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第8章 復学生活の始まり

第320話 イスラスの横暴さと末路!

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「アレク、いつまでそいつを抱えているつもりだ。離してやれ」

職員室の奥にある部屋へと案内されたアレク。

「あ!そうでしたね」

わざとお尻を下にして下ろす。するとイスラスは、お尻が床についた瞬間、激痛で悲鳴をあげるのだ。

「アレク、わざとだな。で、何があったか説明しなさい」

ギルバートは、ヤレヤレといった様子でアレクを見るのだ。
それからアレクは、正門で起こった出来事を一部始終話すのである。

「イスラスだったな?今アレクが話したことは事実なのか?」

ギルバートは、お尻を押さえて這いつくばっているイスラスへと質問する。

「そうだ!俺はダルトワ伯爵家嫡男だ!有象無象を蹴散らして何が悪いっていうんだ!それよりも、そいつを絶対に許さないからな!」

それを聞いたギルバートは、また厄介なのに捕まったなとアレクのことを同情するのだ。

「まずは、学園での武力行使は禁止だ!それに、先生に対してなんて言い方をしてるんだ!それで、アレクを許さないという話だが、それも踏まえて今すぐに父親を呼ぶがいいか?」

「構わない!俺様に盾突いたんだ。父上が来てどうなるか楽しみだな!それに、先生だからって平民が偉そうにするなよ!お前も父上に言って学園にいれなくしてやるからな」

この時、アレクもギルバートも、世の中には本当にどうしようもない人間がいるんだなと痛感するのだ。

「はぁぁ、まぁ今はいい!二人共、待ってなさい!今すぐにイスラスの父親を呼んでくるからな」

そう言って、先生は部屋を出ていく。

「もうすぐお前は終わりだ!この報いきっちり受けてもらうから覚悟しとけよ!アハハハハハ。痛てぇぇぇ」

笑った所為で、お尻に激痛が走ったイスラスは、悶絶するのだ。

「まぁ、とりあえず好きに言ってなよ。じきに、君の愚かさを痛感することになるからさ」

アレクは、どうせ痛みで聞いていないだろうと、ボソッと聞こえるか聞こえないかくらいの声で言うのだった。





それから暫くして、ギルバートとイスラスと同じような目をした金髪の男性が入ってくる。

「父上!こいつが俺の尻を叩いたんだ!報いを受けさせてよ」

イスラスは、すぐに父親の下に行き泣きつくような姿勢を見せる。

「そうか!わかった...というと思うかぁぁぁ!この馬鹿者がぁぁぁ」

イスラスの父親は、アレクをジッと見た後、イスラスに向かって暴言を吐いた後に頬を平手打ちするのだ。

「痛ぃぃぃ~父上何をするのですか?」

イスラスは、何故殴られたのか分からず痛む頬を押さえて涙目で父親を見る。そんなイスラスを無視して座っているアレクの下に行くダルトワ伯爵。

「私は、トマス・フォン・ダルトワと申します。この度は、馬鹿息子がご迷惑をお掛けして申し訳ございませんでした。あとできっちり教育をしますので、どうか今回だけは見過ごして頂けないでしょうか?」

最終的には、土下座をして懇願するダルトワ伯爵。

「父上、どういうことですか?なんで、そんなやつに頭を下げて...痛ぃぃぃ」

「この大馬鹿者がぁぁぁ!この方は、アレク・フォン・タカハシ辺境伯様だ!誰に盾突いたかわかっているのかぁぁ!それに、あれ程、人様に迷惑をかけるなと言っただろう。何故聞けないんだ」

怒鳴りながら次は頭にゲンコツを食らわせるダルトワ伯爵。

「え?辺境伯...様?」

「そうだ!若干13歳にして、多大なる功績を上げてご当主になられたタカハシ辺境伯様だ!そんなとこにいないで、すぐ謝らんか!」

流石に、馬鹿なイスラスでも理解したのだろう。直ぐ様、アレクの前へ行き土下座をするのだ。

「申し訳ございませんでしたぁぁぁぁ」

「許さないよ!反省する気が全くないだろ?今年入学だよね?先生、退学処分とかにできますか?」

アレクは、ギルバートにウインクして合図を送るのだ。ギルバートも、それを見ていたダルトワ伯爵も、何となく理解したのだろう。ウインクして返してくるのだ。

「今回は、従者には恐喝罪とアレクを殴ろうとしたとして傷害罪が適用されるな。それを、先導指揮したイスラスにも同等の罪が問われるだろう。よって退学は免れないな」

それを聞いたイスラスは、人生が終わったような絶望的な顔をするのだ。

「では、あの従者を不敬罪で死罪に!イスラスは退学ってことでお願いします」

「わかった!すぐに詰め所にいる兵士を呼んで、その兵士を捕縛するように伝える。そして、イスラスは退学...」

退学と言ったところで、ダルトワ伯爵が割って入ってくるのだ。

「割って入り申し訳ございません!タカハシ辺境伯様!息子の退学だけはどうかお許し願えませんか?」

「父上!」

イスラスは、希望が見えたのか?表情が少し明るくなる。

「停学にして頂きましたら、この1年間外出禁止にして家庭教師と見張り役を雇い、性根を叩き直させて頂きます。ですから、どうか退学だけはお許し下さい」

ダルトワは、土下座の前に、少し顔を上げてウインクするのだ。

「わかりました。2年間にして頂けるなら停学で構いませんよ。在学中に二度とその顔を見たくないので!どうでしょうか?」

「はい!2年間、外出禁止にしてまともな人間になるように教育致します。それと、ダルに関しては、死罪ではなく鉱山送りにして頂けないでしょうか?」

希望から一転して絶望へと変わるイスラス。
今になって、自分が冒した事の重大さに気付くのだ。

「鉱山送りで構いませんよ。陛下が人手に困っているような話を以前していましたので。イスラス、そんな顔してるけど君も鉱山の方がよかったかな?今からでも...」

「申し訳ございませんでした。辺境伯様ぁぁぁぁ!どうか鉱山だけは...お許し下さい」

イスラスは、大泣きしながらアレクにせがむように許しを乞うのである。

「先生、反省しているみたいだし、停学処分にして下さい」

「じゃあ、そのように手続きをしよう」

「イスラス、帰るぞ!今日から外出禁止だから覚悟しとくように!では、タカハシ辺境伯様、今回は大変失礼致しました。私は、この馬鹿息子を連れて帰らせて頂きます」

そう言って、イスラスを引きずるような形で部屋を出ていくのである。イスラスは、引きずられながら、「申し訳ございませんでした。お許し下さい」などと言って謝っていたが、無視されて、そのまま連れて行かれるのであった。
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