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第6章 帝国の侵略

第278話 宰相とルーヘンの話し合いとセイラン思わず気絶する!

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無事に、マルティル辺境伯は治療の為、安全な部屋へと移されることになった。
そして、アントンがルーヘンとセイランに座るように欲する。指示に従って、二人は座りルーヘンが話し始めるのだった。

「大きく関わったセイランさんにも知っといて貰おうかと連れてきました。宰相様、事実を全て伝えてもよろしいですか?」

セイランは、アレク以外で唯一転移が使えるので、これからも重要なことに関わるだろうと考えたのだ。

「まだ発表していないですが、これまでの貢献度を考えてセイラン殿を子爵にすると陛下が仰っています。それに...」

これからも、重要な任務を任せるとまで伝えたアントン。それを聞いたセイランは、まさかのことに固まってしまうのだ。

「私が・・・・子爵!?・・・・無理無理無理です~」

あり得ないくらいに狼狽えるセイラン。

「無理でも受けてもらいますよ。決定事項ですから。それより、今王国で何が起こっているか話しますので、しっかり聞いて下さいね」

有無を言わせず話を進めていくアントン。王国の貴族が裏切って帝国と内通していたことを話し始める。その中に、マルティル辺境伯もいることを伝えた。

「そ、そんな...私、どうしたらいいのですか?こんな重要なことを知りたくなかったですよぉぉぉ」

狼狽えすぎて、宰相の前で思わず大きな声を出すセイランだった。

「聞いてしまった物は仕方ないよ。君も重要人物の一員になったのだからね。それより、宰相様重要な話があります。お伝えしてよろしいですか?」

ルーヘンは、セイランの肩に手を置いて諦めるように言う。

「そうでしたね。何があったのか教えてはくれませんか?」

暗殺部隊のリーダーが語った。何ヶ月もマルティル辺境伯は幽閉されており、裏切っていたのは、変身した帝国の人間だということと、マルティル辺境伯に変身した人物が、デストロイの強さと帝国の恐ろしさを語り裏切った王国の貴族を扇動していたことと、今回の侵攻に負けた場合、マルティル辺境伯と家族を人質に王国との交渉材料にしようとしていたことを伝えるのだった。

「なんですと!そんなことが...」

「・・・・・・・」

新事実を知り、アントンは酷く驚く。セイランに至っては、キャパオーバーになり頭から湯気が上がるのだった。

「それが、事実であるならすぐに陛下に知らせなくてはいけません。そして、あのマルティル辺境伯が本人かも確かめる必要があります」

新事実が本当であれば、ギンベル子爵、マルコ男爵、ハーバイロ伯爵に対して、無実とはいかないまでも情状酌量の余地があるのか?それとも刑が軽くできるのか?再度話し合わなくてはならないからだ。それと、もしかすると、今床にふせているマルティル辺境伯が偽物の可能性もあるわけで、確かめる必要が出てきたのだ。

「私としては、帝国に赴き、マルティル辺境伯様の家族をいち早く救い出したいです。真実であればこうしている間も...」

ルーヘンは、話に聞いている皇帝であれば、何を仕出かすかわかったものではないと感じて早急に手を打つべきだと進言する。

「先に話しておきましょう...」

3日後に、ルーヘンにも帝国を落とす一員として召集がかかっている話をするアントン。

「え?三人で皇帝を捕まえに行くのですか?無茶では...」

「文句があるならタカハシ伯爵に言いなさい。全てタカハシ伯爵が決めたことです」

アントンは、アレクに擦り付けるのだった。酷い宰相様である。しかし、ルーヘンは一切恨む様子はない。

「タカハシ伯爵様が決めたことなら従わざるを得ませんね。あの方には、頭が上がりませんし、王国を救った英雄なのですから」

ルーヘンは、アレクを尊敬しているのだ。アレクの働きを知っている以上、文句を言うことは出来ないと思っているのだ。

「いつの間にか、タカハシ伯爵は大きな存在になっていると言うわけですね」

「そうですね。あそこまでやられてしまうと文句は言えませんよ。わかりました。どうにか三人で皇帝を捕縛又は殺害してきます」

ルーヘンは今回の任務、失敗できないなと感じて気合いを入れるのであった。

「それはそうと、セイラン殿を部屋に連れて行った方が良さそうですね。あまりのことに座ったまま気絶していますので」

アントンが、笑いながら話す。

「わかりました。私がセイランさんを部屋まで連れていきますよ」

話が一段落ついたので、ルーヘンがセイランを背負って部屋まで連れて行くのであった。
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