上 下
211 / 756
第8章 復学生活の始まり

第326話 権力に媚媚な先生とウッドストック侯爵!

しおりを挟む
「ずっと土下座をしていないで、これを見てください。ウッドストック兄弟は、死にはしませんから放置で構いませんよ」

アレクは、ウッドストック兄弟などお構いなしに映像を映し出す魔道具を取り出して、青い石を填めるのだ。すると、先程の一連の流れが映し出される。

「これはなんですか!」

先程まで偉そうにしていた先生が畏まったようにアレクに尋ねる。

「これは、魔ノ国から頂いた記録した絵を映し出す魔道具です。これでも、俺が悪いと言えますか?」

「いえいえ、この絵には驚かされましたが、タカハシ辺境伯様が悪いということはないのです。むしろ、ウッドストック兄弟の非道さを裏付ける証拠となるでしょう。ですよね?みなさん?」

他の先生方も同意するように頷くのだ。

「それと先生、学園は平民も貴族も平等です。もし、次に貴族を庇い、贔屓する現場を目撃した時点で学園長と陛下に報告をするつもりですので、肝に銘じておいて下さい」

アレクは、どうにかこの腐敗した現状を変えようと思うのだ。

「あ!はい!畏まりました。二度と差別することなく接するように致します!それと、ウッドストック侯爵様とのやりとりはどのように致しましょうか?」

「全て俺が話しをつけますので、先生は、ウッドストック侯爵に連絡を入れてください」

アレクは、一切気にする様子もなく、ウッドストック侯爵と対峙する構えを見せるのだ。

「わかりました。それと、ウッドストック兄弟の処罰についても話し合わないといけません。その際は、再度先程の魔道具が必要になりますので、お呼び立てしてもよろしいでしょうか?」

