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第1章 森の長による開拓

第367話 可愛く成長したノアとカレンと久々の父と母!

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ヨゼフとカリーネが、ヘルミーナの妊娠を知って屋敷にやって来ていた。もちろん弟と妹であるノアとカレンも二人に抱っこされながらやってきていた。

「にぃーに~」

「兄たま~」

ノアとカレンは、アレクを見つけると嬉しそうに呼ぶ。転移で時々帰って、遊んであげているうちにそう呼ばれるようになった。

「ノアとカレンは、いつ見ても可愛いな。お兄ちゃんが凄い魔法を見せてあげるね」

水魔法で、空中に魚や魔物の形をした物体を浮かせて、ノアとカレンの周りを飛び回らせる。二人は、キャッキャッと言いながら笑う。

「にぃーに、凄い」

「兄たま、もっともっと」

ノアもカレンも、気に入ったようで、更に見たいと要求してくる。

「よし!これなら、ノアもカレンも満足するんじゃないかな?」

そう言って、森にいたレッドドラゴンを形取り実物大のサイズを空中へ浮かせる。

「キャハハハ、にぃーに、ドラゴン!ドラゴン」

「兄たま~ドラゴン飛んでるの」

まだまだ2歳なので、うまく話せないが、二人は大興奮している。

「なんじゃこれは!凄いのぅ!あとで、ワシにも教えてくれんか?こんなに喜ぶノアとカレンを見たのは初めてじゃ。ワシも、褒められたいわい」

ヨゼフは、どうやらかなりの親馬鹿みたいで、ノアとカレンに凄いと褒めてもらいたいようだ。アレクは、そんなヨゼフを見て不覚にも笑みが溢れる。

「何を笑っておるんじゃ!ワシだって凄いとか言われたいんじゃよ」

「もう~あなたったら!そんな調子だとノアとカレンに鬱陶しがられるわよ」

カリーネが、フフッと笑いながら言う。本当に、いつまで経っても仲のいい夫婦だなとアレクは思う。アレク自身も見習って、もっとヘルミーナを大切にしないといけないなと考える。

「お父さんいいよ!こっちにいる間に教えるからさ!でも、イメージが大切だから、ある場所にみんなで行こう」

「ある場所とはなんじゃ?また何やら嫌な予感がするんじゃが......また何かやらかしたのかのぅ」

アレクは、次々に色んなことをやらかすので、思わず今回も何やらとんでもないことをしでかしたのではと思うヨゼフ。

「まぁ......多分驚くとは思うよ」

アレクは、苦笑いを浮かべながら答える。

「今は聞かなかったことにするわい!とりあえずは、ヘルミーナに会わんといかんのじゃ。初孫が生まれるんじゃからな」

自分の子供にこの調子なら孫に対しては、甘々のおじいちゃんになるのではと思うアレク。

「そうよ。ヘルミーナちゃんも不安でしょうから、早速行くわよ」

カリーネも、絶対孫馬鹿になるような気がするのだが、アレクからしたらお産を経験したカリーネが来てくれたことは、かなり心強いと感じる。

「言い忘れとったんじゃ。アレク、おめでとうなんじゃ」

「アレクちゃん、おめでとう」

二人から、子供が出来たことに対して祝福の言葉を言われる。

「お父さん、お母さんありがとう!分からないことだらけだから色々助けてほしい」

それを聞いた二人は「任せて」と言ってくれる。アレクは、本当に心強い両親を持ったなと思うのであった。

「アレク様、この度はおめでとうございます。私に出来ることがありましたら、なんなりとお申し付け下さい」

「アレク様~本当におめでとうございます!嬉しくて嬉しくて......」

今回、同行してくれたセバスとナタリーも、アレクに祝福言葉を伝える。

「二人共ありがとう!嬉しいよ。それと、セバスがナタリーを幸せにしてくれていることにも感謝しているよ」

セバスは、何気にナタリーの手を握っている。普通なら使用人が辺境伯に会う場面では、あり得ないことなのだが、アレクとヨゼフだからこそ許されることなのだろう。
セバスもナタリーも、恥ずかしいのか照れて顔を赤くする。

「早速だけど、ヘルミーナのところに行こうか!ファビロ、私兵達の湯浴みと部屋までの案内を頼むね」

「畏まりました」

ここまでの旅路で、私兵達も疲れているだろうと労うように言うアレク。






それから、同行した兵士には、執事のファビロが案内をする。アレクは、ヨゼフ達をヘルミーナが寝ている部屋へと案内するのだ。

「ヘルミーナ~、みんなが会いに来てくれたよ」

寝ていたヘルミーナは、ヨゼフ達が来たことを知り、座って待っていた。

「お出迎えが出来ず申し訳ございません。最近つわりが酷くなってきまして」

ヘルミーナは、申し訳なさそうにヨゼフ達に謝る。

「いいのよ!気にしないで!」

「そうじゃぞ!そのままで構わんわい。ん?横におるのは、手紙に書いておったナハス様かのぅ?」

ナハスは、常にヘルミーナの側にいて、話し相手をしたり、護衛をしてくれている。

「はい!アレク様のお父様とお母様ですね。お初にお目にかかります!ナハスと申します」

ナハスは、内心人間を下に見ているが、主人であるアレクの親に対しては敬意をちゃんと持っている。最近は、ヘルミーナに対しても良き友のように接しているのだ。

「まさか、天使様を召喚するとはのぅ。驚きじゃわい!ナハス様、アレクとヘルミーナを頼みます」

ヨゼフは、笑顔でナハスにお願いをする。

「お任せ下さい!ご主人様とヘルミーナは、何があってもお守り致します」

「フフッ、アレクちゃんは幸せ者ね。こんなにも、思ってくれている仲間がいっぱいいるんですもの」

「はい!まだまだ仲間はいっぱいいますので、この後紹介しますね」

ヨゼフは、「楽しみだわい」と言い、カリーネは、「楽しみだわ」と言うのだった。
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