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第6章 帝国の侵略
第261話 堂々と正面突破するセバス!
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時は遡りアレク達が、転移で帰国する数日前の話である。
「セバスさんは、貴族でも国に仕えているわけでもないのに大変ですね」
バトラーも、同じ執事だが、王城の執事ということで百歩譲ってわかるのだが、セバスは伯爵家の執事であり、わざわざ捕縛などという任務をする必要性がないのだ。
「そう言われればそうですね。ですが、国の一大事であり、陛下の命令とあらば任務を遂行せざるおえませんからね」
ギンベル子爵領とマルティル辺境伯領は、途中まで道のりが同じで一緒に向かっているのだ。
「セバスさんは、真面目ですね。それに、馬も乗りこなすとは恐ろしい執事ですよ」
なんでも器用にこなすセバスを横目で見ながら呟くオレール。
「フフッ、昔馬での移動が多かったですからね。それよりも、王国内部の裏切りが目立ちますね。陛下も頭が痛いでしょうな」
陛下がこれまで頑張って掃除をしてきたのだが、裏ではまだまだ暗躍する者がいるのが現状である。
「頭痛の種を取り除く為にも、今回私達が頑張らないといけませんね。では、そろそろこの辺りでお別れですね。お互い健闘を祈りましょう」
「そうですね。では、後程お会いしましょう」
そう言って二人は、自分が目指す領へと向かうのだった。
◆
「ここが、キンベル子爵領ですか...やはり表向きは善政をしているだけあり豊かですね」
セバスは、キンベル子爵領の村々を見て回りながら街を目指していたのだが、人々の笑顔を見て善政を敷いているなと思うのであった。
「そろそろ、街に着きますね。一度、宿を取ってから夜に決行するとしましょうか」
そのように発言している最中、オレールもルーヘンもバトラーもそれぞれが目指す領地に辿り着き、同じ行動をするのであった。
「次の人、身分を証明できる物を出して下さい」
街に入る為に列に並んでいたセバスは、ようやく順番な回ってきたのだ。
「これでよろしいですか?」
「え!?男爵様ですか!次回からは、あちらからお入りください。お待たせしてしまい申し訳ございませんでした」
「いえいえ、私も男爵になったばかりで、不慣れなものでして...ご迷惑をおかけしました」
陛下から事前に偽の身分を貰っており、セバスは男爵という設定なのである。何故、上級貴族ではないかというと、上級貴族の場合、キンベル子爵の耳に伝わる可能性があるからである。
「今回は、どのような御用向きでお越しになったのでしょうか?」
お供も連れず貴族らしからぬ軽装で訪れたセバスに一応だが尋ねる兵士。
「キンベル子爵様は、善政で有名ですからね。勉強の為に領地を見せて貰おうと思いまして。まぁ、なりたてなもので、まだ従者すらいないのですがね。お恥ずかしい限りです」
「そういうことでしたか!是非、街の良さを体験していって下さい。それと、長く引き止めてしまい申し訳ございませんでした」
「いえいえ、兵士の方がしっかりしているのは、良い領という証拠です。では、街に入らせて頂きます」
「男爵様に、そう言って頂けると頑張っている甲斐があります。どうぞ、お入りください」
兵士は、笑顔でセバスを見送る。セバスは、何食わぬ顔で街へと入るのであった。
「とりあえず宿を探して夜を待ちますかね」
セバスは、宿屋を探すのであった。
◆
それから、宿屋にある酒場で時間を潰すセバス。
「そろそろ行きますかね」
人も少なくなり、そろそろ酒場も閉まる時間になる。セバスは、会計を済ませて宿屋の店主に遅くなることを伝えて、外に出るのであった。
「夜風が気持ちいいですね。それに、夜空も綺麗ですね」
スゥ~と息を吸ってフゥ~と息を吐いて気持ちを整えるのであった。
それから、夜風に当たりながら酔いを覚ましつつキンベル子爵の屋敷にやってきたのだ。
「申し訳ありませんが、キンベル子爵様はご在宅でしょうか?」
「このような夜更けに何用だ!キンベル様は、寝ておられる。今すぐ立ち去れ」
こんな時間に訪ねてきたセバスを怪しく思ったのだろう。高圧的な態度で追い返されるのであった。
「では、こちらをお読み頂きますか?」
「なんだ!これは!」
門番は、引ったくるように、王印が捺された出頭命令書を奪い取る。
「な、なんだこれは!」
王印が捺されており焦る門番だが、まだ信じきれていない様子である。
「陛下からキンベル子爵を捕縛するよう依頼を受けています。大人しく差し出すのであれば何もしませんが、抵抗した場合は、陛下から殺しも厭わないと命令されています。いかが致しますか?」
門番は、何度も文章の内容と王印を確認する。
「キ、キンベル様に確認してくる。しばし待たれよ」
「では、私も付いていきましょう。逃げられたら困りますからね」
「部外者を入れるわけには...グハァッ」
腹に一発パンチを食らわして気絶させるセバス。
「先程から言葉遣いもなっていませんね。そちらで、ずっと黙っている方はどうしますか?同じようにされたいのか?中に入らせて頂けるのか?」
もう一人いた若い門番は、震えているのだ。
「は、はい!今すぐご案内致します」
そう言うと門開け放たれて、中へ誘導されるのであった。
