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第5章 大和ノ国へ出発

第241話 結婚式後の魔王と陛下!そして、独裁者皇帝と謎の強き者!

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結婚式は、盛大に盛り上がり幕を閉じたのだった。
参加者は、全員帰路につき会場には雇われた人とアレクとヘルミーナとファビロと沢山のお祝い品だけが残った。

「幸せで楽しい結婚式だったけど、あれだけの人が押し寄せたら疲れるね」

アレクは、ふぅ~と息を漏らして椅子に腰掛ける。

「アナタ、こんなとこで寝たら風邪を引くわよ。帰ってゆっくりしましょ?」

アレクは、大あくびをして目を閉じそうになるのだった。

「う...ん...そうするよ。ファビロ、あと頼んでいい?」

「お任せ下さい。旦那様とヘルミーナ様は、お先にお帰り下さい。あとは、私にお任せ下さい」

ファビロは、胸に手を当てて一礼する。

「じゃあ、任せるよ。ヘルミーナ、手を握って。転移するから」

ヘルミーナは、言われた通りに手を握る。すると、その場から消えるのだった。





「余に話しておかねばならぬこととはなんだ?」

二人は、結婚式会場から馬車で王城に帰っている途中である。

「王国に帝国の刺客がおった。先程、妾も命を狙われたところだ」

「な、なにぃぃぃ!?」

まさかの発言に驚くウズベル王。大声を出したが、ラヴァーナが遮音結界を張っているので声が漏れることはない。

「王国の貴族に化けた帝国の者が侵入していたのだ。先程...」

結婚式に侵入していた者から尋問したこと、化けられていた本物の男爵と子息は亡くなったことを話した。

「まずは、王国の失態に謝罪しよう。すまなかった!」

帝国がやったことではあるが、王国内部で起こったことであり、本来なら問題にされて和平を破棄されても仕方ないことなのだ。

「フフッウォルトン、妾は怒っておらん。それよりも、内通者が誰か気になるのではないか?」

ラヴァーナの返答に内心安心するウズベル王。もし、返答次第では最悪な出来事もあった為である。

「うむ。誰なのだ?」

「ギンベル子爵、マルコ男爵、ハーバイロ伯爵...マルティル辺境伯...」

名前が、明かされるにつれてウズベル王は驚きを見せる。最後のマルティル辺境伯と聞いた時は、開いた口が塞がらず、ズルっと椅子から落ちるのだった。

「な、な、なんだと!全て王国派の貴族ではないか!それに、マルティル辺境伯だと?あり得ん!あの者が、裏切るなど...」

ラヴァーナに対して捲し立てるように言うが、ラヴァーナは一切表情を変えない。

「誠なのか?」

「記憶を食すスキルを使ったから間違いない」

スキルの全容を明かす必要はないので、一部だけを伝えるのだった。

「そうか...どうしたものか...全員信用しておった者達なのだがな」

ウズベル王は、悲しい顔をしながら、その者らの顔を思い浮かべる。

「妾を信用するのであれば、動いてくれ。この者らを信用するのであれば、妾は何も言わん。自国の問題なのであるからな。好きにするがよい」

「うむ。感謝するアナベルよ。王城に戻り次第、動くとしよう」

暗部に調査を依頼し、決定的な証拠を手に入れなければと考えるウズベル王。

「妾も、すぐに自国へ戻り色々準備せねばならないな。この様子だと思っていた以上に帝国の進攻が早まるやもしれない」

魔ノ国かあるいは、王国かどちらかには必ず進攻するだろうと予想するのであった。

「王とは辛いものであるな...」

ふと、ウズベル王は普段漏らさないような愚痴を口にする。

「フフッ、王とはそういうものであろう。ウズベル王は、まだ恵まれておるよ。アレク達がいることは普通あり得ないことであるからな。感謝すべきであるな」

アレクと仲間達の忠誠度や強さは、並大抵のことでは手に入らない人材だと言っているのであった。

「そうであるな。余には、勿体ない者ばかりである。それに、未来の為にも余も頑張らなくてはな」

やる気が戻ったウズベル王を見てラヴァーナは、これなら大丈夫だろうと思うのであった。





「あの二人はまだ戻らんのか!なにをしている!この皇帝である我を待たせるとは、戻り次第極刑に処す。貴様ら、わかったな」

玉座の間でふんぞり返りながら、周りには美女を侍らせている。

「皇帝よ。そんなカリカリしてるとハゲが進行するぞ」

周りは全員、跪いているのだが、この人物だけは立ったまま話しているのだ。
ちなみに、皇帝は前頭部がハゲかかっているのである。

「チッ、お主が我より弱ければ、すぐに殺してやるのに...出来ん自分が情けないわ」

「フン、この世は力が全てだ。俺を使いたければうまくやることだな」

そう言って、ガタイのいいフルプレートに見を包んだ人物は、玉座の間から出て行く。

「貴様ら、何をしておる!今すぐに二人がどうなったか、王国の内通者を使って調べよ」

「は、はい!」

皇帝が、怒鳴り散らすと帝国の貴族達は、慌てるように玉座の間から出て行き、ランドルフとタンバルの行方を追うのであった。
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