153 / 732
第6章 帝国の侵略
第268話 いよいよ王国軍出立!
しおりを挟む
「皆の者、よくぞ集まってくれた。そして、帝国軍は既に辺境伯領から進軍を開始したと暗部により連絡があった」
ウズベル王が、城の広場に集まった兵に対して出立前の口上を述べている。
戦争を経験したことのない兵士達は、浮足立つかと思いきや、ゼロの部下との一戦で戦争以上の経験をしたことで落ち着いているようだ。
「お前達が、王国を守るのである!絶対に帝国の思い通りにさせてはならん。無事帰還できた暁には、報奨と休暇を与える。期待しておるぞ」
報奨と休暇と聞いた兵士達は、うぉぉぉと大声を出して喜びをあらわにするのであった。
ちなみに第一騎士団は、最後の砦として王都に残るのである。第一騎士団団長は、活躍の場を第三騎士団いやルーヘンにばかり取られており、陰で不平不満を漏らしているようだ。
今回出立するのが、オレール・セバス・バトラー組とルーヘン率いる第三騎士団と今回に限り第三騎士団の直轄に入る第二騎士団と一般兵士200名と魔ノ国から来たマクガリアスとジンである。そして、連絡係に転移が使えるセイランが同行する。護衛にはジキタリスが付くことになった。
「陛下、では行って参ります!王国に勝利を!」
ルーヘンが代表して最後の挨拶を述べて、王都を出立するのであった。
「皆無事に戻ってきてくれ...」
見送るウズベル王は、どうか死者が出ないよう祈るのであった。
「陛下、ヨゼフ殿が着いたようです。尋問の用意も出来ております」
アントンが、横から声をかける。
「余には余で大事な仕事がまだまだ残っておったな。すぐに行こう」
ウズベル王に黄昏れる時間は全くないのである。ウズベル王は、振り返り城の中に入って行くのであった。
◆
「オレール子爵様、よろしいですか?」
出立して、初めての夜を迎えて野営しているところにルーヘンがやってくる。
「ルーヘン殿、どうしましたか?」
誰に見られているかわからないので、敬称を付けて話すのであった。
「デストロイ将軍についてお聞かせ願えませんか?」
「一言で表すなら化け物...ですね。今いる王国軍総出でかかったとしても、一瞬で蹴散らされます」
横にいたマクガリアスとジンが、頷くように応える。
「そ、そこまでですか?一体どうすれば...」
遊び人ルーヘンの顔ではなく、隊長としての真面目な顔で悩む。
「一般兵士と騎士団には、帝国軍の相手をしてもらい、デストロイ将軍は、私とセバスさんとバトラーさんとマクガリアスさんとジンさんで対処します」
勝てる見込みなどないに等しいと考えながらも、アレクの強化ポーションを初めから出し惜しみなく使って戦えば或いはと思うオレールであった。
「わかりました。私たち騎士団は、邪魔にならないように帝国軍を蹴散らします。オレール子爵様、デストロイ将軍のことお任せしましたよ」
「勝ちはしないものの追い返す程度には、やってみようと思います」
「期待しています。では、私はこれにて失礼します」
ルーヘンは、陣営に戻って作戦会議を開くのであった。
「マクガリアスさんとジンさん、これを渡しておきます」
二人の前に、ポーションをいくつか置くオレール。
「これはなんだ?」
マクガリアスが、ポーションを見ながら何なのか聞いてくる。
「攻撃力・防御力・素早さの向上薬です。それに、魔力100倍増幅薬と常時魔力回復薬になります。そしてこれが、狂化強靭薬です。5分間理性失い、5分後全身の複雑骨折を代償に、あり得ない力を得る薬です」
出し惜しみしていられないオレールは、アレクから渡されている全ての種類の強化ポーションをマクガリアスとジンに渡したのだ。
「聞いているだけで諸刃の剣のような薬だな!だが、おもしろそうだ」
「これを、一斉に使いデストロイと戦うでいいか?」
ジンが確信をつく答えを口にするのだ。
「はい!勝てるかはわかりませんが、これしか方法はありません。これでも負けるようなら諦めるほかないでしょう」
オレールは、嫌な予感しかしない。あの強さを肌で感じて、今でも身震いしてしまうのだった。
「やるしかないだろ!そんなことより、明日のために、今は飯を食って寝るぞ」
