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第3章 日常に戻ったアレク達
第226話 ラヴァーナとウズベル王との会談!
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ウズベル王とアントンは、ジキタリスについていき、応接室に着いた。
トントントン
「ウズベル王と宰相アントン様をお連れ致しました」
「入るがよい」
中から威厳はあるが透き通ったラヴァーナの声が聞こえる。
「長旅疲れたであろう。よく来てくれたな。待っておったぞ。ウズベル王よ」
部屋に入るとラヴァーナが、笑顔で労いの言葉をかける。
「こちらこそ、魔王に会えて嬉しく思う。余のことは、ウォルトンと呼んでくれ」
「では、妾はアナベルと呼んでくれ。さぁ~立ち話もなんだ。腰掛けながら話そうではないか」
お互いに仲を深めるために、名前呼びをするのであった。
ウズベル王とラヴァーナは、ソファーに腰掛ける。ジキタリスとアントンは、お互いの王の後ろで立って控えているのだ。
「アントン、あれを」
「ハッ!畏まりました」
それを聞いたアントンは、細長い木箱をラヴァーナの前に置く。
「ウォルトン、これはなんなのだ?」
ラヴァーナは、不思議そうな顔をして木箱を眺める。
「これは、ウズベル王国で作られた最高級ワインである。タカハシ伯爵から酒が好きと聞いたのでな。よかったら飲んでくれぬか?」
ラヴァーナは、ワインと聞いて、すぐさま箱を開けるのだった。そこには、精巧に作られた瓶と綺麗な濃いぶどう酒が入っていたのだ。
「なんと見事なワインなのだ。色からして、うまいだろうと確信してしまうではないか!早速...」
「魔王様、お飲みになるのは会談後にして下さい。一度飲みだすと止まらなくなるではないですか!」
早速と言って飲もうとしたラヴァーナを止めるジキタリス。「はぁ~」とため息まで漏らして呆れるのであった。
「ジキタリスよ、そんな顔をするでない。わかった!わかった!飲むのは後にする」
そのやり取りを聞いていたウズベル王とアントンは、他国との会談とはこんな和んだ場なのかと思うのだった。それは、否である。普通はもっと牽制し合ったり騙し合いがあったりと裏では殺伐としているものである。
「頼みますよ。魔王様!」
ジキタリスが、全くもう!しっかりして下さいという顔をする。
「アナベルよいか?そろそろ本題に入りたいのだが...」
このままでは、いつになっても終わらないだろうと察したウズベル王が声をかける。
「おぉ、これはすまない!今すぐ会談に入るとしよう」
ラヴァーナは、ハッとして申し訳ないといった表情をする。
「こちらとしては、魔ノ国と和平を結びたい。戦争をせず、困った時はお互い助け合える存在としていけたらよいと考えておる」
「フッフ、妾も同意見だ。和平を結ぶことに反対はない!しかし、今から話す帝国のことを聞いても尚、和平を結びたいと思うかだ」
和平を結んだ以上、ウズベル王が言ったように、2国間の戦争をしないで済むことにはなるが、どちらかの国が攻められた場合、助ける必要があるのだ。そこを懸念するラヴァーナ。
「帝国とな?」
ウズベル王は、聞き慣れない帝国の名前に、どういうことなのかと思うのだった。
「帝国と魔ノ国は、長きに渡り小競り合いが続いている...」
その後は、アレクにも話した定期的に魔ノ国が襲われていることやラヴァーナでも勝てない将軍が存在する話をした。
「それでも、和平を結べると申すか?」
ラヴァーナは、断られても仕方ないと考えていた。このような面倒事に巻き込まれたい国などないのだから。
「喜んで和平を結ばせて貰いたいと思う。そのような強敵がいるなら、いずれ王国にも進軍するやもしれん。それを考えれば魔ノ国と手を結んで損はないのでな」
それを聞いたラヴァーナは、下を向いて笑い出す。
「フッフ、フッハハハハ、やはりウズベル王は、あのクソ野郎とは違う!裏表なく話が出来て妾は楽しいぞ」
ラヴァーナは、帝国が王国へ進軍するという事を話さなかったのだが、ウズベル王は聞かずとして察したのである。しかも、素直に話すウズベル王のことをいたく気に入ったようなのだ。
「喜んでもらえてなによりなのだが、和平の話は受け入れてもらえるのであろうか?」
「願ってもない!こちらから是非お願いしたいものだ。では、細かな内容を話していこうではないか!」
どうやら無事に和平が結ばれるようだ。
「これから永きに渡りよろしく頼む」
