目をギラギラさせる。

「そろそろ、オレールさんを迎えに行きましょうか！屋敷の人への挨拶は大丈夫ですか？」

「あぁ、もう済ませてあるから、すぐに行くぞ」

ノックスは、早くレッドドラゴンと戦いたくて仕方ないのである。

「じゃあ、行きますか！転移」

そして、アレクとノックスは、オレールが元治めていた領地に向かう。

「お久しぶりですね！お二人共、変わりなくといった感じですね」

転移した先には、既にオレールが待っていて、二人を見つけた瞬間、挨拶をしてくる。

「おっ！久しぶりだな。これでまたオレールと飲み明かせるぞ」

「相変わらずですね。向こうに着いたら飲み明かしましょう」

二人は、ガッチリ握手を交わす。久しぶりの仲間との再会に喜ぶ。

「オレールさん、久しぶりです。ちなみに、ドワーフが来ますから、嫌でも飲まされますよ」

「ドワーフ？おやっさんのことか？」

ノックスは、おやっさんだけが来ると考える。

「違いますよ！ドワーフの一団がやってきます！働く代わりに、金ではなく酒を寄越せとのことです」

一団と聞いたノックスとオレールは、青い顔をする。

「それは......本当か？」

「嘘ですよね？」

何故か、ノックスとオレールは、青い顔をしたまま嘘だと言ってくれといった顔をする。

「来ますよ。移住区を作るにはドワーフは、欠かせませんからね」

「アレク坊、覚悟しておいた方がいいぞ！俺とオレールは、昔ドワーフに酷い目に合わされているからな」

オレールは、青い顔をしながら首を縦に振って頷く。アレクは、最強の師匠が酷い目ってどんなことをされたのかと気になってしまう。

「酷い目って何をされたんですか？」

「1週間ぶっ通しで無限に飲まされた......うぷっ......」

思い出したノックスは、吐き気を催す。

「え？師匠！何故、抵抗しなかったのですか？師匠なら逃げられたでしょ？」

「無理だ！あいつら飲む事に力が増していきやがるんだ。振りほどけない程にな」

ノックスが振りほどけないって、ドワーフにとって酒は強化薬なのかと思う。

「なんですか？その化け物は！師匠が負けるって......」

「魔法をぶち込んで殺すわけにもいかないからな。力だけなら世界最強かもしれんぞ。なぁ～オレール？」

「そうですね。二度と出会いたくありません。次は、魔法をぶち込んでも逃げる予定です。死ななければアレクくんの回復薬がありますからね」

オレールから、物騒な言葉が飛び出す。それ程までにトラウマなのだ。

「その時は、回復役をしますよ。でも、話を聞くと、酒に酔ったドワーフには、魔法すら効かなそうではありますが......」

平気で、魔法を無効化してきそうだなと思うアレク。

「やめてくれ！俺も同じことを思ったが、考えないようにしているんだ！それより、そろそろパスクを迎えにいった方が良くないか？」

「そうですね。それに、ドワーフの方々もお待ちでしょうし」

またこの一言で、過去のドワーフを思い出した二人は、青い顔をして「うぷっ」と吐き気を催すのだった。