マクガリアスは、さっき捕まえたウサギの肉を焼きながら英気を養うよう言うのであった。
ウズベル王が、城の広場に集まった兵に対して出立前の口上を述べている。
戦争を経験したことのない兵士達は、浮足立つかと思いきや、ゼロの部下との一戦で戦争以上の経験をしたことで落ち着いているようだ。
「お前達が、王国を守るのである!絶対に帝国の思い通りにさせてはならん。無事帰還できた暁には、報奨と休暇を与える。期待しておるぞ」
報奨と休暇と聞いた兵士達は、うぉぉぉと大声を出して喜びをあらわにするのであった。
ちなみに第一騎士団は、最後の砦として王都に残るのである。第一騎士団団長は、活躍の場を第三騎士団いやルーヘンにばかり取られており、陰で不平不満を漏らしているようだ。
今回出立するのが、オレール・セバス・バトラー組とルーヘン率いる第三騎士団と今回に限り第三騎士団の直轄に入る第二騎士団と一般兵士200名と魔ノ国から来たマクガリアスとジンである。そして、連絡係に転移が使えるセイランが同行する。護衛にはジキタリスが付くことになった。
「陛下、では行って参ります!王国に勝利を!」
ルーヘンが代表して最後の挨拶を述べて、王都を出立するのであった。
「皆無事に戻ってきてくれ...」
見送るウズベル王は、どうか死者が出ないよう祈るのであった。
「陛下、ヨゼフ殿が着いたようです。尋問の用意も出来ております」
アントンが、横から声をかける。
「余には余で大事な仕事がまだまだ残っておったな。すぐに行こう」
ウズベル王に黄昏れる時間は全くないのである。ウズベル王は、振り返り城の中に入って行くのであった。
◆
「オレール子爵様、よろしいですか?」
出立して、初めての夜を迎えて野営しているところにルーヘンがやってくる。
「ルーヘン殿、どうしましたか?」
誰に見られているかわからないので、敬称を付けて話すのであった。
「デストロイ将軍についてお聞かせ願えませんか?」
「一言で表すなら化け物...ですね。今いる王国軍総出でかかったとしても、一瞬で蹴散らされます」
横にいたマクガリアスとジンが、頷くように応える。
「そ、そこまでですか?一体どうすれば...」
遊び人ルーヘンの顔ではなく、隊長としての真面目な顔で悩む。
「一般兵士と騎士団には、帝国軍の相手をしてもらい、デストロイ将軍は、私とセバスさんとバトラーさんとマクガリアスさんとジンさんで対処します」
勝てる見込みなどないに等しいと考えながらも、アレクの強化ポーションを初めから出し惜しみなく使って戦えば或いはと思うオレールであった。
「わかりました。私たち騎士団は、邪魔にならないように帝国軍を蹴散らします。オレール子爵様、デストロイ将軍のことお任せしましたよ」
「勝ちはしないものの追い返す程度には、やってみようと思います」
「期待しています。では、私はこれにて失礼します」
ルーヘンは、陣営に戻って作戦会議を開くのであった。
「マクガリアスさんとジンさん、これを渡しておきます」
二人の前に、ポーションをいくつか置くオレール。
「これはなんだ?」
マクガリアスが、ポーションを見ながら何なのか聞いてくる。
「攻撃力・防御力・素早さの向上薬です。それに、魔力100倍増幅薬と常時魔力回復薬になります。そしてこれが、狂化強靭薬です。5分間理性失い、5分後全身の複雑骨折を代償に、あり得ない力を得る薬です」
出し惜しみしていられないオレールは、アレクから渡されている全ての種類の強化ポーションをマクガリアスとジンに渡したのだ。
「聞いているだけで諸刃の剣のような薬だな!だが、おもしろそうだ」
「これを、一斉に使いデストロイと戦うでいいか?」
ジンが確信をつく答えを口にするのだ。
「はい!勝てるかはわかりませんが、これしか方法はありません。これでも負けるようなら諦めるほかないでしょう」
オレールは、嫌な予感しかしない。あの強さを肌で感じて、今でも身震いしてしまうのだった。
「やるしかないだろ!そんなことより、明日のために、今は飯を食って寝るぞ」
マクガリアスは、さっき捕まえたウサギの肉を焼きながら英気を養うよう言うのであった。
36
お気に入りに追加
5,417
あなたにおすすめの小説
攫われた転生王子は下町でスローライフを満喫中!?
