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第5章 大和ノ国へ出発
第257話 粕汁うま〜からのノックスの憂いな表情!
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今アレクは、せっせと粕汁を作っている。
「俺の家は特殊だったからな。具は細かくしてと...それから、こっちの鮭はどんな味がするんだろう?」
アレクは、大根とこんにゃくと人参を切っている。こんにゃくまで売っているとは思わず、見つけた時は驚いたものである。
「よし!野菜を煮立てていくぞ」
切った食材を煮立てながら大根が柔らかくなったところで、貰った酒粕と白味噌を少し加えてよくかき混ぜていく。
「いい具合に出来上がってきたな。味見味見と...うん!前世と同じ味だ。それに鮭の味が濃くてうまい」
普通は、長ねぎを先に入れたりするのだが、うちの家は青ネギを上からかけるのである。
「完成っと」
「作り方はわかったよ。それにしてもいい匂いだねぇ」
「うわぁ!ずっと見ていたんですか?」
アレクは、作るのに夢中で一切視界に入っていなかったのだ。
「また驚かせちまったみたいだね。あまりの手際の良さに魅入っちまったよ」
おばさんは、笑顔で話し始める。
「何回か作ったことがあるだけですよ。それより、向こうに持って行って食べましょう」
そう言って鍋とお椀と食器を運ぶアレクとおばさん。
「二人とも出来ましたよ。はい!どうぞ、食べてみて下さい」
お椀に粕汁を入れて3人に渡す。3人は、一斉に食べ始めるのだった。
「こりゃあ~うまい!ほのかに酒の香りがするのもいいな」
「確かに、うまいな!何杯でも食えそうだ」
「これはいいね~体が温まるよ。それにしても、酒粕に野菜と鮭がこんなにも合うとはねぇ~驚きだよ」
3人とも気に入ってくれたようで、おかわりまでしてくれたのだ。
「あぁ~懐かしい!おいしいな。めちゃくちゃいい酒粕まで手に入ってよかった」
アレクも、うまそうに粕汁を飲むのであった。
◆
「おいしかった。師匠、そろそろ買う物決めて帰りませんか?」
あまり長居するのも、どうかと思ったアレクがノックスに尋ねる。
「それもそうだな。おっちゃん、さっき言ってたのをくれないか?」
「よし!包んでくるから待ってろ」
それから、綺麗に袋詰された酒を大量に買ったノックスは、ご満悦な表情を浮かべる。
「書いてくれたのは、今日から商品の横に並べさせてもらう。それと、これが酒粕だ。酒粕の新しい可能性を見出してくれたことに感謝だな」
酒粕が入った袋を大量に渡してくれた店主にアレクは「ありがとうございます」とお礼を言う。ちなみに食べた後、POPを大量に書かされたのは言うまでもない。
「またいつでもこいよ!二人なら大歓迎だ」
「は~い!また絶対来ますね」
アレクは、手を振りながら店を出るのであった。
「師匠、帝国についてどう思いますか?」
老永への帰り道に、ふと帝国のことが頭に浮かんで聞いてみるのだった。
「どうと言われてもな。行ったこともない。接点もないからな。だが、魔ノ国の連中に聞いた話だと最低な国らしいな。しかし、将軍には興味がある。最強との噂だ」
やはり、戦うことにしか興味がないノックスは、将軍一択なのである。
「やっぱり師匠は師匠ですね。でも、ラヴァーナ様も勝てない相手らしいですよ。なんでも異空間から無理矢理這い出てくるみたいですから」
ラヴァーナが、得意とする空間を操るスキルさえも通用しないのである。
「化け物だな。だが、それくらい骨のあるやつと戦いたい。いつかルシファーと戦うその時までに俺は今以上に強くならないといけないならな」
「師匠、正直今のままでもルシファーには勝てませんか?」
アレクから見ても対人最強だと思うほどに強いノックスだが、更に強くなろうとしている事実にまだまだ及ばない存在なのかと考えてしまう。
「勝てない...瞬殺されるだろうな...」
「薬を使ってもですか?」
「あぁ...負ける...」
普段は、絶対に口にしないようなことや表情をするノックスに不安を覚えるアレク。
「でも、こっちには強くなった仲間がいっぱいいます。それでも...」
アレクの言葉を途中で遮るように話すノックス。
「無理だ。あの時も今もやつの底が見えない。だから、もし現れたらアレク坊はヘルミーナを連れて逃げろ」
「師匠、何を言ってるんですか!絶対に逃げません。一緒に戦います」
アレクは、何を言い出すんだと強い口調になるのだった。
「最愛の者を失う気持ちをアレク坊に味わってほしくないんだ。失ってからでは遅いからな...ってこんな話をしていたら気が滅入っちまうな。やめだやめだ!」
「師匠...」
ノックスは、最愛の人のことを前々から深く話そうとはしない。だが、ノックスも深い闇を抱えているんだろうなと察するアレクは、これ以上聞き出すことが出来ないのである。
