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第3章 日常に戻ったアレク達

第234話 マクガリアス頑張ります!成長するのです!

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「魔王様、自分から戦いを挑み不甲斐ない結果を出してしまい、申し訳ございませんでした」

戦いが終わり、全員がそれぞれの生活に戻ったあと、マクガリアスはラヴァーナに謁見を申し込み、またラヴァーナの部屋を訪れていたのだ。

「確かに四天王として不甲斐ない!妾は常に強い者を欲してきた。しかし、成長することも加味してやる必要があるようだな」

ラヴァーナの話していることが、よくわからないでいるマクガリアスは、どう返答しようか頭をフル回転させる。しかし、答えが見つかることはない。

「・・・・お恥ずかしい話ですが、何をおっしゃりたいのか私の頭で理解出来かねます」

わからないことに対して取り繕うことをしないマクガリアスに、ラヴァーナはフフッと笑みを浮かべる。何故かというと素直でまっすぐなマクガリアスだからこそ四天王に据えている節もあるからだ。
要らぬ策謀を巡らせる人物であったなら、初めから四天王から外されていたのだ。

「妾が言いたいのは、今回マクガリアスなりに考えて戦いをしたでだろう。今までは、力でねじ伏せるだけであった。これが、成長だ。素晴らしいことではないか!」  

褒められていることはわかるので嬉しさはあるが、まだ意図が見えず素直に喜ぶことができないマクガリアス。

「は、はい...ですが、勝たねば意味がありません。魔ノ国は強さこそが全てです。結果は、負け負け引き分けです」

マクガリアスは、項垂れるように答える。今まで、このように勝てない日々を過ごしたことがなく挫折しかけているのである。

「マクガリアス、此度の戦いで何を得たか今一度考えるのだ。それが己の成長となるであろう。それと、四天王剥奪の件は保留とするが、しっかりと己を見つめ直し、此度の戦いのように頭も使うのである。わかったな?」

マクガリアスの成長の一端が見えたラヴァーナは、まだまだ強くなると確信している。だからこそ、厳しい言い方だが、より上の領域の戦い方をしてほしいのだ。

「保留にして頂きありがとうございます。しかし、見つめ直すですか...果たして私にできるでしょうか...」

保留と言われて嬉しい気持ちはあるが、戦いに自信をなくしたマクガリアスは、ガクッと肩を落とす。

「できるできないではない!やるしかないのだ。この国にいる間、強者に話を聞くなりして戦い方を見直すのである。妾は、マクガリアスがより高みにいけると信じておるぞ」

心の中でマクガリアスに対して、「殻を破れるのは己だけだ。応援しておるぞ」と思うのであった。

「はい!今一度、考えてみます。それと、ノックス殿に会ってみたいと考えています。二度負けて悔しい気持ちはありますが、何か良き答えが得られると思うのです」

まだ落ち込みはしているが、ラヴァーナの信じているという言葉に胸を打たれたマクガリアスは、前へ進もうと誓うのだった。

「良いではないか!しかし、ノックス殿も貴族だ。いきなり行くのではなく、しっかりした手続きを踏むのであるぞ」

行き当たりばったりは以ての外であるのと、貴族に対していきなり行くような非常識な行動は魔ノ国の常識すらも疑われる行為であるからだ。

「はい!畏まりました。本日は、貴重なお時間を割いて頂きありがとうございました」

「良い良い!マクガリアスが成長するのであれば、いくらでも時間を作ろうではないか。リリス、ウァラク、四天王でも悩むのだ。お前達もいっぱい悩み考え強くなるのであるぞ」

リリスとウァラクも同じ部屋におり、聞き耳を立てていた。それに気付いたラヴァーナは、二人にもわかってほしいと話をするのであった。

「はい!お母様」 「わかりました。母上」

二人は、こんなにも強い四天王でも悩むことを知り、同じ魔族なんだと思い親近感が湧くのと同時に自分達もしっかりと考え強くならなければと思うのであった。





「なんだなんだ?貴族になってからこんな手紙初めてたぞ。なになに...拝啓、おだやかな小春日和が...」

読み終えたノックスは、頭を抱える。

「なんちゅう無駄に丁寧そうな手紙を送ってきてるんだ。あいつは!」

ノックスには、訳がわからない内容だったが、丁寧なことは伝わったようだ。どうやらこれも初代魔王が記した手紙の中にあり、真似する者がいた為に伝わったのだという。

「要約すると、戦い方を教授してほしいと言うことだな。はぁぁ、もっとわかりやすく書けよな」

そうしてノックスは、サラサラと手紙を書いてマクガリアスに送る。
なんだかんだ、人に教えることが好きなノックスは、一体マクガリアスがどれ程成長するのか密かな楽しみにしているのであった。
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