上 下
193 / 756
第7章 新たな出会いと仲間

第308話 メルビンとニーナのお見合い前編!

しおりを挟む
アレクは、忙しい日々を過ごしていた。自分が言ったことなのでやらねばならないことなのだが、お見合いのセッティングとはこうも大変だとは思ってもみなかったのだ。

「ファビロ、疲れたぁぁぁ。これで明日のお見合いは成功するかな?」

執務室の椅子に腰掛けながら背伸びをして話し始めるアレク。

「どうでしょうか?場所や雰囲気などはいいと思いますが、あとは両名の心次第ですからね。これについては何とも...」

「そうだよね~うまくいけばいいんだけどな」

どれだけ前準備をしたとしても、最終的には二人次第なのである。

「我々ができることは、ここまでですよ。それより美味しい茶葉を入手したのですが、いかがですか?」

「ん?偶には、紅茶もいいね。頼むよ」

こうしてアレクは、明日に備えて優雅なひと時を過ごすのであった。





時間があっという間に進み、お見合いの時間まであと少しというところまできていた。
今は二人を迎えに行く為、まずはメルビンの屋敷に転移してきたところである。

「メルビン殿、準備はできていますか?」

「タカハシ辺境伯様!大丈夫です!いつでもいけます」

キチッとした正装に身を包んだメルビンが姿を現す。しかし、顔は緊張でガチガチになっているのだ。

「メルビン殿、本当に大丈夫ですか?ゴーレムのように固まっていますけど...」

「ブッハハハ、タカハシ辺境伯、そうなのですよ。息子ときたら数日前から緊張しっぱなしでしてね。こんな様子で大丈夫でしょうか?」

オドヘートが、横から笑いながら話しかけてくる。

「うまく話がまとまればいいですが、そもそも相性が合わなければ意味がありませんから、お互い話し合ってみるまではなんとも言えませんね」

「そうですね。こればかりは、メルビンと相手の女性次第になりますからな。それと、このような場を設けて頂きありがとうございます」

オドヘートも、お見合いの意味を理解してくれているのと、アレクに対して今回のお見合いのお礼をしっかりと伝えるのである。

「いえいえ、俺が言い始めたことですから。それより、メルビン殿そろそろ行きましょうか?」

「あ!はい!わかりましたぁぁぁ」

どうやら緊張は、一切解けていないようである。アレクとオドヘートは、それを見て苦笑いを浮かべるのであった。

それから、会場にメルビンを転移させて待ってもらっている間に、ニーナを迎えに行くアレク。

「ニーナさ~ん、迎えにきましたよ」

先持ってニーナの家を聞いていたアレクは、転移で迎えにきたのだ。

「は~い!今行きま~す」

暫く待っていると、いつもとは違い化粧をしてドレスに身を包んだニーナが姿を現す。化粧もドレスの手配も全てアレクが行い、プロに任せたのだ。

「うわぁ~ニーナさん綺麗ですよ!驚きました!」

そう言われたニーナは、顔を赤くさせて喜んだ表情をする。

「私が、このような高級な物を着られる日がくるとは思ってもいませんでした。アレク様、本当にありがとうございます」

「ニーナさん、まだ始まってもいないのにお礼を言わないで下さいよ~。これからですよ。これから」

ドレスや化粧に満足する気持ちもわかるのだが、本題はお見合いであるので、是非成功させてもらいたいと思うアレク。

「あ!そうでしたね!これからでしたね。はぁぁ...そう思うと緊張してきました」

ニーナは、緊張でアワアワしだすのであった。

「ニーナさん、相手のメルビンさんがお待ちなので、そろそろ向かいましょうか?」

「は、はい!」

そして、転移でメルビンが待つ会場へと向かうのである。
会場は、以前アレクとヘルミーナが結婚式を挙げた場所を貸し切りにして、そこにある広場で行われるのだ。ちなみに、この結婚式会場は人気であり、貴族や平民問わず、この場所で結婚式を挙げる人が多数いるのである。

「え?もう着いたのですか?ってなんですか!ここは!!」

ニーナが、見たものは大きな白を基調にした建物と、周りには花がいっぱいに植えられており、凄く綺麗な場所なのである。

「ここが、今回お見合いする場所です。この先の広場でメルビンさんが待っていますので行きましょう」

「え?えぇぇぇぇ~」

驚きのあまり声を上げるニーナを無視するかのようにアレクは、メルビンの待つ広場に歩みを進める。
ニーナは、てっきり屋敷かどこかのお店でやるくらいだと思っていたので一気に緊張してしまうのであった。