「はい!その時は、呼んで下さい。しっかりと罪を償ってもらいましょう」

これまで犯してきた罪が全て認められるかはわからないが、少なからずこの先ウッドストック兄弟によって被害を被る生徒が減るだろうと考えたアレク。

「では、ウッドストック兄弟とこの少女を運びますか。ここに置いておくのも邪魔ですからね」

酷い言い方ではあるが、当然の報いだと思っているアレクは冷たい目でウッドストック兄弟と少女を見るのだ。

「はい!ウッドストック兄弟と少女については、我々が保健室に運びます。タカハシ辺境伯様は、このままお帰り下さい。再度またご連絡致します」

本当に、最初に会った時とは別人のような態度を見せる先生。

「では、よろしくお願いします。フェリウス先輩、行きましょうか」

「え?あぁ~そうしようか...」

一連の流れを見ていたフェリウスも風紀委員のメンバーも呆気にとられるのだった。





「急患を連れてきました。ハリス先生よろしくお願いします」

先生方がいきなり患者を運んできたことで、保健室の先生であるハリスは驚く。

「先生方が総出でどうしましたか?ん?これは、いけませんね。寝かして下さい。すぐ診てみます」

ハリスは、スキルを使用してウッドストック兄弟を診断するのだ。

「何があればこのようなことに...」

ハリスは、診断をするに連れて青い顔になっていくのである。

「ハリス先生、どうしたのですか?」

ハリスの顔を見た先生方が、何があったのかと心配するように見つめる。

「二人共、魔力回路が全て破壊されており、全身の複雑骨折になっています。複雑骨折は時間をかければ治すことは出来ますが、もう魔法を使うことは出来ないでしょう...」

「なっ!魔力回路を破壊ですか...」

先生方は、まさかそこまで酷い状態だったとは知らず驚いてしまう。

「何があったかは知りませんが、応急処置はしますので、治癒院に報告をして運びましょう。ここでは、応急処置が精一杯です」

その後、ウッドストック兄弟は、治癒院から派遣された人々によって運び出されて治癒院へと向かう。





「何!サファリとニードルが治癒院に運ばれただと!」

「はい!重傷をおっているそうです」

学園からウッドストック侯爵の下に知らせがきて、ウッドストック侯爵は驚きの声を上げる。

「今すぐ治癒院へ向かう!馬車を用意しろ」

「は、はい!畏まりました」

執事は、慌てて馬車の用意をしてウッドストック侯爵と共に治癒院へと向かうのだ。

それから、治癒院へと着いた侯爵は、すぐに馬車を降り、走ってウッドストック兄弟の下へと向かう。

「これは...先生、二人は治るんだろうな?」

全身包帯でぐるぐる巻きにされているウッドストック兄弟を見たウッドストック侯爵は、治癒院の先生に問い詰めるように尋ねる。

「も、申し訳ございませんが、魔力回路の修復は不可能です!全身の複雑骨折の完治にも時間がかかるでしょう...」

ウッドストック侯爵は、それを聞いた瞬間、顔を真っ赤にして額に血管を浮き立たせる。

「クソ!どこのどいつか知らんが!許さんぞ!今すぐ誰が二人をこのようにしたか調べ上げろ!いいな!」

「は、はい!畏まりましたぁぁぁ」

執事は、直ぐ様治癒院を出ていき、ウッドストック兄弟をこのようにした者の行方を調べに行くのだった。
しおりを挟む
感想 2,129

あなたにおすすめの小説

14歳までレベル1..なので1ルークなんて言われていました。だけど何でかスキルが自由に得られるので製作系スキルで楽して暮らしたいと思います

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕はルーク 普通の人は15歳までに3~5レベルになるはずなのに僕は14歳で1のまま、なので村の同い年のジグとザグにはいじめられてました。 だけど15歳の恩恵の儀で自分のスキルカードを得て人生が一転していきました。 洗濯しか取り柄のなかった僕が何とか楽して暮らしていきます。 ------ この子のおかげで作家デビューできました ありがとうルーク、いつか日の目を見れればいいのですが

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

魔力∞を魔力0と勘違いされて追放されました

紗南
ファンタジー
異世界に神の加護をもらって転生した。5歳で前世の記憶を取り戻して洗礼をしたら魔力が∞と記載されてた。異世界にはない記号のためか魔力0と判断され公爵家を追放される。 国2つ跨いだところで冒険者登録して成り上がっていくお話です 更新は1週間に1度くらいのペースになります。 何度か確認はしてますが誤字脱字があるかと思います。 自己満足作品ですので技量は全くありません。その辺り覚悟してお読みくださいm(*_ _)m

子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。 『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。 魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。 しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も… そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。 しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。 …はたして主人公の運命やいかに…

スキルが農業と豊穣だったので追放されました~辺境伯令嬢はおひとり様を満喫しています~

白雪の雫
ファンタジー
「アールマティ、当主の名において穀潰しのお前を追放する!」 マッスル王国のストロング辺境伯家は【軍神】【武神】【戦神】【剣聖】【剣豪】といった戦闘に関するスキルを神より授かるからなのか、代々優れた軍人・武人を輩出してきた家柄だ。 そんな家に産まれたからなのか、ストロング家の者は【力こそ正義】と言わんばかりに見事なまでに脳筋思考の持ち主だった。 だが、この世には例外というものがある。 ストロング家の次女であるアールマティだ。 実はアールマティ、日本人として生きていた前世の記憶を持っているのだが、その事を話せば病院に送られてしまうという恐怖があるからなのか誰にも打ち明けていない。 そんなアールマティが授かったスキルは【農業】と【豊穣】 戦いに役に立たないスキルという事で、アールマティは父からストロング家追放を宣告されたのだ。 「仰せのままに」 父の言葉に頭を下げた後、屋敷を出て行こうとしているアールマティを母と兄弟姉妹、そして家令と使用人達までもが嘲笑いながら罵っている。 「食糧と食料って人間の生命活動に置いて一番大事なことなのに・・・」 脳筋に何を言っても無駄だと子供の頃から悟っていたアールマティは他国へと亡命する。 アールマティが森の奥でおひとり様を満喫している頃 ストロング領は大飢饉となっていた。 農業系のゲームをやっていた時に思い付いた話です。 主人公のスキルはゲームがベースになっているので、作物が実るのに時間を要しないし、追放された後は現代的な暮らしをしているという実にご都合主義です。 短い話という理由で色々深く考えた話ではないからツッコミどころ満載です。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)

いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。 全く親父の奴!勝手に消えやがって! 親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。 俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。 母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。 なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな? なら、出ていくよ! 俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ! これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。 カクヨム様にて先行掲載中です。 不定期更新です。

今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので

sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。 早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。 なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。 ※魔法と剣の世界です。 ※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。