伽羅
ファンタジー
転生したのに、どうやら捨てられたらしい。しかも気がついたら籠に入れられ川に流されている。
このままじゃ死んじゃう!っと思ったら運良く拾われて下町でスローライフを満喫中。
自分が王子と知らないまま、色々ともの作りをしながら新しい人生を楽しく生きている…。
そんな主人公や王宮を取り巻く不穏な空気とは…。
このまま下町でスローライフを送れるのか?
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から「破壊神」と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
異世界で生き残る方法は?
ブラックベリィ
ファンタジー
第11回ファンタジー大賞が9月30日で終わりました。
投票してくれた方々、ありがとうございました。
200人乗りの飛行機で、俺達は異世界に突入してしまった。
ただし、直前にツアー客が団体様でキャンセルしたんで、乗客乗務員合わせて30名弱の終わらない異世界旅行の始まり………。
いや、これが永遠(天寿を全うするまで?)のサバイバルの始まり?
ちょっと暑さにやられて、恋愛モノを書くだけの余裕がないので………でも、何か書きたい。
と、いうコトで、ご都合主義満載の無茶苦茶ファンタジーです。
ところどころ迷走すると思いますが、ご容赦下さい。
授かったスキルが【草】だったので家を勘当されたから悲しくてスキルに不満をぶつけたら国に恐怖が訪れて草
ラララキヲ
ファンタジー
(※[両性向け]と言いたい...)
10歳のグランは家族の見守る中でスキル鑑定を行った。グランのスキルは【草】。草一本だけを生やすスキルに親は失望しグランの為だと言ってグランを捨てた。
親を恨んだグランはどこにもぶつける事の出来ない気持ちを全て自分のスキルにぶつけた。
同時刻、グランを捨てた家族の居る王都では『謎の笑い声』が響き渡った。その笑い声に人々は恐怖し、グランを捨てた家族は……──
※確認していないので二番煎じだったらごめんなさい。急に思いついたので書きました!
※「妻」に対する暴言があります。嫌な方は御注意下さい※
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げています。
平民として生まれた男、努力でスキルと魔法が使える様になる。〜イージーな世界に生まれ変わった。
モンド
ファンタジー
1人の男が異世界に転生した。
日本に住んでいた頃の記憶を持ったまま、男は前世でサラリーマンとして長年働いてきた経験から。
今度生まれ変われるなら、自由に旅をしながら生きてみたいと思い描いていたのだ。
そんな彼が、15歳の成人の儀式の際に過去の記憶を思い出して旅立つことにした。
特に使命や野心のない男は、好きなように生きることにした。
異世界転生は、0歳からがいいよね
八時
ファンタジー
転生小説好きの少年が神様のおっちょこちょいで異世界転生してしまった。
神様からのギフト(チート能力)で無双します。
初めてなので誤字があったらすいません。
自由気ままに投稿していきます。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
他国から来た王妃ですが、冷遇? 私にとっては厚遇すぎます!
七辻ゆゆ
ファンタジー
人質同然でやってきたというのに、出されるご飯は母国より美味しいし、嫌味な上司もいないから掃除洗濯毎日楽しいのですが!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。