「メルビン殿~お待たせ致しました」

オープンテラスのような場所で椅子に腰掛けるメルビンに声をかけるアレク。メルビンは、その声を聞いて振り返るのだ。

「アレク辺境...え?この方が!なんて美しい人なんだ...」

アレクの横にいたニーナを見たメルビンは、ボソッと口にする。完全に一目惚れをしてしまったのである。
しおりを挟む
感想 2,129

あなたにおすすめの小説

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

スキルが農業と豊穣だったので追放されました~辺境伯令嬢はおひとり様を満喫しています~

白雪の雫
ファンタジー
「アールマティ、当主の名において穀潰しのお前を追放する!」 マッスル王国のストロング辺境伯家は【軍神】【武神】【戦神】【剣聖】【剣豪】といった戦闘に関するスキルを神より授かるからなのか、代々優れた軍人・武人を輩出してきた家柄だ。 そんな家に産まれたからなのか、ストロング家の者は【力こそ正義】と言わんばかりに見事なまでに脳筋思考の持ち主だった。 だが、この世には例外というものがある。 ストロング家の次女であるアールマティだ。 実はアールマティ、日本人として生きていた前世の記憶を持っているのだが、その事を話せば病院に送られてしまうという恐怖があるからなのか誰にも打ち明けていない。 そんなアールマティが授かったスキルは【農業】と【豊穣】 戦いに役に立たないスキルという事で、アールマティは父からストロング家追放を宣告されたのだ。 「仰せのままに」 父の言葉に頭を下げた後、屋敷を出て行こうとしているアールマティを母と兄弟姉妹、そして家令と使用人達までもが嘲笑いながら罵っている。 「食糧と食料って人間の生命活動に置いて一番大事なことなのに・・・」 脳筋に何を言っても無駄だと子供の頃から悟っていたアールマティは他国へと亡命する。 アールマティが森の奥でおひとり様を満喫している頃 ストロング領は大飢饉となっていた。 農業系のゲームをやっていた時に思い付いた話です。 主人公のスキルはゲームがベースになっているので、作物が実るのに時間を要しないし、追放された後は現代的な暮らしをしているという実にご都合主義です。 短い話という理由で色々深く考えた話ではないからツッコミどころ満載です。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】  最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。  戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。  目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。  ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!  彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中

魔力∞を魔力0と勘違いされて追放されました

紗南
ファンタジー
異世界に神の加護をもらって転生した。5歳で前世の記憶を取り戻して洗礼をしたら魔力が∞と記載されてた。異世界にはない記号のためか魔力0と判断され公爵家を追放される。 国2つ跨いだところで冒険者登録して成り上がっていくお話です 更新は1週間に1度くらいのペースになります。 何度か確認はしてますが誤字脱字があるかと思います。 自己満足作品ですので技量は全くありません。その辺り覚悟してお読みくださいm(*_ _)m

魔力無しだと追放されたので、今後一切かかわりたくありません。魔力回復薬が欲しい?知りませんけど

富士とまと
ファンタジー
一緒に異世界に召喚された従妹は魔力が高く、私は魔力がゼロだそうだ。 「私は聖女になるかも、姉さんバイバイ」とイケメンを侍らせた従妹に手を振られ、私は王都を追放された。 魔力はないけれど、霊感は日本にいたころから強かったんだよね。そのおかげで「英霊」だとか「精霊」だとかに盲愛されています。 ――いや、あの、精霊の指輪とかいらないんですけど、は、外れない?! ――ってか、イケメン幽霊が号泣って、私が悪いの? 私を追放した王都の人たちが困っている?従妹が大変な目にあってる?魔力ゼロを低級民と馬鹿にしてきた人たちが助けを求めているようですが……。 今更、魔力ゼロの人間にしか作れない特級魔力回復薬が欲しいとか言われてもね、こちらはあなたたちから何も欲しいわけじゃないのですけど。 重複投稿ですが、改稿してます

子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。 『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。 魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。 しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も… そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。 しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。 …はたして主人公の運命やいかに…

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。