上 下
203 / 756
第7章 新たな出会いと仲間

第318話 陛下完全回復と思わぬ副作用に陛下が大変なことに!

しおりを挟む
「もうすでに、陛下の体調不良の原因はわかっています。今からお話することは、バトラーさんを信用してのことです。本来であれば誓約書を書いてもらう事柄ですから。信用していいですよね?」

陛下の娘であるエリーゼを治した時に、陛下とアントンには力があることが知られているので平気だが、バトラーは何も知らないのだ。

「バトラー、秘密を守ることが出来ないのであれば、今すぐ退出しなさい」

「いえ!大丈夫です!墓場まで持っていく覚悟は出来ています」

バトラーは、13歳にしてこの強さがあるアレクの秘密を知りたいと密かに思っていたのだ。その一部でも見ることが出来るなら、この機会を無駄には出来ないと考えたのである。

「アレクよ。早く余を治してくれ」

「陛下!お目覚めになられたのですか?」

「こう騒がれては、おちおち寝ておれぬわ」

陛下は、いつものような話し方をしているが、声に覇気がない。

「申し訳ございません!陛下」

アントンとバトラーは、頭を下げて謝るのだ。

「よいよい!それよりも、早く治してくれ」

陛下は、寝ながら片腕を上げて腕を振りながら、騒いだことなどより治療を進めるように急かす。

「陛下!ただの心労ですので、すぐ良くなりますよ。薬を作りますので暫くお待ち下さい」

「全知全能薬学」

アレクは、心労についての薬を探す。そして、副作用の無いものを探そうと上から順に見ていくのだ。暫くすると、即効性がある薬を見つけるのだが、ある副作用に目がいく。だが、陛下も世継ぎはいっぱいいた方がいいだろうと考えたアレクは、まぁいいかと選ぶのだ。

「薬素材創造(ex)  」

キラー・ビーの蜂蜜とオークジェネラルの睾丸と金剛スッポンの生き血を器に出す。

「調合(ex) 」

キラー・ビーの蜂蜜とオークジェネラルの睾丸と金剛スッポンの生き血は、調合(ex)によって一瞬にして液体へと変わるのだ。

「陛下、不味いかも知れませんが、飲めばすぐに元気になりますから、残さず飲み干して下さい」

アレクは、完成した心労に効くポーションを陛下の下に持っていくのだ。
アレクの後ろで、一部始終見ていたバトラーとアントンは、スキルの凄さに驚くのと同時に使われた素材の生々しさに顔を顰めるのであった。

「二人共、そんな不気味な物が入っておるのか?アレクよ、本当に飲んで平気なのか?」

二人の嫌そうな顔を見た陛下は、思わず躊躇ってしまうのだ。

「毒ではないので安心して下さい。副作用はありますが...陛下なら平気だと思います」

「副作用とな?うむ!その様子なら今は聞かない方が良さそうであるな。あとで聞くとしよう」

そう言って、陛下はポーションを一気に飲み干すのだ。しかし、あまりにも不味かったのだろうか?飲み干した瞬間、咳き込んでしまうのだ。

「ゲホゲホ...これは酷いぞ。アレクでなければ、罪に問うところであったわ。だが、なんだ?この昔に戻ったような体の軽さは...」

陛下は、すぐに立ち上がり、ジャンプをしたり体を大きく捻ったりするのだ。

「陛下!急に動いて平気なのですか?」

アントンが、普段しないような陛下の動きに驚きながら尋ねる。

「気持ちいいくらい体が軽いのでな。今の余ならなんでも出来そうである。アントン心配するでない!して、副作用とはなんなのだ?答えよ、アレク」

ズイッとアレクに近付き、威圧するようにアレクに尋ねる。

「・・・・・」

アレクは、目を泳がせて沈黙する。すると、陛下は顔を更にアレクへ近付けて威圧するのだ。

「言わぬかぁぁぁぁぁ」

「性欲が10倍...」

聞こえるか聞こえないかくらいの声で、ボソッと言うのだ。

「ア~レ~ク~!ハッキリ言わぬか!」

「あぁぁぁ!性欲が10倍になるんです!副作用はない方がいいと思ったのですが、世継ぎがいっぱい出来るのは悪くないかなと思って...」

「はぁぁぁ!アレクよ!10倍とな!余を殺す気か?」

もっと酷い副作用かと思いきや性欲というワードに、思わずため息を吐く陛下。そして、10倍に対しては、どんな現象になるか想像しただけで恐ろしくなるのだ。

「ごめんなさ~い!」

アレクは、陛下の威圧に耐えきれなくなり、謝るのだ。

「フフッフッハハハ、陛下申し訳ございません。もう耐えきれません!性欲、性欲10倍とは...今すぐに夫人達を集めて参ります」

アントンは、我慢出来ずに大笑いしだすのだ。バトラーも、我慢してはいるが今にも吹き出しそうになっている。

「アントンやめぬか!余を殺す気か!余の年齢を考えぬか」

「陛下!回復薬は置いていきますので、失礼します。転移」

「待たぬか!アレク!」

アレクは、逃げるしかないと思い回復薬を大量に置いて、自分の屋敷に転移するのだった。
しおりを挟む
感想 2,129

あなたにおすすめの小説

投獄された聖女は祈るのをやめ、自由を満喫している。

七辻ゆゆ
ファンタジー
「偽聖女リーリエ、おまえとの婚約を破棄する。衛兵、偽聖女を地下牢に入れよ!」  リーリエは喜んだ。 「じゆ……、じゆう……自由だわ……!」  もう教会で一日中祈り続けなくてもいいのだ。

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

のほほん異世界暮らし

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。 それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

ぬいぐるみばかり作っていたら実家を追い出された件〜だけど作ったぬいぐるみが意志を持ったので何も不自由してません〜

望月かれん
ファンタジー
 中流貴族シーラ・カロンは、ある日勘当された。理由はぬいぐるみ作りしかしないから。 戸惑いながらも少量の荷物と作りかけのぬいぐるみ1つを持って家を出たシーラは1番近い町を目指すが、その日のうちに辿り着けず野宿をすることに。 暇だったので、ぬいぐるみを完成させようと意気込み、ついに夜更けに完成させる。  疲れから眠りこけていると聞き慣れない低い声。 なんと、ぬいぐるみが喋っていた。 しかもぬいぐるみには帰りたい場所があるようで……。     天真爛漫娘✕ワケアリぬいぐるみのドタバタ冒険ファンタジー。  ※この作品は小説家になろう・ノベルアップ+にも掲載しています。

異世界のんびりワークライフ ~生産チートを貰ったので好き勝手生きることにします~

樋川カイト
ファンタジー
友人の借金を押し付けられて馬車馬のように働いていた青年、三上彰。 無理がたたって過労死してしまった彼は、神を自称する男から自分の不幸の理由を知らされる。 そのお詫びにとチートスキルとともに異世界へと転生させられた彰は、そこで出会った人々と交流しながら日々を過ごすこととなる。 そんな彼に訪れるのは平和な未来か、はたまた更なる困難か。 色々と吹っ切れてしまった彼にとってその全てはただ人生の彩りになる、のかも知れない……。 ※この作品はカクヨム様でも掲載しています。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。