チート薬学で成り上がり！ 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました！

第5章 大和ノ国へ出発

第246話 持東親王の弟現る！真面目な兄とは対照的？

アレクは、持東親王に挨拶を済ませてから、言われた通り両替をしてノックス達と合流するのだった。

合流したのはよかったのだが、ノックスが20人くらいを相手に全員をなぎ倒していたのである。

「師匠、いきなり何をしているんですか！」

アレクは、入国早々大変なことになったと頭を抱えるのであった。


◆


時は少し遡り、アレクを待っている三人。

ギュルギュルギュルルル
案内役を務めてくれていた侍のお腹から急に凄い音が鳴りだしたのだ。

「うっ...」

侍は、腹を押さえながら蹲って冷や汗を掻き始めたのだ。

「大丈夫ですか？」

ヘルミーナが、侍に声をかける。

「申し訳ございません。もう限界です」

そう言って侍は、トイレに向かって走って行ったのだ。

「大丈夫でしょうか？」

「相当苦しそうだったな。なんか腐った物でも食ったんじゃないか？」

「おい！何故ワシを見るんじゃ？拾い食いなどせんわい」

アレクが、親王と会うということで、マンテ爺はヘルミーナに預けられているのだ。

「マンテ爺は、なんでも食いそうだなと思ってな...悪い」

「心外じゃわい」

ノックスの一言にマンテ爺は、お怒りのようであり、プイッと顔を背ける。

「騒がしいと思ったらかわいい女がいやがるじゃねぇか」

急に前から侍がゾロゾロやってきて、真ん中に偉そうな男がいたのだ。

「その女を寄越せ！一晩したら返してやるよ」

偉そうな男は、ヘルミーナに向かって開口一番口にしてはならないことを言うのだった。

「おい！今なんて言ったんだ？もう一度言ってみろ」

ノックスが、その男に詰め寄って言う。パスクは、守るようにヘルミーナの前に割って入る。

「聞こえなかったのか？その女を寄越して一晩楽しませろと言った...ぐへぇ」

ノックスは、堪忍袋の緒が切れたのか、その男を殴り飛ばしたのだ。男は、後ろいる侍達のとこまで吹き飛ぶ。

「ぐはっ...俺を誰だと思っているんだ。親王だぞ！クソ！お前らヤッちまえ」

20人くらいいた侍が抜刀して、ノックスに襲いかかる。しかし、ノックスは全て避けて相手を気絶させていくのだ。

「弱すぎるぞ！最後はお前だな。覚悟は出来てるんだろうな？」

ノックスは、大剣に抜こうとする。

「師匠、いきなり何をしているんですか！」

そこにアレクがやってきて現状に驚くのであった。

「申し訳ございません...ってなんですか？これは！？」

腹を下した男も帰ってきて、現状に驚き突飛もない声を上げる。

「こいつが、女を寄越せ、一晩楽しませろっていい寄ってきやがったから殴ったまでだ」

ノックスが説明していると、後ろからゴォォォという音が聞こえてくるのではないかという程の殺気があたり一面に満ち溢れたのだ。

「師匠、その話、本当ですか？」

アレクが、怒りに満ちた顔で、いつもより低い声で尋ねる。

「あ、あぁ、本当だ」

ノックスも引くくらいの殺気だったようで、親王の敷地内に殺気が充満するのだった。

「おい！俺の妻で遊ぼうとしたんだってな。覚悟は出来てるよな」

アレクは、親王と名乗る男の前へ行き、脅し文句を言う。すると、あり得ない殺気に当てられた親王は、小便を漏らして後ろに倒れて気絶するのだった。

「アレク、この現状を説明してくれないか？」

後ろから声をかけたのは、持東親王であった。持東親王の声を聞いたアレクは、何故か気持ちが落ち着いて殺気が霧散する。

「えっ？持東親王様！」

アレクは、急に怒りが治まったことと持東親王がやってきたことに驚く。

「これは、私のスキル心癒《ハートヒーリング》だ。落ち着いただろ？それで、何があった？」

アレクの凄まじい殺気を一瞬にして霧散したスキルに一同は、かなり強力なスキルだろうと推測した。

「実は...」

事の顛末を全て話したアレク。途中で20人を相手にした説明はノックスが話した。

「すまなかった...兄として弟の最低な行為に対し、謝罪させてくれ」

持東親王は、頭を深々と下げて謝る。後ろにいた者達は「親王様が頭を下げてはなりません」などと言っているが、やめることはせずに頭を下げ続けるのであった。

「持東親王様、頭をお上げ下さい。私も妻のことでついカッとなってしまい申し訳ございませんでした。にしても、こちらの言い分を信じて頂けるのでですか？」

「弟は、悪さばかりしているんだ。しかも、かわいい女性を見るとすぐ手を出すクズだ。だが、今回ばかりはいい口実が出来た。助かったぞアレク」

「口実とはなんですか？」

アレクは、どういうことだろうと考える。ノックスもパスクもヘルミーナも同じようである。

「まずはヘルミーナさん、今回の弟の失態に謝罪致します。申し訳ございません」

またまた持東親王は、頭を下げる。ヘルミーナも、すぐに「頭を上げて下さい」と言う。
ちなみに、先程の説明の時に、全員の紹介は済ませてあるのだ。

「許して頂けてありがとう。口実とは、魔王様と友誼を結んだ王国の人間が使節団としてきた。その使節団に対して不敬を働いたとね。弟には良い薬になるだろう」

「わかりました。大和ノ国の素晴らしさを王国に伝える為に、色々見て回りたいと思います」

何故アレクが、こう返したかというと、持東親王の悪巧みに乗ろうと考えたからだ。持東親王は、使節団としてきているなら、弟に重たい罰を与えることが出来ると伝えてきたのである。

「ふっははは、アレクは話が早くて助かる。お前達、この者を牢につれていくのだ」

気絶した持東親王の弟は、引きずられて牢屋まで連れて行かれるのであった。

「初めから迷惑をかけてしまったが、大和ノ国を楽しんでくれ。ではな」

そう言って持東親王は去って行くのであった。