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第3章 日常に戻ったアレク達
第224話 陛下旅立つ!お礼に来たマルティル辺境伯!
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あれから、アレクがウズベル王国と魔ノ国の橋渡しをして、ウズベル王自ら魔ノ国へと向かった。
しかし、アレクの転移を使わずに馬車で何日もかけて向かうようである。理由は、王国の現状と魔ノ国の現状を直接見て周りたいということらしいなのだ。
「ファビロ、結婚式の招待状を送ってほしいんだけど、陛下にも送るべきだよね?」
アレクは、一枚一枚丁寧に招待状を書きながらファビロに尋ねる。
「普通であれば、陛下を招くことはまずありませんが、旦那様との繋がりを考えますとお出しすべきかと思います」
タカハシ伯爵と呼ばれることは嫌がったので、今は旦那様と呼ぶようにしているファビロ。
「だよね。ラヴァーナ様も参加するぞと意気込んでいたから魔ノ国の知り合いにも出すんだよ。なんか凄い重鎮ばかりが集まりそうだよ」
アハハと笑いながら参加してくれるであろうメンバーを思い浮かべて、改めて凄い人達が集まるなと思うアレクであった。
「想像しただけで恐ろしい会場ですね」
ファビロも苦笑いを浮かべて、前代未聞の結婚式会場になるなと思うのだった。
「それにしても、あんな広い会場をよく見つけたね。流石ファビロ」
「旦那様の人脈を考えると、あの広さでないと入り切りませんからね。資金も潤沢に頂きましたので、着々と順調に準備が進められております」
陛下とラヴァーナのことを考えて1ヶ月半後を予定しているのだ。
「助かるよ。明日には、招待状も出来上がるから送って貰えると助かるよ」
「はい!畏まりました」
トントントン
「旦那様、マルティル辺境伯様がお越しです。お礼に伺ったそうなのですが、お通ししてよろしいでしょうか?」
メイドの一人が、マルティル辺境伯が訪ねてきたことを知らせにやってくる。
「すぐに、応接室に行くから茶菓子を用意してお通ししといて」
「畏まりました」
「最近、毎日来客がくるね。スタンピードのお礼なんかわざわざいいのに」
アレクが、魔ノ国から戻ると毎日のようにスタンピードのお礼を言いに各地の領主が訪ねてくるのだ。
「仕方ありませんよ。もし、旦那様が殲滅していなければ各地は壊滅し、このように普段通りの生活を送ることは出来なかったのですから。それより、マルティル辺境伯様がお待ちです。参りましょう」
「そうだね。行ってくるよ」
アレクは、そう言ってマルティル辺境伯が待つ応接室に向かうのだった。
◆
「マルティル辺境伯様、わざわざお越し頂きありがとうございます」
アレクが、礼をしながら感謝を述べるとマルティル辺境伯は、自分の顔の前で手を振って要らない要らないと言いたげなアピールをする。
「じぃじと呼びなさい。二人きりの時は、そう呼ぶように言っただろ?」
「しかし、一応は私より上の方が訪ねて来て頂いたのですから、礼節を尽くしますよ」
「俺の前で、そんな畏まったことはしなくていい。そんなことは、うるさい年寄り連中に任せておけばいいんだ」
マルティル辺境伯も年寄りの部類に入るだろ?と思うアレクだったが、口が裂けても言えないのであった。
「わかりました。それでマルティルじぃじは、何をしに来たのですか?」
「何をって...スタンピードのお礼に来たんだ。今は復興で金がないから、ちゃんとした礼は出来んが、アレクが正式に領地を持つ時に経営資金を出すことで許しては貰えないか?」
マルティル辺境伯は、頭を下げて謝ってくるのだ。
「何をおっしゃっているのですか!お金などいりませんよ!お礼の言葉だけで十分です」
アレクは、立ち上がりながら慌てて断るのだった。
「アレク、こういう時は素直に受け取っておくものだ。貴族の面子というものだからな」
わっはっははと笑いながら言うマルティル辺境伯。
「そういうことでしたら、有り難く領地経営の際は頼らせて頂きます」
アレクも笑顔でマルティル辺境伯に答える。しかし、相変わらず貴族というのは難しいものだなと思うのだった。
「そうしてくれると助かる。あと魔ノ国は、どうだった?陛下が帰還したのちに集められるとは思うのだが、実際行って見てきたアレクの口から聞きたい」
大半の貴族は、陛下が魔ノ国に行ったことを知っていて何が始まろうとしているのか気になっているのだ。
「そうですね。魔王は常識があり即断即決をされる方でした。魔族に至っては、強い者が一番という考え以外は、人間と変わりませんよ」
「ほぅ...であれば、話は通じるのだな。それを聞いて安心した。陛下が何をしに向かったかわからないが、無事に帰還することを願おう」
本当は、陛下が何をしに向かったのか、気になるのだが、敢えて聞かないのがマルティル辺境伯である。アレクに対しては、本当に友好関係を継続していきたいと考えているからこそ、探るようなことはしないのだ。
「必ず無事に帰還しますよ。それよりも、これは内密な話ですが、帝国が何やらきな臭くなってきました。いつでも迎え討てるように準備をしておく必要がありそうです」
「なに!それは信憑性がある話なのか?」
帝国など、王国建国以来、数度しか議題に上がらなかった国の名前が出てきて驚くマルティル辺境伯。
「はい!魔王直々に教えてもらった内容です。陛下にも伝えると言っていましたので、近いうちに対策会議が開かれるかもしれません」
「わかった。今は俺の胸に留めておくことにする。だが、早々に伝えてくれて助かった。感謝する」
