上 下
157 / 732
第6章 帝国の侵略

第272話 この薬、最強過ぎて禁止令発動!

しおりを挟む
「急に、危ないじゃないですか!」

アレクは、なんなく躱して蹴りを入れる。デストロイも腕でガードをし、お互いがお互いの攻撃の威力で少し吹き飛び後退する。

「俺達のことも忘れられちゃあ困るぞ」

間髪入れずに大剣で斬りつけるノックス。デストロイは、咄嗟にハルバートでガードするが、あっさりハルバートは折れて胸から腹にかけて鎧がざっくり斬られる。

「これで終わりです」

強化薬と更に魔装甲と付与魔法で強化した剣で斬りつけるパスクが斬りかかる。

「くっ...」

怒涛の攻撃にどうすることもできなくなったデストロイは、破壊された胸部分を避けるように躱すのが精一杯で、パスクの攻撃によって腕が切断されてしまう。

「あれを避けますか!しかし、その腕ではどうしようもありませんよ」

あれだけ手こずっていた相手をあっさり圧倒する三人にオレール達は開いた口が塞がらないのであった。

「クソ、強いな!予想以上いや予想外だ!だが、楽しい!フンッ」

フンッと力を入れると血が吹き出していた箇所が止血される。なんと、腕の筋肉で無理矢理血を止めたのだ。

「いくぞ!」

デストロイは、何もなかったかのように残った右手にハルバートを握り締め、また突っ込んでくるのだ。しかも、先程より更に早くである。

「どっちが強いか試そうか!」

しかし、ノックスがすぐさま反応して大剣で応戦する。お互い目には見えないスピードで、ハルバートと大剣をぶつけ合っているのだ。

「楽しんでいるところをすいませんが、早く終わらせて頂きます」

普段なら横槍は、絶対しないパスクだが、狂化強靭薬の影響で少しhighになっているのだ。

「ぐはぁっ...」

パスクは、寸分違わず右腕を狙い、またもや斬り落とすのだった。

「おい!俺とこいつの...」

「二人ともどいて下さい。加具土命カグツチ

「ワシを忘れとるじゃろ?黒放電之宴改ニューブラックスパークフェスティバル

アレクも、気にすることなく、最大魔法をぶち込む。マンテ爺も、最近の留守番の鬱憤を晴らすかのような一撃を食らわせる。そしてノックスとパスクは、瞬時に飛び退いて避けるが、両腕を失ったデストロイは、まともに食らう。しかも、強化された加具土命カグツチ黒放電之宴改ニューブラックスパークフェスティバルは、思った以上の威力でアレク達も余波が襲い飲み込まれるのだった。

