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第1章 森の長による開拓
第369話 学友の家族へ許可を貰いに行く!
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アレクは、ドワーフを迎えに行くまでの6日間を使って、学友の家を一軒ずつ回っていた。平民であるランス・セト・レティ・スローの家族は、辺境伯が直々に訪ねてきたことで、緊張のあまり固まってしまう。そして、魔族の街の話を切り出しても緊張している所為で、なんでも肯定してしまうのだ。しかし、最後は学友達が、両親にきっちり話をして理解をしてもらうことで、なんとかまともに話すことが出来るようになり、魔物の街へ行くことを認めてもらうのだった。
◆
そして今は、レオナードの家を訪ねている。貴族の子息に対して休学と魔族の街へ来てほしいなど普通ではあり得ない要望を話に出そうとしているのだ。
「アングレス伯爵、アングレス伯爵夫人、ご無沙汰しております。妻は、妊娠しておりまして、本日お会い出来ないことを悲しんでおりました。本当に申し訳ございません」
二人を前にして、アレクは頭を下げて謝る。
「頭をお上げ下さい。それと、おめでとうございます」
「そうですわ。元気な赤ちゃんが生まれることを願っています。タカハシ辺境伯様、近々こちらからお伺いさせて頂いてもよろしいかしら?」
ブランシェは、ヘルミーナのことが心配なのと話の合う友人として会いたいと考えている。
「構いませんよ。ヘルミーナも、喜ぶと思います。是非訪ねて来て下さい。歓迎致します」
「タカハシ辺境伯、妻が無理を言って申し訳ない!」
「いえいえ、ヘルミーナを思ってのことですので、非常に嬉しく思います」
自分の夫より上の辺境伯に対して、このような会話をすることは少し間違えれば、失礼に当たることなのだが、アレクからしたら普通のことであり、逆に嬉しくも感じるので有り難いと思うのだ。
「タカハシ辺境伯様は、心の広い方ですね。本当に見習わなくてはなりません。それで、本日はどのような御用向きで参られたのですか?」
アレクからしたら、堅苦しい貴族の礼節が苦手なだけだと思うのであった。
「本日は、アングレス伯爵と伯爵夫人にお願いがあり参りました!」
姿勢を正して真剣な顔になるアレクに対して、二人もただ事ではないと感じて、姿勢を正して聞く。
「どのようなお願いでしょう?出来る限りのことはしようと思っておりますが、聞いてみないことにはなんとも......」
アレクからどんな言葉が出てくるのか、固唾を呑んで見守る。
「まずは、経緯からお話致します......」
アレクは、課外授業で起こったことを話し、陛下からの許可を頂いて魔物の街を作ることを話した。
「なんと!うまく言葉が出ませんが、やはりタカハシ辺境伯様は凄いお方です。魔物まで従えてしまうとは......」
「そ、そうですわね。まさかレッドドラゴンを従えてしまわれるとは驚きですわ」
二人は、なんの疑いもなくアレクの言葉を信じる。
「まだ聞いていませんが、お願いとはどのようなことでしょうか?」
アーノルが、本題を聞こうと尋ねてくる。
「単刀直入に申し上げます!レオナードの休学許可と魔族の街へ行く許可を頂けませんか?」
思ってもみなかったことだったので、二人は驚きの表情を見せる。しかし、真剣な表情のアレクを見て、すぐに平常心を取り戻すのだ。
「何故、レオナードなのでしょうか?それと、レオナードにとって休学までして魔族の街に行くことに、どんな得があるのかも教えて頂けませんか?」
自分より上の貴族に発言したことに対して、申し訳なさそうに尋ねるアーノル。
だが、アレクは親として当然のことであり、否定からではなく、子を思う発言に感銘を受ける。
「レオナードには、強くなる素質があるからです!そして、ここだけの話ですが、以前あったスタンピードのような厄災がまた起こります!その時に、レオナードの力が必要なんです」
それを聞いたブランシェが、アーノルを見て「あなた......」と呟く。アーノルは、一度めを瞑り考えてから口を開く。
「わかりました!許可します。後は、レオナードの意思を聞いてから......」
「父上!僕は、アレクくんと共に行きたいです!」
ドアの前で、ずっと様子を伺っていたレオナードが、バンッとドアを開けて発言する。
「レオナード!いたのか......そうか!レオナードが決めたことなら反対はしない!頑張ってきなさい!そして、タカハシ辺境伯様、レオナードをよろしくお願い致します」
「わかりました。必ずやご期待以上の成果を出してみせます!それと、レオナードの得についてですが、オドヘート殿も相談役として来ますので、貴族のイロハを学べると思います」
オドヘートと聞いて、一瞬考えたが、すぐに誰を指しているのか把握するアーノル。
「ペッカラ子爵いや元子爵のことですね。あの方の元で学べるのであれば安心して送り出せます。ブランシェもいいか?」
どうやらオドヘートは、かなり信頼の厚い人物のようだ。そして、最後に妻に尋ねる。
「少し不安はあるけれど、レオナードが決めたことに反対はしないわ!それに、厄災が起こると聞いたら余計に強くなってもらいたいもの」
我が子を失いたくないブランシェは、レオナードだけでも生き残って欲しいと考える。
