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第5章 大和ノ国へ出発

第247話 ほっこりと悲しみと懐かしさ!

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大和ノ国に来て早々色んなことがあったが、持東親王の弟の暴走ということで、お咎めは一切なかった。むしろ、厄介な親王だった為に感謝されたほどである。

「色々あったけど、やっと大和ノ国を楽しめるね」

「そうだな」

「そうですね」

「やっとアレクが、行きたかった大和ノ国を楽しめるのね」

「ワシも、初めてくる場所じゃから楽しみだわい」

それぞれが、大和ノ国を楽しもうと返事をする。マンテ爺に至っては、アレクに抱っこされて完全に野生さはなくなり、飼い犬や飼い猫みたいになってしまっているのだ。

「まずは、何か食べに行きましょう。と言いますか、それが大半の目的で来たんですけどね」

アレクは、日本食で頭がいっぱいになっているのだ。

「フフッ、それが目的だもんね。それにしても、プロポーズの時に転生者だって打ち明けられた時は驚いたわよ」

ヘルミーナと大事な家族になったということで、アレクは全てを打ち明けたのだ。それと、中身が37歳と知って「行き遅れた私を娶るのに躊躇がなかったのね」と言われた時はアレクもそうじゃないと説明するのに必死になったようだ。ヘルミーナも、半分冗談でからかったので、必死になるアレクを見て終始爆笑していたらしい。

「まぁ、家族だし秘密はなしってことだよ。それより、日本食を食べたら絶対に病みつきになるのは間違いないから。残念なのはマンテ爺が、普通の食事を取れないことだよ」

マンテ爺は、専用ポーションをかけた物を好んで食べるのだ。マンティコアの特性で負の感情や恐怖に満ちた瞬間の肉が美味らしいのである。

「ワシは、ここにいる間は同じ物を食うぞい。アレクの故郷の味がどんな物か堪能せねばならんからのぅ」

本当は、一人違う物を食べるのは寂しさがあるのとせっかくならアレクと楽しく食事をしたいというマンテ爺の可愛さなのである。

「マンテ爺~優しいやつだな」

アレクは、マンテ爺の真意を読み取って頭をワシャワシャする。

「うなぁ~やめるんじゃ。グチャグチャになるじゃろうが!バカモン!」

マンテ爺は、嬉しいのと恥ずかしいのを隠す為に、大きな声を出す。

「マンテ爺は、本当にかわいいわね」

「ヌオー、ヘルミーナまでやめるんじゃ」

ヘルミーナも、マンテ爺をワシャワシャするのだった。

「ノックスさん、家族もいいものですね」

「あぁ~俺は失ってしまったがな。もし、生きていたら俺も家族を持って、今とは別の人生を歩んでいたかもしれない」

側で見ていたパスクがノックスに声をかける。すると、ノックスも過去のことを思い出しながら、別の叶わぬ人生を想像するのであった。

「いつまでやってるんだ。アレク坊、飯を食いに行くんだろ?置いてくぞ」

叶わぬ人生を考えると辛くなったノックスは、振り払うかのように頭から消し去ってアレクに声をかけるのであった。

「は~い!待って下さい。ヘルミーナ行こう」

「うん」

アレクは、片手でマンテ爺を抱っこして、もう片方の手でヘルミーナの手を握って、ノックスとパスクを追いかけるのであった。





「見慣れない街並みですね。服装も見たことがありません」

街並みは江戸時代を思わせる感じで、パスクは見慣れない風景にキョロキョロしてしまうのだった。

「俺の前世の過去の街並みに近い感じだね。文献とかでしか見たことないから現実に見られて感動するよ」

ちょんまげの人は誰一人としていないが、みんな黒髪黒目で服装も江戸時代風なのである。

「そうなのですね。叶わないでしょうが、アレク様の生きていた世界にも行ってみたいですね」

「向こうは、魔法とかないし剣を持った人もいないよ。武器を持っているだけで捕まる場合があるからね」

「え?持っているだけでですか!?」

それを聞いたみんなは、こっちでは武器の携帯が当たり前なので驚くのであった。

「武器を持っているのは、警察...警備兵か軍くらいだね。あとは裏社会の人とか。しかも、武器は銃っていうものなんだ」

「銃ってなんだ?」

戦いに目がないノックスは、銃という新しい武器の名前に目を輝かせている。

「筒状の物から鉄の塊を発射する武器ですね。俺も詳しくは知らないから説明できないけど、大和ノ国ならその武器の元になった火縄銃くらいはあるかもしれません」

「想像出来ないが、弱そうだな」

今の説明なら弱いと感じても仕方ないと思うアレクであった。

「実際に見たら驚きますが、再現は出来ませんし、火縄銃があれば強さの一端をお見せできると思うので、あとで持東親王様にあるか聞いてみます」

「それは楽しみだな。俺の大剣とどっちが強いか戦いたい」

大剣で弾を受け止めるつもりなの?と驚くアレクであったが、師匠ならやってのけそうだなと思ってしまうのだった。

「皆さ~ん、なんかいい匂いがしませんか?」

ヘルミーナが、香ばしい匂いを感じて声をかけてきたのだ。

「この匂いは醤油だね。行ってみよう」

アレクは、醤油の匂いに釣られて、その店を探すのだった。

「アレク、待って~」

どんどん先に進むアレクにヘルミーナが走って追いかけるのであった。
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