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第7章 新たな出会いと仲間

第306話 ニーナ最強説!アレクにダメージ?

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アレクは、久々にストレン領のギルドを訪れていた。

「英雄アレク様が来たぞ~」

「本当だぁぁぁぁ!アレク様~」

「誰だよ?あの坊主...っておい!なにするんだ!やめろ~」

ギルドに行くなり、いきなりの大歓迎を受けるアレク。そして、他領から来たのか?アレクのことを坊主呼ばわりした冒険者は、一瞬にして簀巻きにされて引きずられて行くのであった。

「なんの騒ぎだ!ってアレク様ではないですか!待っていましたよ!さぁさぁ、こちらへ来て下さい」

ゴルドンが、騒ぎを聞きつけて2階の部屋から出てくると、アレクを見つけて招き入れるのだ。狙いは、毛生え薬である。アレクが、来なくなって毛生え薬が底をついてしまい、今やギルマスではなくハゲマスになってしまったのだ。

「今日は、ニーナさんに用があってきたので、ニーナさんを呼んでくれませんか?」

「まぁまぁ、そんなこと言わずにニーナはじきに来ますから、まずは私の話を聞いて下さいよ」

2階から、飛び降りてきてアレクの背中を押しながら2階の応接室に招き入れるゴルドン。

「もう、ゴルドンさん何の用ですか?」

アレクは、早くニーナに知らせたいのにと面倒くさそうに答える。

「そんな邪険に扱わないで下さいよ~。あのですね!どうか、この通りです!毛生え薬を一生分売って下さい!アレク様~」

ゴルドンは、アレクの足にしがみつきながら訴えかけるのだ。

「一生分ですか?代金は払えるのですか?」

「アレク様~必ず支払いますので、どうか分割でお願い出来ないでしょうかぁぁぁ」

泣きながらしがみついて訴えてくるゴルドンに対してアレクは段々鬱陶しくなってくる。
そこに、救世主のニーナが現れるのだ。

「アレク様が、私をお呼びと...またこのバカハゲマスがご迷惑をお掛けしているのですか?」

ニーナが、入ってくると引き攣った顔のアレクと泣いてしがみつくゴルドンという不可解な現象を目にするのだが、ニーナは一瞬にしてアレクに迷惑をかけていると察するのだ。

「えっと...どうにかなりませんか?」

アレクが、ニーナに対して助けを求める。すると、ニーナが笑顔でゴルドンに近付く。

「お任せ下さい。アレク様!このバカハゲマス!いっぺん死んでこい!」

なんとニーナは、ゴツいゴルドンの残り少ない髪の毛を引っ張りアレクから引き剥がすと、持ち上げて窓から外に放り投げたのだ。

「え?・・・・ニーナさん??」

アレクは、有り得ない事実に思わず、驚きの声を上げるのだ。

「アレク様、どうか致しましたか?」

振り返り笑顔で答えるニーナ。

「いえ...なにもありません!」

アレクは、瞬時にこれ以上何かいらないことを言ってしまったら、大変なことになると察して、首を横に素早く振って否定するのだ。

「フフッ、物分かりが良くて助かります。それで、私にご用とはなんでしょうか?」

「え、えっとですね。縁談の話を持ってきたのですが...」

「縁談ですって!誰ですか?どんな人ですか?身長は?年齢は?仕事は?容姿は?」

アレクが、話しているのを遮るかのように、縁談と聞いた瞬間、詰め寄り質問攻めしてくるのだ。

「ニーナさん、落ち着いて下さい!まずは、座って話をしましょう」

「あら?いけない。そうですね。まずは、座りましょうか。アレク様」

上品に笑いながら、先程の様子はなかったかのようにしようとするニーナに対してアレクは、メルビンに紹介する人がニーナで大丈夫だったのかと思ってしまうのだ。

「ご紹介したい人ですが、ハーライル領の領主であるメルビン・フォン・ペッカラ子爵です」

「貴族様ですか!私が貴族様の妻に...あんな毎日やこんな毎日が...」

貴族と聞いた瞬間、ニーナの妄想タイムが始まり上の空状態になるのだ。

「あの~ニーナさん?ニーナさ~ん!帰って来て下さい」

アレクは、大きな声でニーナを呼ぶのである。その瞬間、ハッとなるニーナ。

「ホホホホ、それでその方は、どのような方なのですか?」

完全になかったかのようにするニーナにアレクは、もうどうでもいいやとなるのである。

「貴族らしくない貴族ですね。身分関係なく良好に接する方です。父親も同じような方ですよ。年齢は、32歳で一度結婚していましたが、事故で妻を亡くしてからは浮ついた話は一切ない方です。容姿は、笑顔が似合う優しい感じの人ですよ」

「32歳...ありです!結婚歴あり...でも浮ついた話がないのは一途で魅力的...優しい感じの人...ありです!それに、身分関係なく接することができる方なんて素晴らしいです」

ニーナは、一人でブツブツと語りだすのだ。アレクは、もう何も言わずに待つことにした。

「アレク様、是非お会いしたいです」

暫く続いたニーナの妄想タイムが終わり、アレクに答えるのだ。

「妄想は、終わりましたか?ニーナさんて意外な一面があったんですね」

「もうアレク様ったら...」

アレクが、そう言った瞬間、肩に凄い衝撃の平手打ちがくるのだ。

「痛ぁぁぁ」

レベル差で痛いはずがないにも関わらず、肩に激痛が走るのだ。その瞬間アレクは、ニーナに恐怖を覚えて、これ以上何も言ってはいけないと思うのだった。

「アレク様、それでご紹介してくれるのですよね?」

「はい!すぐにお会いできるよう手配します」

凄い眼力で見つめてくるニーナに対してアレクは、その言葉しか出ないのであった。
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