「いえいえ。お互いに準備はしっかりしておきましょう」
そして帝国の話が終わったあとは、ヘルミーナとの結婚の話やら雑談をしてマルティル辺境伯は帰っていったのであった。
しかし、アレクの転移を使わずに馬車で何日もかけて向かうようである。理由は、王国の現状と魔ノ国の現状を直接見て周りたいということらしいなのだ。
「ファビロ、結婚式の招待状を送ってほしいんだけど、陛下にも送るべきだよね?」
アレクは、一枚一枚丁寧に招待状を書きながらファビロに尋ねる。
「普通であれば、陛下を招くことはまずありませんが、旦那様との繋がりを考えますとお出しすべきかと思います」
タカハシ伯爵と呼ばれることは嫌がったので、今は旦那様と呼ぶようにしているファビロ。
「だよね。ラヴァーナ様も参加するぞと意気込んでいたから魔ノ国の知り合いにも出すんだよ。なんか凄い重鎮ばかりが集まりそうだよ」
アハハと笑いながら参加してくれるであろうメンバーを思い浮かべて、改めて凄い人達が集まるなと思うアレクであった。
「想像しただけで恐ろしい会場ですね」
ファビロも苦笑いを浮かべて、前代未聞の結婚式会場になるなと思うのだった。
「それにしても、あんな広い会場をよく見つけたね。流石ファビロ」
「旦那様の人脈を考えると、あの広さでないと入り切りませんからね。資金も潤沢に頂きましたので、着々と順調に準備が進められております」
陛下とラヴァーナのことを考えて1ヶ月半後を予定しているのだ。
「助かるよ。明日には、招待状も出来上がるから送って貰えると助かるよ」
「はい!畏まりました」
トントントン
「旦那様、マルティル辺境伯様がお越しです。お礼に伺ったそうなのですが、お通ししてよろしいでしょうか?」
メイドの一人が、マルティル辺境伯が訪ねてきたことを知らせにやってくる。
「すぐに、応接室に行くから茶菓子を用意してお通ししといて」
「畏まりました」
「最近、毎日来客がくるね。スタンピードのお礼なんかわざわざいいのに」
アレクが、魔ノ国から戻ると毎日のようにスタンピードのお礼を言いに各地の領主が訪ねてくるのだ。
「仕方ありませんよ。もし、旦那様が殲滅していなければ各地は壊滅し、このように普段通りの生活を送ることは出来なかったのですから。それより、マルティル辺境伯様がお待ちです。参りましょう」
「そうだね。行ってくるよ」
アレクは、そう言ってマルティル辺境伯が待つ応接室に向かうのだった。
◆
「マルティル辺境伯様、わざわざお越し頂きありがとうございます」
アレクが、礼をしながら感謝を述べるとマルティル辺境伯は、自分の顔の前で手を振って要らない要らないと言いたげなアピールをする。
「じぃじと呼びなさい。二人きりの時は、そう呼ぶように言っただろ?」
「しかし、一応は私より上の方が訪ねて来て頂いたのですから、礼節を尽くしますよ」
「俺の前で、そんな畏まったことはしなくていい。そんなことは、うるさい年寄り連中に任せておけばいいんだ」
マルティル辺境伯も年寄りの部類に入るだろ?と思うアレクだったが、口が裂けても言えないのであった。
「わかりました。それでマルティルじぃじは、何をしに来たのですか?」
「何をって...スタンピードのお礼に来たんだ。今は復興で金がないから、ちゃんとした礼は出来んが、アレクが正式に領地を持つ時に経営資金を出すことで許しては貰えないか?」
マルティル辺境伯は、頭を下げて謝ってくるのだ。
「何をおっしゃっているのですか!お金などいりませんよ!お礼の言葉だけで十分です」
アレクは、立ち上がりながら慌てて断るのだった。
「アレク、こういう時は素直に受け取っておくものだ。貴族の面子というものだからな」
わっはっははと笑いながら言うマルティル辺境伯。
「そういうことでしたら、有り難く領地経営の際は頼らせて頂きます」
アレクも笑顔でマルティル辺境伯に答える。しかし、相変わらず貴族というのは難しいものだなと思うのだった。
「そうしてくれると助かる。あと魔ノ国は、どうだった?陛下が帰還したのちに集められるとは思うのだが、実際行って見てきたアレクの口から聞きたい」
大半の貴族は、陛下が魔ノ国に行ったことを知っていて何が始まろうとしているのか気になっているのだ。
「そうですね。魔王は常識があり即断即決をされる方でした。魔族に至っては、強い者が一番という考え以外は、人間と変わりませんよ」
「ほぅ...であれば、話は通じるのだな。それを聞いて安心した。陛下が何をしに向かったかわからないが、無事に帰還することを願おう」
本当は、陛下が何をしに向かったのか、気になるのだが、敢えて聞かないのがマルティル辺境伯である。アレクに対しては、本当に友好関係を継続していきたいと考えているからこそ、探るようなことはしないのだ。
「必ず無事に帰還しますよ。それよりも、これは内密な話ですが、帝国が何やらきな臭くなってきました。いつでも迎え討てるように準備をしておく必要がありそうです」
「なに!それは信憑性がある話なのか?」
帝国など、王国建国以来、数度しか議題に上がらなかった国の名前が出てきて驚くマルティル辺境伯。
「はい!魔王直々に教えてもらった内容です。陛下にも伝えると言っていましたので、近いうちに対策会議が開かれるかもしれません」
「わかった。今は俺の胸に留めておくことにする。だが、早々に伝えてくれて助かった。感謝する」
「いえいえ。お互いに準備はしっかりしておきましょう」
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