チート薬学で成り上がり！ 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました！

第2章 魔ノ国の調査隊

第223話 三人の特訓と全知全能薬学の偉大さ！

あれから、リリスとウァラクとアギケに戦い方を教えていた。幸い三人とも魔法の基礎を理解しているようで、1から教えることはないようだ。だが、一人一人欠点があるようで、まだまだ成長の余地はあると感じたアレクはそこを重点的に教えることにしたのだ。

「アギケは、魔力循環を鍛えようか！まだまだ改善の余地があるから」

うまく循環させることで魔法の威力も上がるからだ。それに、魔力操作も覚えやすくなる。

「ウァラクくんは、魔法の基礎は出来ているけど、戦いを怖がっているから克服していこう」

毎日格上と戦いすぎてウァラクは、自信をなくしてしまっているのだ。なので、もし格下相手でも普段のことが頭をよぎり本来の力を出せないと判断したアレク。

「リリスちゃんは、一番欠点が少なくていいよ。あとは、死角から襲われた時の対処やいち早く気付けるように訓練すべきだね」

リリスが、一番バランスがよくて、今だと一番強いだろうと感じるアレク。
だが、全員伸びしろがあってまだまだ強くなる確証があるので楽しみだと思うのだった。

「僕...魔法苦手なんです。なかなか魔力循環も出来なくて...」

アギケが嘆くように言う。

「うっ...アレクさんにはわかっちゃうのか～確かに戦うの怖いんだよね。だって毎日半殺しなんだもん...脳裏から離れなくて」

日々の恐怖を思い出したウァラクは、辛そうな顔をして答える。

「そうなのです。いつもお母様に死角を突かれます...でもどう対処していいかわからないのです」

ちょうどリリスも悩んでいたことだったようだ。

「アギケにはとっておきの薬があるけど、どうかな？激痛で気を失うけど魔力循環は完璧になるよ」

アレクも服用したこの三種類を飲まそうとしているのだ。特に魔力回路最適化薬は激痛を伴うのである。

魔力増幅薬：一定時間魔力を増幅させる(但し使用者の魔力量によって変化する)

魔力循環円滑薬：一定時間スムーズに循環させることができる(魔力操作をする際にも効果的である)

魔力回路最適化薬：魔力量の最大値が増える。魔力回路があるべき状態になることで魔法威力も増大する。(成長して回路に変化が生じても、永久に最適化し続けてくれる)

「そんな薬嫌ですよ。変なもの進めないでくださいよ」

凄く嫌な顔をしてアレクを見つめるアギケ。

「これなら大丈夫だよ。副作用なく一定時間スムーズに循環させることができる薬だから。それで、正確な循環を体に覚えさせればいいんだ」

そう言ってアレクはアギケに魔力循環円滑薬を渡す。アギケは、受け取ってしまった手前飲むしかないので、躊躇しながらも目を瞑ってグイっと飲み干すのであった。

「アギケ、それでいつものように魔力循環をしてみて」

アギケは言われた通りに集中して魔力循環を行う。すると、急に目を見開いて驚く。

「え？嘘！？なんでこんな正確に循環しているの？アレク様、凄いです。本当に凄いですよ」

飛び跳ねるように大はしゃぎするアギケにアレクは満足そうな笑みを浮かべる。

「だから、言っただろ！本当に魔力循環がうまくなるって。でも永続ではないから、今のうちにしっかり体に覚えさせるんだよ」

「はい！わかりました」

アギケは、やる気満々の顔になって練習を始める。

「あの～アレク様、私達にはないのですか？」

期待に満ちた顔でリリスとウァラクがアレクを見る。二人も薬でどうにか出来るのではと期待しているようだ。

「リリスちゃんは、経験と予測が重要だからないね。ウァラクくんのはあるけど薬で恐怖心を抑えていいの？全く恐怖心がなくなるってことだよ」

恐怖心を無くすことは出来るのだが、一切なくなってしまうと、本当に強い敵や魔物と遭遇した時に無謀に戦ってしまうということなのだ。そんなことはさせたくないアレクは渡すのを拒む。

「ですよね...そんな薬があったら全員使ってますよね」

リリスは、少しがっかりしたような顔をするが納得はしているようだ。

「恐怖心が全くないのは、怖いです。やっぱり自分で克服します」

ウァラクも頭はいいのでアレクが言おうとしていることを理解しているようだ。

「う～ん？ちょっと待ってね！やっぱりあった！一定時間死角からの攻撃を見極めたり、恐怖心を無くす薬はあるから、それを飲んでアギケみたいに体に覚えさそう。じゃあ、早速特訓するぞ」

流石に、アギケだけに渡すのは悪いなと感じたので、全知全能薬学で調べてみると一時的に効果のある薬を見つけたのだ。アレクは、その場で調合をして二人に薬を渡すのだった。

「「はい」」

二人は、薬を飲んだあと真剣な顔になって特訓を開始するのだった。
アレクは、この時二人に日が落ちるまで付き合わされるとは思ってもみなかったのである。