「そうだな!レオナード強くなれ!そして、厄災を止めるのだぞ!」
「はい!父上!必ずや強くなってみんなを守れる存在になります」
「私は、こんな立派な息子を持って幸せだ」
最後には、とうとう感極まって泣いてしまうアーノル。それにつられてブランシェもレオナードも涙を流すのだった。
◆
そして今は、レオナードの家を訪ねている。貴族の子息に対して休学と魔族の街へ来てほしいなど普通ではあり得ない要望を話に出そうとしているのだ。
「アングレス伯爵、アングレス伯爵夫人、ご無沙汰しております。妻は、妊娠しておりまして、本日お会い出来ないことを悲しんでおりました。本当に申し訳ございません」
二人を前にして、アレクは頭を下げて謝る。
「頭をお上げ下さい。それと、おめでとうございます」
「そうですわ。元気な赤ちゃんが生まれることを願っています。タカハシ辺境伯様、近々こちらからお伺いさせて頂いてもよろしいかしら?」
ブランシェは、ヘルミーナのことが心配なのと話の合う友人として会いたいと考えている。
「構いませんよ。ヘルミーナも、喜ぶと思います。是非訪ねて来て下さい。歓迎致します」
「タカハシ辺境伯、妻が無理を言って申し訳ない!」
「いえいえ、ヘルミーナを思ってのことですので、非常に嬉しく思います」
自分の夫より上の辺境伯に対して、このような会話をすることは少し間違えれば、失礼に当たることなのだが、アレクからしたら普通のことであり、逆に嬉しくも感じるので有り難いと思うのだ。
「タカハシ辺境伯様は、心の広い方ですね。本当に見習わなくてはなりません。それで、本日はどのような御用向きで参られたのですか?」
アレクからしたら、堅苦しい貴族の礼節が苦手なだけだと思うのであった。
「本日は、アングレス伯爵と伯爵夫人にお願いがあり参りました!」
姿勢を正して真剣な顔になるアレクに対して、二人もただ事ではないと感じて、姿勢を正して聞く。
「どのようなお願いでしょう?出来る限りのことはしようと思っておりますが、聞いてみないことにはなんとも......」
アレクからどんな言葉が出てくるのか、固唾を呑んで見守る。
「まずは、経緯からお話致します......」
アレクは、課外授業で起こったことを話し、陛下からの許可を頂いて魔物の街を作ることを話した。
「なんと!うまく言葉が出ませんが、やはりタカハシ辺境伯様は凄いお方です。魔物まで従えてしまうとは......」
「そ、そうですわね。まさかレッドドラゴンを従えてしまわれるとは驚きですわ」
二人は、なんの疑いもなくアレクの言葉を信じる。
「まだ聞いていませんが、お願いとはどのようなことでしょうか?」
アーノルが、本題を聞こうと尋ねてくる。
「単刀直入に申し上げます!レオナードの休学許可と魔族の街へ行く許可を頂けませんか?」
思ってもみなかったことだったので、二人は驚きの表情を見せる。しかし、真剣な表情のアレクを見て、すぐに平常心を取り戻すのだ。
「何故、レオナードなのでしょうか?それと、レオナードにとって休学までして魔族の街に行くことに、どんな得があるのかも教えて頂けませんか?」
自分より上の貴族に発言したことに対して、申し訳なさそうに尋ねるアーノル。
だが、アレクは親として当然のことであり、否定からではなく、子を思う発言に感銘を受ける。
「レオナードには、強くなる素質があるからです!そして、ここだけの話ですが、以前あったスタンピードのような厄災がまた起こります!その時に、レオナードの力が必要なんです」
それを聞いたブランシェが、アーノルを見て「あなた......」と呟く。アーノルは、一度めを瞑り考えてから口を開く。
「わかりました!許可します。後は、レオナードの意思を聞いてから......」
「父上!僕は、アレクくんと共に行きたいです!」
ドアの前で、ずっと様子を伺っていたレオナードが、バンッとドアを開けて発言する。
「レオナード!いたのか......そうか!レオナードが決めたことなら反対はしない!頑張ってきなさい!そして、タカハシ辺境伯様、レオナードをよろしくお願い致します」
「わかりました。必ずやご期待以上の成果を出してみせます!それと、レオナードの得についてですが、オドヘート殿も相談役として来ますので、貴族のイロハを学べると思います」
オドヘートと聞いて、一瞬考えたが、すぐに誰を指しているのか把握するアーノル。
「ペッカラ子爵いや元子爵のことですね。あの方の元で学べるのであれば安心して送り出せます。ブランシェもいいか?」
どうやらオドヘートは、かなり信頼の厚い人物のようだ。そして、最後に妻に尋ねる。
「少し不安はあるけれど、レオナードが決めたことに反対はしないわ!それに、厄災が起こると聞いたら余計に強くなってもらいたいもの」
我が子を失いたくないブランシェは、レオナードだけでも生き残って欲しいと考える。
「そうだな!レオナード強くなれ!そして、厄災を止めるのだぞ!」
「はい!父上!必ずや強くなってみんなを守れる存在になります」
「私は、こんな立派な息子を持って幸せだ」
最後には、とうとう感極まって泣いてしまうアーノル。それにつられてブランシェもレオナードも涙を流すのだった。
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