「帰ったら続きを飲むぞ。アレク坊は、ヘルミーナと過ごしてやれ。新婚旅行なんだしな」
「はい!そうします」
本当は、突っ込んだ話をしたかったが、これ以上は話してくれないだろうと考えて、素直に従うのであった。
「俺の家は特殊だったからな。具は細かくしてと...それから、こっちの鮭はどんな味がするんだろう?」
アレクは、大根とこんにゃくと人参を切っている。こんにゃくまで売っているとは思わず、見つけた時は驚いたものである。
「よし!野菜を煮立てていくぞ」
切った食材を煮立てながら大根が柔らかくなったところで、貰った酒粕と白味噌を少し加えてよくかき混ぜていく。
「いい具合に出来上がってきたな。味見味見と...うん!前世と同じ味だ。それに鮭の味が濃くてうまい」
普通は、長ねぎを先に入れたりするのだが、うちの家は青ネギを上からかけるのである。
「完成っと」
「作り方はわかったよ。それにしてもいい匂いだねぇ」
「うわぁ!ずっと見ていたんですか?」
アレクは、作るのに夢中で一切視界に入っていなかったのだ。
「また驚かせちまったみたいだね。あまりの手際の良さに魅入っちまったよ」
おばさんは、笑顔で話し始める。
「何回か作ったことがあるだけですよ。それより、向こうに持って行って食べましょう」
そう言って鍋とお椀と食器を運ぶアレクとおばさん。
「二人とも出来ましたよ。はい!どうぞ、食べてみて下さい」
お椀に粕汁を入れて3人に渡す。3人は、一斉に食べ始めるのだった。
「こりゃあ~うまい!ほのかに酒の香りがするのもいいな」
「確かに、うまいな!何杯でも食えそうだ」
「これはいいね~体が温まるよ。それにしても、酒粕に野菜と鮭がこんなにも合うとはねぇ~驚きだよ」
3人とも気に入ってくれたようで、おかわりまでしてくれたのだ。
「あぁ~懐かしい!おいしいな。めちゃくちゃいい酒粕まで手に入ってよかった」
アレクも、うまそうに粕汁を飲むのであった。
◆
「おいしかった。師匠、そろそろ買う物決めて帰りませんか?」
あまり長居するのも、どうかと思ったアレクがノックスに尋ねる。
「それもそうだな。おっちゃん、さっき言ってたのをくれないか?」
「よし!包んでくるから待ってろ」
それから、綺麗に袋詰された酒を大量に買ったノックスは、ご満悦な表情を浮かべる。
「書いてくれたのは、今日から商品の横に並べさせてもらう。それと、これが酒粕だ。酒粕の新しい可能性を見出してくれたことに感謝だな」
酒粕が入った袋を大量に渡してくれた店主にアレクは「ありがとうございます」とお礼を言う。ちなみに食べた後、POPを大量に書かされたのは言うまでもない。
「またいつでもこいよ!二人なら大歓迎だ」
「は~い!また絶対来ますね」
アレクは、手を振りながら店を出るのであった。
「師匠、帝国についてどう思いますか?」
老永への帰り道に、ふと帝国のことが頭に浮かんで聞いてみるのだった。
「どうと言われてもな。行ったこともない。接点もないからな。だが、魔ノ国の連中に聞いた話だと最低な国らしいな。しかし、将軍には興味がある。最強との噂だ」
やはり、戦うことにしか興味がないノックスは、将軍一択なのである。
「やっぱり師匠は師匠ですね。でも、ラヴァーナ様も勝てない相手らしいですよ。なんでも異空間から無理矢理這い出てくるみたいですから」
ラヴァーナが、得意とする空間を操るスキルさえも通用しないのである。
「化け物だな。だが、それくらい骨のあるやつと戦いたい。いつかルシファーと戦うその時までに俺は今以上に強くならないといけないならな」
「師匠、正直今のままでもルシファーには勝てませんか?」
アレクから見ても対人最強だと思うほどに強いノックスだが、更に強くなろうとしている事実にまだまだ及ばない存在なのかと考えてしまう。
「勝てない...瞬殺されるだろうな...」
「薬を使ってもですか?」
「あぁ...負ける...」
普段は、絶対に口にしないようなことや表情をするノックスに不安を覚えるアレク。
「でも、こっちには強くなった仲間がいっぱいいます。それでも...」
アレクの言葉を途中で遮るように話すノックス。
「無理だ。あの時も今もやつの底が見えない。だから、もし現れたらアレク坊はヘルミーナを連れて逃げろ」
「師匠、何を言ってるんですか!絶対に逃げません。一緒に戦います」
アレクは、何を言い出すんだと強い口調になるのだった。
「最愛の者を失う気持ちをアレク坊に味わってほしくないんだ。失ってからでは遅いからな...ってこんな話をしていたら気が滅入っちまうな。やめだやめだ!」
「師匠...」
ノックスは、最愛の人のことを前々から深く話そうとはしない。だが、ノックスも深い闇を抱えているんだろうなと察するアレクは、これ以上聞き出すことが出来ないのである。
「帰ったら続きを飲むぞ。アレク坊は、ヘルミーナと過ごしてやれ。新婚旅行なんだしな」
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