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第3章 日常に戻ったアレク達

第232話 あの名実況者ネズミ男現る!試合直前のマクガリアスとバトラー!

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バトラーvsマクガリアスが行われる日を迎えて、王城にある騎士団達が普段使用している訓練場に集まっていた。
ちなみに、訓練場と言っても広いだけで辺りにはなにもないのである。唯一、体を打ち付けても大丈夫なように柔らかい砂地であることくらいだ。

「今回は、なんとなんとウズベル王国で司会兼、実況兼、審判を務めさせて頂くことになりました。このチュータ!全身全霊で臨みたいと考えております」

魔ノ国でもお馴染みであったネズミ男が、早速ラヴァーナに呼ばれて転移してきたのだ。しかし、ラヴァーナ以外、チュータという名前を知らずここで初めて明かされてチュータだったのかとなる。しかし、それよりも試合の方が大事なのか、すぐに名前などどうでも良くなるのであった。

「マンテ爺は、どっちが勝つと思う?」

今回、アレク達一行は仮設された観客席で観覧しているのだ。
ちなみに、観客席にはラヴァーナ自ら結界を張ってくれている。前回の魔道具と違い、ちょっとやそっとのことでは壊れないのである。

「そうじゃな...難しいわい。マクガリアスも強いからのぅ。それに、昨日のセバスの話では、バトラーもやりおるように感じたからどっちじゃろうのぅ」

マンテ爺にしては珍しく迷っているのだ。しかし、それ程に拮抗した試合になるのだろうと予想するアレク。

「魔ノ国とは違った空気感がありますが、私は変わらず司会を務めさせて頂きたいと思います。まず、こちらにおりますのが魔ノ国の四天王であるマクガリアス様でございます」

空気が違うのは、魔ノ国と違って一般市民がおらず、見に来ているのが騎士団とアレクの知り合いくらいだからだ。盛り上がるというよりも行末を見守っているという感じである。

マクガリアスの紹介が終わるとジキタリスや他の四天王やリリスやウァラクがパチパチと拍手をする。

「では、次に紹介致しますのが、ウズベル王国の王城で執事をしております。バトラー様でございます」

紹介が終わると騎士団がワァァァと言って歓声が上がる。しかし、バトラーが戦えると知らない者は何故執事のバトラーが試合に?となっているのだ。

「団長、バトラーさんは戦えるのですか?」

第一騎士団の副団長が第一騎士団の団長に問いかける。

「何を言っている。あの方は、最強だぞ。全盛期なら俺など手に負えなかったからな。久々に戦う姿を見られて嬉しいばかりだ」

騎士団団長は、目をキラキラさせて子供のようにバトラーとマクガリアスの行末を見守っている。

「それ程ですか!それは楽しみですね。と、そんな話をしていたら始まるみたいですよ」

そんなことを話していると、マクガリアスとバトラーが、中央に歩み寄るのだ。

「バトラー様とマクガリアス様には、こちらの腕輪を着けて頂きます。致命傷や死亡した場合、この腕輪は砕け散ります。その場合、負けとなります。しかし、身代わりの役割を果たしますので死ぬことはございませんのでご安心下さい」

魔ノ国の時にも着けさせられた腕輪を二人に渡すチュータ。観客席から見ていた王国の面々はあの腕輪の効果に驚き、一体どれだけの価値があるんだと思うのであった。

「それは、助かります。明日からも執事の仕事をしないといけませんので、死んでしまっては仕えることが出来なくなってしまいますからね」

クスクスと笑いながらバトラーは、チュータに向かって言う。チュータも、執事が戦う姿など初めて見る為、その返答がおもしろかったのか笑ってしまうのであった。

「バトラー殿、この度は急に戦いたいなどと言って悪かった。昔からの性分でどうしても強いやつを見ると戦いたくなっちまうんだ」

ラヴァーナから、注意を受けて少なからずではあるが、マクガリアスは気にしていたようだ。

「構いませんよ。最初は少々驚きましたが、マクガリアス様のような強いお方に挑まれて悪気は致しません。ですが、実戦から退き結構経ちますのでご期待に添えるかどうか...」

「何を言っているんだ。その目が物語っているではないか!まだまだ現役を引退するのは早いとな」

執事として全うしようと考えてはいるが、やはり闘志だけは失われていないバトラーの目には炎が宿っているのだ。

「そう言って頂けると、より闘志が湧いてきますね。待たせるのも悪いですし、そろそろ始めましょうか!マクガリアス様」

「そうだな。もう我慢の限界だ。こんな凄腕を前にしたらな」

マクガリアスは、大きく息を吸って吐く。気合いを入れ直したのだろう。一方、バトラーは目を瞑り一瞬瞑想して目を見開く。すると、先程までの雰囲気から一転して武人となるのであった。

「それではぁぁぁお互い気合いが入ったところで、試合を始めたいと思います!両者指定の位置についてください」

チュータから言われた通り、両者共に指定の位置まで下がり相手を見据える。

「では、試合開始!!!」

こうしてチュータの合図とともに試合の火蓋が切られたのであった。
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