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第8章 復学生活の始まり

第354話 二日目の朝にして料理番がアレクに代わる?

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「寝る前に、目的を再確認しよう」

アレク達は、時間に余裕が出来たので、三人で火を囲んで簡易的な地図を広げながら話し合うのだ。

「まずは、森の中間地点を目指して折り返して、ここに戻ってくることが第一目標だね」

二人共、うんうんと頷き応える。

「これはあくまで予想だけど一班につき一名以上の先生か雇った人物が付いているはずだから、気を抜かずに行動しよう。評価を常に付けているはずだよ」

「だからと言って慌てる必要はないかな。訓練の成果を出せれば、浅い森の魔物なら簡単に倒せるしね」

アレクは、気負いしないように、セトとレティーに言い聞かせる。

「リーダー、質問いいですか?」

レティーが、挙手をして珍しい敬語で話して来るのだ。

「どうしたの?」

「魔物と遭遇した場合、私とセトくんはどうしたらいいかな~?」

レティーは、ずっと魔物との遭遇に脅威を感じていたのだ。そして、事前に聞いておけば多少なりとも臆することなく対処ができると考えたのである。

「そうだね。まずは、俺が手本を見せるから、手本通りセト、レティーの順番で魔物を倒そうか」

「手本は嬉しいけど、アレクくんのが手本になるかな~?真似出来なさそうにないよ~」

アレクの凄さは周知の事実であり、レティーからしたら、到底真似できないと思うのだ。

「そこは、考えてあるから大丈夫!とりあえず、みんなが出発する前に移動したいから早く寝よう」

そう言ってアレク達は、どの班よりも早く寝るのである。





「おはよう!二人共、起きるの早いよ~」

アレクが、一番最初に起きて次にセトが起き、最後にレティーが起きてきたのだ。

「こんな早く起きることないもんね。朝食を作ったから食べて!食べ終わって、少ししたら出発するよ」

アレクは、朝一番に先生から食材を貰って調理していたのだ。

「すまんが、俺達も食わせてもらうぞ」

ギルバート先生や他の先生達も、やってきて三人の前に座る。

「どうぞどうぞ!いっぱい食べて下さい」

これくらいで、得点を稼げはしないだろうが、何かあった時に大目に見てくれる可能性があるかもしれないと、起き始めた先生達を誘ったのだ。

「うまっ!なんだこれは?あの食材から作ったのか?」

ギルバート先生が、一口齧り付いたところで、大きな声を出す。ちなみに、作ったのは、パンにオーク肉と野菜を挟んで、アレクのスキルで作った特製ソースを絡めてあるのだ。他の先生達も思わず叫んでいる。

「はい!干し肉じゃなくて、オークの肉を貰えましたからね。スキルを使って特製ソースを絡めてみました。何も不正はしてませんよ」

「それならいいんだ。すまんが、もう一つくれないか?」

指についたソースを舐めながら、ギルバート先生は、もう一つおねだりをする。余程気に入ったようだ。

「はい!まだありますから食べて下さい」

アレクは、ギルバート先生に特製オーク肉サンドを渡す。すると、他の先生もほしいと言ってくるのだ。そして、一人一人に渡しているとレティーが、話しかけてくる。

「今日から料理番はリーダーで決定だね!」

凄くいい笑顔で言ってくるのだが、それだとレティーは、何番をするんだと思うのだ。

「え?レティーが、料理番でしょ?」

「こんなおいしいの食べたら、私作れないよ~!それに、もっとおいしい物を隠してるはずだからね~」

更に、秘蔵のレシピがきっとあるだろうと、レティーの第六感が告げるのである。

「じゃあ、レティーがテントを張ってくれるの?」

「え?私は見ているだけだよ~」

「おい!働け!」

そう言うと、レティーは新しく受け取った特製オーク肉サンドを持って逃げるのだった。

「はぁぁぁ......仕方ないか......」

アレクは、こうなった以上、どうしようもないし、仕方なくやるかと諦めるのだ。だが、帰ったらレティーには、特別訓練をさせようと密かに思いつくのである。

「セト、レティー、食べ終わったら出発するから荷物をまとめてね。俺は、テントを片付けるから」

セトとレティーが、「うん」と元気よく返事をする。どうやらアレク特製のオーク肉サンドで元気が出たようなのだ。

「ギルバート先生達も見張り役頑張って下さいね」

「おい!それは......まぁ、わかって当然か!確かアレク達には、現役の冒険者が見張り役につくはずだったな。だから、安心して課外授業を楽しんだらいい」

「はい!セトとレティーのレベルアップをしながら帰ってきます」

それを聞いたギルバート先生は、趣旨が違うだろうと思うのだが、アレクだし仕方ないかと思うのだった。
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