「こちらこそ、魔ノ国と王国の平和が永遠に保たれるよう願っておる」
そして、お互いが立ち上がり熱い握手を交わすのであった。
トントントン
「ウズベル王と宰相アントン様をお連れ致しました」
「入るがよい」
中から威厳はあるが透き通ったラヴァーナの声が聞こえる。
「長旅疲れたであろう。よく来てくれたな。待っておったぞ。ウズベル王よ」
部屋に入るとラヴァーナが、笑顔で労いの言葉をかける。
「こちらこそ、魔王に会えて嬉しく思う。余のことは、ウォルトンと呼んでくれ」
「では、妾はアナベルと呼んでくれ。さぁ~立ち話もなんだ。腰掛けながら話そうではないか」
お互いに仲を深めるために、名前呼びをするのであった。
ウズベル王とラヴァーナは、ソファーに腰掛ける。ジキタリスとアントンは、お互いの王の後ろで立って控えているのだ。
「アントン、あれを」
「ハッ!畏まりました」
それを聞いたアントンは、細長い木箱をラヴァーナの前に置く。
「ウォルトン、これはなんなのだ?」
ラヴァーナは、不思議そうな顔をして木箱を眺める。
「これは、ウズベル王国で作られた最高級ワインである。タカハシ伯爵から酒が好きと聞いたのでな。よかったら飲んでくれぬか?」
ラヴァーナは、ワインと聞いて、すぐさま箱を開けるのだった。そこには、精巧に作られた瓶と綺麗な濃いぶどう酒が入っていたのだ。
「なんと見事なワインなのだ。色からして、うまいだろうと確信してしまうではないか!早速...」
「魔王様、お飲みになるのは会談後にして下さい。一度飲みだすと止まらなくなるではないですか!」
早速と言って飲もうとしたラヴァーナを止めるジキタリス。「はぁ~」とため息まで漏らして呆れるのであった。
「ジキタリスよ、そんな顔をするでない。わかった!わかった!飲むのは後にする」
そのやり取りを聞いていたウズベル王とアントンは、他国との会談とはこんな和んだ場なのかと思うのだった。それは、否である。普通はもっと牽制し合ったり騙し合いがあったりと裏では殺伐としているものである。
「頼みますよ。魔王様!」
ジキタリスが、全くもう!しっかりして下さいという顔をする。
「アナベルよいか?そろそろ本題に入りたいのだが...」
このままでは、いつになっても終わらないだろうと察したウズベル王が声をかける。
「おぉ、これはすまない!今すぐ会談に入るとしよう」
ラヴァーナは、ハッとして申し訳ないといった表情をする。
「こちらとしては、魔ノ国と和平を結びたい。戦争をせず、困った時はお互い助け合える存在としていけたらよいと考えておる」
「フッフ、妾も同意見だ。和平を結ぶことに反対はない!しかし、今から話す帝国のことを聞いても尚、和平を結びたいと思うかだ」
和平を結んだ以上、ウズベル王が言ったように、2国間の戦争をしないで済むことにはなるが、どちらかの国が攻められた場合、助ける必要があるのだ。そこを懸念するラヴァーナ。
「帝国とな?」
ウズベル王は、聞き慣れない帝国の名前に、どういうことなのかと思うのだった。
「帝国と魔ノ国は、長きに渡り小競り合いが続いている...」
その後は、アレクにも話した定期的に魔ノ国が襲われていることやラヴァーナでも勝てない将軍が存在する話をした。
「それでも、和平を結べると申すか?」
ラヴァーナは、断られても仕方ないと考えていた。このような面倒事に巻き込まれたい国などないのだから。
「喜んで和平を結ばせて貰いたいと思う。そのような強敵がいるなら、いずれ王国にも進軍するやもしれん。それを考えれば魔ノ国と手を結んで損はないのでな」
それを聞いたラヴァーナは、下を向いて笑い出す。
「フッフ、フッハハハハ、やはりウズベル王は、あのクソ野郎とは違う!裏表なく話が出来て妾は楽しいぞ」
ラヴァーナは、帝国が王国へ進軍するという事を話さなかったのだが、ウズベル王は聞かずとして察したのである。しかも、素直に話すウズベル王のことをいたく気に入ったようなのだ。
「喜んでもらえてなによりなのだが、和平の話は受け入れてもらえるのであろうか?」
「願ってもない!こちらから是非お願いしたいものだ。では、細かな内容を話していこうではないか!」
どうやら無事に和平が結ばれるようだ。
「これから永きに渡りよろしく頼む」
「こちらこそ、魔ノ国と王国の平和が永遠に保たれるよう願っておる」
そして、お互いが立ち上がり熱い握手を交わすのであった。
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