「おい!アレク坊とマンテ爺、俺達を殺す気か!」

「アレク様、マンテ爺やり過ぎです」

辺りを見渡すと木々はなくなり何もない場所に変わり果てていたのだ。

「あっ!はははは...これは予想外でした」

「すまんかったわい!こりゃ、驚きの威力じゃ...」

「ハァハァハァ...アレクくん、死ぬかと思いましたよ...」

オレールは、咄嗟に最大魔力で結界を張って4人を救ったのだ。

「ごめんなさい...」

「悪かったのぅ...」

「この薬は、当分禁止だな。俺もだが、強くなりすぎて自分に酔ってしまう」

最大の成長時期まで引き上げて、更に潜在能力を引き出す薬は魅力的ではあるが、制御が難しいようだ。

「僕もそう思います。アレク様禁止です。それより、デストロイはどうなったのですか?」

みんなが辺りを見渡すがいないのである。

「あの攻撃を食らったんだ。完全に消滅したんじゃないか?」

「勝手に殺すんじゃ...ねぇよ...」

なんとデストロイは、埋もれていた砂から這い出てきて立ち上がっているのである。
それを見た三人とマンテ爺は、一斉に戦闘態勢を取る。

「まさかあの攻撃でも死なないとは...」

オレールが、驚愕の表情を浮かべる。

「俺の負けだ。殺せ」

立ちはしているが、もうフラフラな状態で何も出来ないデストロイは、降参するから殺せと言ってくるのだ。

「殺しはしません。捕虜として王国に連れて行きます!」

アレクが、そう言うとデストロイは、疲れ切ったのか、「好きにしろ」と言って後ろに倒れるのであった。

「はぁ~終わったぁぁぁ。ぐぁぁぁぁ!痛ぇぇぇぇ~」

アレクが、終わったと叫んだ瞬間、三人とも全身複雑骨折になって激痛が襲うのだ。しかし、オレール達と同じで腕輪のお陰ですぐに治るのであった。

「あぁ~死ぬかと思った...」

「これが無きゃ最高の薬なんだがな」

「もう副作用は嫌です~」

アレク・ノックス・パスクの順に悲痛な思いで叫ぶが、パスクは足裏痒い事件から本当に副作用に対して拒絶反応を示しているようだ。

「ジキタリスさん、先に王城に戻って知らせてきて下さい」

「わかりました。にしてもこんなあっさりと...あとタカハシ伯爵様の容姿についても報告しておきます」

「あ!そうだった!1日このままなの忘れていましたよ!」

アレクは、これから1日成人した姿で過ごすことになるのだ。ジキタリスは、分身体を解いて王城に報告に向かうのであった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

攫われた転生王子は下町でスローライフを満喫中!?

伽羅
ファンタジー
 転生したのに、どうやら捨てられたらしい。しかも気がついたら籠に入れられ川に流されている。  このままじゃ死んじゃう!っと思ったら運良く拾われて下町でスローライフを満喫中。  自分が王子と知らないまま、色々ともの作りをしながら新しい人生を楽しく生きている…。 そんな主人公や王宮を取り巻く不穏な空気とは…。 このまま下町でスローライフを送れるのか?

異世界で生き残る方法は?

ブラックベリィ
ファンタジー
第11回ファンタジー大賞が9月30日で終わりました。 投票してくれた方々、ありがとうございました。 200人乗りの飛行機で、俺達は異世界に突入してしまった。 ただし、直前にツアー客が団体様でキャンセルしたんで、乗客乗務員合わせて30名弱の終わらない異世界旅行の始まり………。 いや、これが永遠(天寿を全うするまで?)のサバイバルの始まり? ちょっと暑さにやられて、恋愛モノを書くだけの余裕がないので………でも、何か書きたい。 と、いうコトで、ご都合主義満載の無茶苦茶ファンタジーです。 ところどころ迷走すると思いますが、ご容赦下さい。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から「破壊神」と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

授かったスキルが【草】だったので家を勘当されたから悲しくてスキルに不満をぶつけたら国に恐怖が訪れて草

ラララキヲ
ファンタジー
(※[両性向け]と言いたい...)  10歳のグランは家族の見守る中でスキル鑑定を行った。グランのスキルは【草】。草一本だけを生やすスキルに親は失望しグランの為だと言ってグランを捨てた。  親を恨んだグランはどこにもぶつける事の出来ない気持ちを全て自分のスキルにぶつけた。  同時刻、グランを捨てた家族の居る王都では『謎の笑い声』が響き渡った。その笑い声に人々は恐怖し、グランを捨てた家族は……── ※確認していないので二番煎じだったらごめんなさい。急に思いついたので書きました! ※「妻」に対する暴言があります。嫌な方は御注意下さい※ ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇なろうにも上げています。

平民として生まれた男、努力でスキルと魔法が使える様になる。〜イージーな世界に生まれ変わった。

モンド
ファンタジー
1人の男が異世界に転生した。 日本に住んでいた頃の記憶を持ったまま、男は前世でサラリーマンとして長年働いてきた経験から。 今度生まれ変われるなら、自由に旅をしながら生きてみたいと思い描いていたのだ。 そんな彼が、15歳の成人の儀式の際に過去の記憶を思い出して旅立つことにした。 特に使命や野心のない男は、好きなように生きることにした。

異世界転生は、0歳からがいいよね

八時
ファンタジー
転生小説好きの少年が神様のおっちょこちょいで異世界転生してしまった。 神様からのギフト(チート能力)で無双します。 初めてなので誤字があったらすいません。 自由気ままに投稿していきます。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

魔境へ追放された公爵令息のチート領地開拓 〜動く屋敷でもふもふ達とスローライフ!〜

西園寺若葉
ファンタジー
公爵家に生まれたエリクは転生者である。 4歳の頃、前世の記憶が戻って以降、知識無双していた彼は気づいたら不自由極まりない生活を送るようになっていた。 そんな彼はある日、追放される。 「よっし。やっと追放だ。」 自由を手に入れたぶっ飛んび少年エリクが、ドラゴンやフェンリルたちと気ままに旅先を決めるという物語。 - この話はフィクションです。 - カクヨム様でも連載しています。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。