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第6章 帝国の侵略

第285話 やっとご帰還だよ!ドSなオレール様!

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「やっぱりいっぱいあったね。じゃあ、早くオレールのところに戻らないと心配しちゃうよね」

「そうですね。私自身も早く王国に帰りたいですよ」

帝国に来てからというもの、戦闘と可哀想な住民しか見ておらず、王国がなんと恵まれた国なんだと思ってしまう。

「じゃあ、さっさと帰ろう」

そう言って、馬を繋いでヘリオスが運転をして城を後にするのだった。





「この辺りだったはずだけど...」

オレールが待っている場所に着いたのだが、不可視化インビジブルで全く居場所がわからないのである。

「こっちですよ。少し遅かったですが、何かあったのですか?」

もう少し早く調達してくるだろうと思っていたが、一向に帰ってくる気配がなく大丈夫だろうかと少し心配していたのだ。

「あはははは、城に借りに行っていたら遅くなった感じかな」

「夜なのと帝国兵に怯えていてみんな家に閉じこもってしまっていまして、仕方なく城から拝借してきました」

頭を掻きながらあははと笑う二人。

「そうでしたか。お疲れ様です。凄い汗を掻いてますし、よほど楽しんできたようですね」

「まぁね。これで少しは安心して過ごせる国に変わればいいんだけどね」

「それは、帝国次第でしょう。まぁ我々がどうこうできる話ではないですし、あとは陛下に任せましょう」

三人は、帝国の市民が普通に生活できるようになればいいなと思うのであった。

「あ!そうでした。お二人は、回復させておきました」

エクストラポーションを飲ませたお陰で、痩せてはいるが見た目はすっかり元気を取り戻したのだ。

「この度は、私達をお助け頂きありがとうございました。父上も救って頂いたようで、どう感謝をすればよいか...」

ライネルが、頭を下げてお礼を言う。

「私からもお礼を言わせて下さい。ありがとうございます!もう帰ることは出来ないと思っておりました」

オネルヴァに至っては、いつものような男勝りではなく、少し怯えているようであった。

「もう安心していいからね。あとは、帝国を脱出するだけさ。それじゃ、馬車に乗ってくれないかい?」

「はい!わかりました。グゥ~」

オネルヴァが、返事をした瞬間、腹の虫がなるのだった。オネルヴァは、顔を真っ赤にして恥ずかしがる。

「これは、うっかりしていましたね。馬車に乗ったら食べ物を出しますから、好きなだけ食べて下さい」

オレールが、治療するだけではなく、ちゃんと食べる物も与えるべきだったと思うのであった。

「うぅ~お恥ずかしいです。申し訳ございません」

「気にしないで下さい。あのような劣悪な環境なら仕方ありません」

ヘリオスが、フォローする。しかし、顔を真っ赤にして下を向いてしまうオネルヴァ。
その様子を見て三人は、どうしたものかと思うが、ライネルが気を利かせてオネルヴァの手を取って馬車に乗り込むのだった。

「妹が失礼しました」

オネルヴァを乗り込ませたあと、ライネルは降りてきて、先程のことを謝罪する。

「気にしないで下さい。女性ですからね。それより、こちらを食べて下さい」

オレールが魔袋から食べ物を取り出して渡すのだった。

「ありがとうございます。久し振りにまともなものが食べられて嬉しいです。妹と分けて有難なく頂きます」

そう言ってライネルは、足早に馬車に戻るのだった。

「オレール、これからどうやって帰るか決まったかい?」

不可視化インビジブルか?空を飛ぶのか?どうするのかを聞いてくるルーヘン。

「ん?両方使おうかなと思っています。ちょうど、お誂え向きの縄がありましたから。これをこうしてこうと」

「まさか...これは恐ろしいね」

「オレール殿には、逆らわないようにしますよ」

二人が見た光景とは、馬車の外側にロープでくくりつけられた皇帝陛下の姿だった。そして、このあとの様子を想像すると恐ろしくなるのであった。

「じゃあ、行きましょうか。不可視化インビジブル 飛行フライ

姿が消えて、少しずつ上昇していく馬車。意外にも馬は大人しく、皇帝は狙い通りに「うっうっうっ」と恐怖しながら怯えているのだった。

「爽快だね。ヘリオスは平気かい?」

「これは、いいですね。一生に一度味わえたらいい程ですよ」

ヘリオスは、着地した瞬間、馬が暴れ回らないように手綱を引いているのだ。なので、一歩間違えるとそのまま落下してしまうのだが、恐怖など微塵もなく楽しんでいる様子である。

「どれどれ皇帝陛下様は、楽しんでいらっしゃるかな?」

ルーヘンが、馬車の外を覗くと、失禁して気を失っている皇帝がいたのであった。

「どうやら刺激が強かったみたいだね」

「フフッ、まだまだですよ。起こしましょう。水球ウォーターボール

皇帝に向かって水球ウォーターボールをぶつけて起こすオレール。皇帝は、何事かと目をキョロキョロさせたあと下を見てまた発狂する。そして、また失神する。それを目的地に着くまで永遠とオレールは繰り返すのだった。
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