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第8章 復学生活の始まり

第360話 さぁ〜みんなでレッドドラゴンのお肉を食べてみよう!

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アレクは、ナイフに火の魔装剣を付与して、鱗と皮を剥いでいく。すると、ピンク色のキレイな肉が見えてきた。後は、焼き肉が出来るサイズに鉄のナイフで切り分けていく。どうやら肉はかなり柔らかいようで、筋一つない。

「うわぁ~ドラゴンのお肉ってこんな感じなんだね」

セトが、捌いている様子を眺めて話しかけてくる。セトだけではなく、レティーも冒険者も、その様子を眺めているのだ。

「凄いよね。外は硬いのに不思議だよ。じゃあ、冒険者さんあれを貸して下さい」

「おう!任せとけ......じゃなかった!任せて下さい英雄様!」

「だから、英雄様はやめてって言ってるでしょ?恥ずかしいし友達だっているんだから!普通にいつも通りお願いします」

アレクは、ずっと英雄様呼びをされていることに対して、恥ずかしさでいっぱいになっている。

「わかった!いつも通りにするぜ。でよ、英雄......アレクくんあれをどうするんだ?」

「これをこうやって支えて火を点けてと!暫く待ちます」

アレクが何をしたかというと、冒険者が持っていた鉄の盾を借りて鉄板代わりにしたのだ。それを見た冒険者は慌てる。

「ちょ、ちょっと何をしてるんだ!俺の盾がぁぁぁぁ」

火に炙られる盾を見て、大慌てする冒険者。

「はい!これで新しい盾を買って下さい!お詫びです」

アレクは、ポケットから金貨を取り出して渡す。今の鉄の盾より高級な盾が買える金額をである。

「え?こんなに?いいのかよ?英雄様は、太っ腹だぜ!」

盾使いの冒険者は、小躍りしながら喜ぶ。

「だから、英雄様は駄目ぇぇぇ!アレクって呼んで」

アレクが、そう叫んでいる時に、レティーが冒険者に何故英雄様なのか後で教えてほしいと言う。冒険者もお安い御用だと言った感じで答える。アレクは、諦めたのか?もう好きにしてくれとなるのだ。

「そろそろいいかな!焼いていくよ」

アレクが、盾の鉄板に肉を乗せていく。ジュ~といい音が鳴る。その間に、事前に作っておいたアレク特製焼き肉のタレを注いで渡していく。

「なんだこれは?ってうめぇ~」

冒険者の一人が、タレを舐めて、そのうまさに驚く。すると、全員がタレを舐め始めて同じ反応をするのだ。その間も、アレクは肉をひっくり返しながら肉を焼いていく。

「特製タレだよ。焼けたらこれにつけて食べてね。うわぁぁぁ!香ばしいいい匂いがしてきた」

肉がいい具合に焼けて、辺り一面に香ばしい肉のいい匂いが充満する。

「そろそろいいかな!みんな食べていいよ!いただきます」

全員が、木のフォークで、肉を取りタレをつけて口に運ぶ。その瞬間、咀嚼音は聞こえるのだが、誰一人言葉を発しようとしない。

「・・・・・」

全員が、無言で新たな肉に手を伸ばして、また口に運ぶ。それが、数回続いた後にセトが話し出す。

「おいしいよ~!ピリッとくるちょうどいい辛さに、とろける程の肉汁たっぷりのお肉!それに、このタレが合って最高においしいよ~」

これでもかといった幸せな顔をしてセトが感想を言う。他のみんなも、肉を頬張りながらうんうんと頷くのだ。

「本当においしいや!夢にまで見たドラゴンのお肉最高~」

アレクも、レッドドラゴンの肉を食べながら幸せな顔をする。そして、あれだけあった肉はあっという間に無くなるのだ。

「美味かったぜ!こんなうめぇ肉初めてだ」

「もう他の肉なんて食えねぇよ」

「そうだな!アレクくんに感謝しないといけないな」

その一言を聞いた冒険者は、アレクを拝むように「ありがとう!ありがとう」と感謝の言葉を言う。

「また何か一緒に食べましょうね。おいしい物は、みんなで食べた方がよりおいしくなりますから」

すると、冒険者の涙を流して、「英雄様は、神様ですか!流石英雄様だぁぁ」と叫ぶのだ。アレクは、もう英雄様呼びを訂正する気もないが、それ程のことをした覚えはないのになと首を傾げる。

「それより、アレクくんはレッドドラゴンを倒したのか?」

リーダーらしき冒険者が尋ねてくる。

「いや~なんと言いますか......ちょっと答えられないと言った方が正しいような......」

「野暮なことを聞いたようだな。これ以上何も聞きはしない。それよりも、さっきから気になっていたんだが、何故魔物が入って来れないんだ?」

ドラゴンの肉の匂いに誘われて、魔物達が集まって来ているのだが、アレク達によって撒かれた魔物除けの薬の効果で近づけないようなのだ。

「魔物除けを撒きました。セトとレティー、腹ごしらえのレベル上げといこう。ここから、魔法を撃ち込んで全部倒しちゃえ」

アレクは、初めからこのつもりでいた。簡単にレベル上げ出来る機会を作ろうとしていたのである。セトとレティーは、言われるがままに「うん」と言って魔法を放つ。

「いやはや......流石英雄様というべきなのか......なんでもありだな」

リーダーらしき冒険者が、首を横に振りながら呆れている。他の冒険者二人もうんうんと頷くのだった。
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