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第7章 新たな出会いと仲間

第301話 買い取り&三カ国会談!

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アレクは、金色のギルド証を眺めながら再度解体場に向かっている。

「ギルド証、そんなに気に入りましたか?」

裏表を何度も見ていたアレクに尋ねるヌプカ。

「あっ!はい!格好いいです。気に入りました」

「それはよかったです。失くさないようにして下さいね。再発行の場合、かなりの手数料がかかりますから」

かなりの手数料と聞いて、純金製なのかと思うアレク。

「わかりました。失くさないように魔法鞄に入れておきます」

アレクとヌプカがそのような話をしていると、解体場に着くのだった。

「おう!坊主来たか!出来てるぞ」

解体場に着くとバイロンが、待ってましたと言わんばかりに、すぐ話しかけてくるのだ。

「わぁぁ~凄い綺麗ですね」

プロの手で解体された魔物を初めて見たアレクは素直な感想を言う。

「俺が解体したんだから当たりめぇだ!こいつが肉だ。かなりの量だが、全て持っていくのか?」

「はい!仲間を呼んで食べようかなって思ってます」

アレクは、王国・魔ノ国・大和ノ国の知り合いを呼んでパーティーをしようと考えているのだ。

「そりゃいいな。俺も食いてぇが、仕事は休めねぇからな...残念だ」

バイロンは、一日も休まず解体の仕事を続けているのだ。それを聞いたアレクは、労働基準法とかない異世界は過酷だなと考えるのだった。

「じゃあ、この肉を譲りますので、家族で食べて下さい」

ブロック状になった肉の塊をバイロンにあげると言うのだ。

「おいおい!いいのか?これだけで金貨数枚はするぞ!」

金貨数枚する肉の塊をポンと渡すアレクに対して驚きの表情を見せるバイロン。

「いいですよ。近々ドラゴンを狩りに行こうと思ってまして、その時にお世話になると思いますし...バイロンさんに頼んで綺麗に解体してもらいたいな~なんて」

ドラゴンと聞いたバイロンは、目を輝かせるのだ。

「ドラゴンの解体は任せろ!だが、綺麗な状態で持ってこいよ!それと、こいつをありがとな。嫁も娘も喜ぶはずだ」

「はい!次は綺麗な状態で持ってきます」

「すみません。そろそろ買い取り金をお渡ししたいのですがいいですか?」

アレクとバイロンが、話している間にヌプカは、買い取り金を用意していたのだ。

「ごめんなさい!ついつい話し込んでしまいました」

「いえいえ構いませんよ。こちらが買い取り金になります」

アレクに一枚の硬貨が手渡される。それを見たアレクは驚く。

「こんなに頂いていいのですか?」

なんと手渡されたのは、白金貨だったのだ。日本円で100万円くらいである。

「素材をオークションに出せば高値がつきますからね。元は十分取れます。それだけキングサンダーバードは珍しいのですよ」

「それならよかったです。またいっぱい魔物を持ってきますので、その時はよろしくお願いします」

ヌプカが言っているオークションに、少し興味はあるが、今のところ欲しい物もないのでいつかいけたらなと思うくらいであった。





一方その頃、陛下と魔王と帝国の使者との三カ国会談が行われていた。

「私は、宰相のオルダンと申します。この度は、暴君である皇帝を止めて頂き感謝しております」

まさかの第一声が批難の声ではなく感謝だったのだ。

「ウォルトンよ、なんとおもしろい第一声であるな。まさか感謝されるとはな」

「余も返せと言われると思っておったぞ。して、帝国としては、この先をどう考えておるのだ?」

「帝国としては、1からの再建を望んでおります。属国いや魔ノ国の一部又は王国の一部になることも厭わないと考えております。何卒お力をお貸しください」

オルダンは、今の帝国を存続させることは不可能だと考えているのだ。

「うむ。妾としては、同じ人間の国と考えると王国の一部になることが理想ではあるが、あまりにも距離があり過ぎる。どうしたものか...ウォルトン、よい考えはないか?」

「余としては、王国が支援をし、距離を考えると魔ノ国の一部になることが理想と考えておる。だが、帝国の人間が魔族を受け入れられるかということであろう?」

「その通りである。今更、魔族を受け入れることは無理であろうな...」

陛下と魔王は、頭を悩ませながらどうしたものかと考えるのである。

「いっそうのことアレクを国王にしてはどうだ?」

魔王が、また突拍子もないことを口にするのだ。

「余も、それが一番良いと考えてはおるのだが、アレクとは復学の約束をしてしまっておるからな。それに、卒業後は誰も行きたがらない領地を任せたいのだ」

陛下も陛下で、恐ろしいことを口にするのだ。

「そうであったか...それでは無理であるな。うむ。どうしたものか...」

「本当に申し訳ございません...」

二国の最高責任者を悩ませていることに、オルダンは申し訳なくなるのだ。

「謝るでない。そうであるな。帝国改め、公国として余の弟に任せてみるのはどうであろうか?今まで表には決して出てこんかったが、優秀であるぞ」

「うむ。良いではないか!一度、会わせてくれ。妾も判断したい!オルダン殿、それで良いか?」

「はい!私がとやかく言える立場ではございません。それに、申し訳ございませんがお力をお借りする立場です。反対などあるはずがございません」

こうして、なんとか話はまとまりそうではあったが、その頃ウズベル王の弟は、ブルッと嫌な予感を感じていたのであった。
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