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第5章 大和ノ国へ出発

第251話 老永の女将さんに試される!?

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「なんだが、戦ったら腹が減ったな。アレク坊行くぞ」

「えっ?師匠、挨拶とかはいいんですか?」

蔵之介の周りには子供達が集まりワァァァと盛り上がっているので、挨拶し辛い雰囲気ではあるが、流石に戦った相手に何も言わず去るのはどうかと思うのであった。

「ん?そうか?じゃあ、蔵之介~また来るからな。次は、あっさり勝たせてもらう」

なんちゅう挨拶をかましとんねんと思うアレク。

「もう行くでござるか?寂しいでござるな。私も次は勝つでござるよ。いつでも来るでござる」

蔵之介も似たようなものだったので、これでいいのかと納得するのだった。

「よし、挨拶したぞ。なんて店かは忘れたが、あのおっさんが言ってた店にいくぞ」

「師匠、わかりましたから、その前に清潔クリーンで綺麗して破れた服を着替えて下さい」

砂埃と血で汚れており、胸はぱっくり破けているのだ。そんな格好で街中を歩いたらみんな驚くでしょと思うアレク。

「ん?あ!こりゃ酷いな。ちょっと着替えてくる」

そう言って、別れたはずの蔵之介に部屋を借りに行くノックスであった。





それから数分後、着替えを終えて戻ってきたはいいのだが、何故か袴姿だったのだ。

「え?その姿...」

「あぁ、蔵之介が着ていけと言うから貰ったんだ。着てみたら案外楽でいいぞ。涼しいしな」

何故似合うというくらい似合っているノックスに、ちょっと嫉妬するアレク。ワイルドイケメンに袴がここまで似合うとはズルいと思うのだった。

「師匠だけいいですね。ご飯を食べたら俺達も買いに行こう」

アレクも人生一度でいいから袴を着てみたいと思っていたのだ。それに、ヘルミーナの袴姿も見たいと思ってしまったのである。

「私も着てみたいです。異国の文化に触れるのはいいことですよ」

パスクもどうやらノックスの袴姿を見て羨ましかったようだ。

「女性用があるなら着てみたいわ」

「あると思うよ。可愛らしい感じのやつだと思う」

「なら興味あるわね。じゃあ、あとで行きましょう」

ヘルミーナも、可愛らしいと聞いて着てみたくなったようだ。

「とりあえずは、紹介された老永に行ってみよう」





それからアレク達は、老永に着いたのだった。老永は、日本でいう老舗のお店という佇まいで一元様お断りではないかと思わせるほどであった。

「ここだよね?入って大丈夫かな?」

「大丈夫だとは思うけど、高級そうな感じね」

「ワシみたいな魔獣が入って大丈夫なのかのぅ?」

ヘルミーナとマンテ爺も心配しながら店の前で呟くのだった。

「入ってみりゃわかるだろ!行くぞ」

ノックスは、お構いなしに引き戸を開けて中に入っていくのだった。

「あそこで屋台をしている店主の紹介で来たんだが、飯は食えるか?」

ノックスは、いつもと変わらない口調で話しかける。見ているこっちは心強いがハラハラドキドキである。

「いらっしゃいませ!屋台で紹介というと源さんかしら?どうぞお入りになって下さい」

その言葉にアレク以外は、ちんぷんかんぷんなのである。何故かというと、全て日本語なのだ。

「なんて言ってるんだ?」

「さぁさぁ~お入りになって下さい」

アレクは、試されているなと感じるのだった。やはり一見様お断りのお店に近い感じのようだと。

「3名と従魔がいるのですが、入っても大丈夫ですか?それと、日本語は私にしか通じませんよ。わざと試してますよね?」

そういうと、女将さんらしき人物が「フフッ」と笑うのであった。

「ごめんなさいね。面白くて通な異国の子供が来ていると源さんが知らせに来たものだから。しかも、初代天皇様が話されていた言葉を使えると聞いて気になりまして」

「そうだったのですね。一元様以外をふるいにかける為かと思いましたよ。それで、食べさせて貰えるのですか?」

初代天皇が日本語を話していたということは、やはり転生者なのだろうとアレクは思うのだった。

「ごめんなさいね。異国の方で話せる人がいると聞いて舞い上がってしまいました。どうぞ歓迎致しますので、お上がりになって下さい」

「みんな、上がって大丈夫らしいですよ」

「あなた、今のは何語なの?」

「あとで話すから、とりあえず食事を頂こう。女将さん、案内をよろしくお願いします」

ヘルミーナが、何語を話しているのか気になるようだが、ずっと入口にいるのもおかしな話なので、女将さんに案内を頼むアレク。

「こちらへどうぞ!一番いい部屋にご案内させて頂きます」

アレク達は、女将さんの案内で綺麗に掃除された廊下を歩いて部屋へと向かうのだった。
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