「これは、一大事だ。旦那様に知らせなければ」
屋敷の窓から一部始終を見ていた執事が慌ててキンベル子爵に報告しにいくのであった。
「セバスさんは、貴族でも国に仕えているわけでもないのに大変ですね」
バトラーも、同じ執事だが、王城の執事ということで百歩譲ってわかるのだが、セバスは伯爵家の執事であり、わざわざ捕縛などという任務をする必要性がないのだ。
「そう言われればそうですね。ですが、国の一大事であり、陛下の命令とあらば任務を遂行せざるおえませんからね」
ギンベル子爵領とマルティル辺境伯領は、途中まで道のりが同じで一緒に向かっているのだ。
「セバスさんは、真面目ですね。それに、馬も乗りこなすとは恐ろしい執事ですよ」
なんでも器用にこなすセバスを横目で見ながら呟くオレール。
「フフッ、昔馬での移動が多かったですからね。それよりも、王国内部の裏切りが目立ちますね。陛下も頭が痛いでしょうな」
陛下がこれまで頑張って掃除をしてきたのだが、裏ではまだまだ暗躍する者がいるのが現状である。
「頭痛の種を取り除く為にも、今回私達が頑張らないといけませんね。では、そろそろこの辺りでお別れですね。お互い健闘を祈りましょう」
「そうですね。では、後程お会いしましょう」
そう言って二人は、自分が目指す領へと向かうのだった。
◆
「ここが、キンベル子爵領ですか...やはり表向きは善政をしているだけあり豊かですね」
セバスは、キンベル子爵領の村々を見て回りながら街を目指していたのだが、人々の笑顔を見て善政を敷いているなと思うのであった。
「そろそろ、街に着きますね。一度、宿を取ってから夜に決行するとしましょうか」
そのように発言している最中、オレールもルーヘンもバトラーもそれぞれが目指す領地に辿り着き、同じ行動をするのであった。
「次の人、身分を証明できる物を出して下さい」
街に入る為に列に並んでいたセバスは、ようやく順番な回ってきたのだ。
「これでよろしいですか?」
「え!?男爵様ですか!次回からは、あちらからお入りください。お待たせしてしまい申し訳ございませんでした」
「いえいえ、私も男爵になったばかりで、不慣れなものでして...ご迷惑をおかけしました」
陛下から事前に偽の身分を貰っており、セバスは男爵という設定なのである。何故、上級貴族ではないかというと、上級貴族の場合、キンベル子爵の耳に伝わる可能性があるからである。
「今回は、どのような御用向きでお越しになったのでしょうか?」
お供も連れず貴族らしからぬ軽装で訪れたセバスに一応だが尋ねる兵士。
「キンベル子爵様は、善政で有名ですからね。勉強の為に領地を見せて貰おうと思いまして。まぁ、なりたてなもので、まだ従者すらいないのですがね。お恥ずかしい限りです」
「そういうことでしたか!是非、街の良さを体験していって下さい。それと、長く引き止めてしまい申し訳ございませんでした」
「いえいえ、兵士の方がしっかりしているのは、良い領という証拠です。では、街に入らせて頂きます」
「男爵様に、そう言って頂けると頑張っている甲斐があります。どうぞ、お入りください」
兵士は、笑顔でセバスを見送る。セバスは、何食わぬ顔で街へと入るのであった。
「とりあえず宿を探して夜を待ちますかね」
セバスは、宿屋を探すのであった。
◆
それから、宿屋にある酒場で時間を潰すセバス。
「そろそろ行きますかね」
人も少なくなり、そろそろ酒場も閉まる時間になる。セバスは、会計を済ませて宿屋の店主に遅くなることを伝えて、外に出るのであった。
「夜風が気持ちいいですね。それに、夜空も綺麗ですね」
スゥ~と息を吸ってフゥ~と息を吐いて気持ちを整えるのであった。
それから、夜風に当たりながら酔いを覚ましつつキンベル子爵の屋敷にやってきたのだ。
「申し訳ありませんが、キンベル子爵様はご在宅でしょうか?」
「このような夜更けに何用だ!キンベル様は、寝ておられる。今すぐ立ち去れ」
こんな時間に訪ねてきたセバスを怪しく思ったのだろう。高圧的な態度で追い返されるのであった。
「では、こちらをお読み頂きますか?」
「なんだ!これは!」
門番は、引ったくるように、王印が捺された出頭命令書を奪い取る。
「な、なんだこれは!」
王印が捺されており焦る門番だが、まだ信じきれていない様子である。
「陛下からキンベル子爵を捕縛するよう依頼を受けています。大人しく差し出すのであれば何もしませんが、抵抗した場合は、陛下から殺しも厭わないと命令されています。いかが致しますか?」
門番は、何度も文章の内容と王印を確認する。
「キ、キンベル様に確認してくる。しばし待たれよ」
「では、私も付いていきましょう。逃げられたら困りますからね」
「部外者を入れるわけには...グハァッ」
腹に一発パンチを食らわして気絶させるセバス。
「先程から言葉遣いもなっていませんね。そちらで、ずっと黙っている方はどうしますか?同じようにされたいのか?中に入らせて頂けるのか?」
もう一人いた若い門番は、震えているのだ。
「は、はい!今すぐご案内致します」
そう言うと門開け放たれて、中へ誘導されるのであった。
「これは、一大事だ。旦那様に知らせなければ」
屋敷の窓から一部始終を見ていた執事が慌ててキンベル子爵に報告しにいくのであった。
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