チート薬学で成り上がり！ 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました！

第8章 復学生活の始まり

第336話 道中の会話とアサシンの制圧の早さ！

「なぁアレク、エリーゼはいいとしてよ。スローとレティーはどうやってくるんだ？」

ランスが、アレクに尋ねる。

「レオナードの馬車で来るみたいだよ。帰るついでに乗せて行くって言ってたから」

「そうなのか！じゃあ、大丈夫だな。それより、あれいいのか？」

あれとは、セトがあまりにも可愛いので、ヘルミーナが膝の上に乗せて、ずっと頭を撫でているのだ。ランスは、嫉妬しないのかと心配しているようである。

「いいよ。信用してるしね。満足したら解放すると思うし、セトには暫く耐えて貰おう」

「お、おう...すげぇ～な。俺なら嫉妬で気が気でなくなりそうな予感しかしねぇわ」

ランスは、アレクの余裕そうな様子に驚きと尊敬の念を込めて言うのだ。

「ランスから恋愛の話が出てくるとは意外だったよ。好きな人でも出来たのかな？」

「出来てねぇ～よ！そんなことより、マンテ爺久々だな。元気にしてたか？」

ランスは、話をはぐらかすようにマンテ爺に話しかけるのだ。アレクは、何かあるのは明白ではあるが、フッと笑うだけで何も聞かない。

「元気じゃわい。ランスも、元気そうじゃな。それに、鼓動が乱れておるが大丈夫かのぅ？」

マンテ爺は、内心ニヤリとしながらランスをからかうのだ。

「だ、大丈夫だ！なんでもねぇよ」

フンといった感じでランスはそっぽを向く。

「マンテ爺、これは後で根掘り葉掘り聞く必要性がありそうだね」

「そうじゃな。面白そうな話が聞けそうじゃわい」

アレクは、わざとらしく言うとマンテ爺も、それに乗っかるように話し出すのだ。

「もうその話はいいだろ？絶対話さねぇからな」

「ハハッ、悪かったよ。でも相談したい時は言ってね。話は聞くからさ」

「ワシも、おるぞい」

アレクとマンテ爺が、悪ノリからではなく真剣に言う。

「もう、わかった！必要な時は、相談するから、それでいいだろ？」

ランスは、もう許してくれといった顔をするのだ。アレクもマンテ爺も、これ以上は怒らせる可能性があるなと感じて突っ込まないようにする。

「アレク、この先で待ち伏せのようじゃぞい！」

マンテ爺は、いち早く待ち伏せを察知する。それを聞いたアサシンは、「言って参ります」と言い残して走る馬車から飛び降りるのだ。

「すげぇな。で、待ち伏せって大丈夫なのか？」

アサシンの身のこなしを見たランスが驚きの声と待ち伏せする敵に対して心配する様子を見せる。

「アサシンに任せておけば大抵は大丈夫だよ。ね、マンテ爺？」

「大丈夫じゃろ！一瞬で、終わるはずじゃ」

マンテ爺も一切心配する様子もなく、アレクの膝の上で寝ているのだ。暫くすると、アサシンが、馬車に飛び乗ってくるのだ。

「完了致しました。ただの盗賊だったようですので心配は無用かと」

「アサシン、ありがとう。じゃあ、レオナードの家に向かおう」

アサシンもアレクも何もなかったように話を進めているが、ランスやセトからすると、どうなったのか気になるのだ。

「アサシンさん、盗賊はどうなったのですか？」

ヘルミーナに頭を撫でられながら、疑問に感じたことを尋ねるセト。

「一人残らず始末しただけだ」

アサシンは、簡単に言っているが、実際20人近くの盗賊が待ち伏せしており、普通ならこんなあっさり終わることはないのである。

「えっと...捕まえて連れて行かなくてよかったのですか？」

盗賊には懸賞金がかかっている者もおり、普通なら捕まえてギルドに連行するのだ。

「今は移動が最優先だ。それに、跡を残すと追われる可能性もある。だから、痕跡を残さず始末したんだ。タカハシ辺境伯様と奥方を危険に晒すわけにはいかないからな」

淡々と話すアサシンに対して、セトとランスは、「へぇ～」と感嘆の声を出す。

「アサシンは、本当によく働いてくれているよ。いつもありがとう」

「やめて下さい！当たり前のことをしているだけですから」

アサシンは、アレクから褒められると顔を少し赤くして照れ笑いをするのだ。
セトとランスは、会って間もないが堅物そうなアサシンがあんな顔をすることに驚く。

「旦那様、そろそろ着くそうです！」

御者が、トントンと馬車を叩いて領地に着くことを知らせてくれたようなのだ。

「本当に王都から近いね。どんな街なのか楽しみだよ」

アレクは、レオナードが生まれた場所がどんなところで、どんな街であるのか期待で胸を膨らませるのであった。